表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】勇者パーティーの船長~功績を上げて軍隊で成り上がったら、勇者パーティーの船長になりましたが、メンヘラ勇者に振り回される地獄の日々が始まってしまいました  作者: 楊楊
第五章 勇者アトラと東の海

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

62/124

62 新たな海賊

バリスを出発した俺たちだが、いきなり虎王国は目指さない。最初の寄港地はサンタロゴス島のロゴスだ。ここにも虎王国に帰りたい元奴隷がいるので、乗船させるのだ。


甲板ではデイドラに乗せてもらったマリア様とマリー王女がアトラに声を掛けられている。


「マリーどうだった?空の旅は?」


「少し怖かったけど、楽しかったです。デイドラが気を遣ってくれたのが分かりました。ありがとう、デイドラ。そしてデイジー殿も」


「キュー!!」

「もったいないお言葉です」


「それはよかった。僕はデイドラが一人前のドラゴンになるまで心を鬼にして、乗らないようにしているからね。頑張るんだよデイドラ」


おい!!ちょっと前までは、夜は乗らないと言っていたが、今度は一人前になるまで乗らないとか、本当に無茶苦茶だな。流石にデイドラも怒るぞ。


「キュキュ―!!」


デイドラはアトラに抗議の声を上げる。

空気を察したアトラは、すぐに退散していた。アトラはマリー王女が乗船してから、マリー王女にべったりだ。なので、「死ぬぞ!!」攻撃もなくなり、俺としてはほっとしている。


そんな感じで特に大きな事件もなく、ロゴスに寄港した。

ポコ総督が出迎えてくれる。元奴隷達も追加の積荷も既に用意されており、明日にでも出発できそうだ。


簡単な食事会をポコ総督が開いてくれたので、ご相伴に預かる。


「実はですね、最近正体不明の海賊が現れまして、困っているんですよ。襲われた者から調査したところ、どうも東の海の海賊のようなのです。東の海の海賊がこちらまで来るなんて、今までなかったのですが・・・・勇者様が向かわれるのも東の大陸ですので、十分にお気を付けを」


この世界は大きく分けると三つの大陸がある。魔族領が大半を占める北大陸、帝国、ボンジョール王国、ゾロタス聖神国の大国がひしめく西大陸、そして今回俺たちが向かう虎王国があるのが東大陸だ。あまり交流がないので、情報もない。ポコ総督の話のとおり、東の海の海賊がこちらまで出張って来ることは今までなかった。何かそうせざるを得ない理由でもあるのだろうか?


そんなことを考えている側で、全く考えていないアトラが言う。


「マリー、大丈夫だよ。僕の勇者砲で撃沈してやるさ」


「勇者様、凄く頼もしいです」


ドヤ顔しているアトラであった。


まあ、ここであれこれ言っても仕方がない。次の寄港地で聞いてみればいいからな。



★★★


ロゴスを出発した俺たちはイーストエンド港に寄港した。ここは西大陸で一番東にある港町で、竜王国の領土だ。予め連絡をしていたので、カーミラ王女以下第一飛竜騎士隊が勢揃いして出迎えてくれた。挨拶を交わした後、早速仕事に取り掛かる。会いたいだけで寄ったわけではないのだ。


その理由の一つがデイドラの訓練の進捗状況をチェックするためだ。デイジーとザドラが指導員に訓練日誌を手渡している。


「これは凄い!!もう一般部隊の訓練メニューを難なくこなしています。今後は精鋭部隊である第一飛竜騎士隊の訓練メニューを渡しておきますね」


「キュー!!」


デイドラは褒められていると分かって、嬉しがっている。


「水中活動については、正直指導ができなくてすいません。訓練日誌を見る限りは順調だと思うのですが・・・」


「リザードマンやマーマンが見ても泳ぎは上手いと思うよ。アタイも水竜の泳ぎをデイドラ以外に見たことがないから何とも言えないけどね」


空中の活動は順調、水中の活動はよく分からないということか・・・どうしても必要なら、水竜に直接教えてもらうしかないな。ポチが居れば水竜たちも言うことを聞いてくれるだろう。


デイドラたちの脇でカーミラ王女とマリア様、マリー王女が挨拶を交わしている。


「この度、勇者管理機構にお誘いをいただいたのだが、検討した結果、不参加とすることになった。申し訳ない。国王陛下もかなり悩まれたのだが、やはり基本理念の「中立、不干渉」を破るわけにはいかないということになってな」


竜王国の勇者管理機構への不参加、これが俺たちが虎王国に行く理由でもある。第三王子の当初の計画ではボンジョール王国とクリスタ連邦国、竜王国の三ヶ国が議題に賛成すれば、帝国とゾロタス聖神国を抑え込めると考えていたが、竜王国がこれを拒んだ。仕方なく虎王国を勧誘することになったわけだ。何百年も「中立、不干渉」を貫いてきただけに無理には勧誘できない。


「謝罪は不要です。竜騎士という絶大な戦力をお持ちになっているがために必要な政策と考えています」


「そう言っていただければ助かる」


そんな会話をしているところにニコラスとポチが現れた。


「カーミラ王女、デイドラがサギュラさんと二人っきりで飛びたいって言っていますが、いいでしょうか?」


「フフフ、我はいいぞ、サギュラがうんと言えばだがな。それにサギュラはモテるから、相手にされんかもしれんと伝えてくれ」


結局、デイドラが服従のポーズを示したことで、このドラゴン同士のデートが成立したようだ。帰って来たサギュラにポチが話を聞いたところ、こう答えたそうだ。


「まだまだだけど、努力は認めるって言ってますね」


「キュー!!」


デイドラも嬉しそうだ。


そんな和気あいあいとした雰囲気の中。俺もカーミラ王女に質問をする。海賊のことだ。


「我が国の領海までは来ないが、領海ギリギリでの被害は増えてきている。自国の船であれば助けるが、他国で、しかも領海の外であれば、「中立、不干渉」の教えに反するから、難しいことになるのだがな・・・大きな被害が出ないうちに駆逐しておきたいとは思っている」


こちらでも東の海から来た海賊は活動しているのか・・・カーミラ王女のお付きの竜騎士から詳しい状況を聞く。資料を見る限りでは俺たちが絶好のカモに映るだろうな。


「カーミラ王女、こういうのはどうでしょうか?」


俺は海賊と遭遇したときの作戦を話した。


「相変わらず、凄いことを考えるな・・・まあ、それならば「中立、不干渉」に引っ掛からん」


「そうですか、俺たちも海賊と戦いたくはないですからね。でも、遭遇したときの対策は考えておかないといけませんからね」


「我としては貴殿らが海賊と遭遇せんことを願っている。もし遭遇したのなら、海賊には同情する」


まあ、会うか会わないか分からないが、備えだけはしておかないとな。

気が向きましたら、ブックマークと高評価をお願い致します!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ