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【完結】勇者パーティーの船長~功績を上げて軍隊で成り上がったら、勇者パーティーの船長になりましたが、メンヘラ勇者に振り回される地獄の日々が始まってしまいました  作者: 楊楊
第二章 ボンジョール王国編

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25 勇者砲炸裂!!

サウザン海賊団の拠点に付近に到着した。少し前にレオニール将軍の艦隊とは合流している。一応勇者とレオニール将軍は仲違いをしている設定だから、俺が連絡要員となり、レオニール将軍が乗船するサウザン海賊団から接収した輸送艦に乗り込み最後の打ち合わせを行う。


「しかし、レオニール将軍もよく決断されましたよね」


「うむ、部下も我を止めてきた。我のことを心配してな。そこで思ったのだ。部下達を死なせるよりは、軍艦の1隻2隻沈めても構わんとな」


後ろで部下らしき男たちが泣いている。まあ、よく分からんが慕われているのだろう。


「レオニール将軍、実は下見の結果、犠牲となる軍艦は4隻となりました。少し地形的な問題がありまして・・・」


少し驚いた表情を見せたレオニール将軍は言う。


「もうよい、1隻も4隻も同じだ。存分にやってくれ」



打ち合わせが終わり、クリスタリブレ号に帰還し、航海士に達に指示をする。


「今回俺達は基本的には何もしない。勇者様と帝国海兵隊に任せる。ただ、油断はするな。不測の事態も起こりえるからな」


「「「了解!!」」」


「まあ、大船に乗ったつもりでいてよ。この船は中型船だけど」


一々癇に障ることをこの馬鹿勇者は言う。



★★★


サウザン海賊団は総勢約400人、艦船は12隻所有しているが、実際に運用しているのは8隻、船は帝国軍からの払い下げだが魔道砲はそこそこの性能の物を搭載している。これは、独立作戦のための支援があったからだ。拠点にも魔道砲が30門設置されている。偵察に行ったハープによると、12隻とも拠点にあるようだ。略奪作戦に向けて戦力を集中させているのだろう。

この規模の戦力でも小さな村が襲撃されたら一溜りもない。政治的理由でサウザン諸島は小さな補給港が点在するだけだから十分な戦力ともいえる。


この拠点の厄介なところは、容易に上陸できないことだ。拠点に入るまでには暗礁が多く点在していて、上手く操船しないと座礁してしまう。それに大型艦ではまず入れない。そのことを伝えても当初は、レオニール将軍は正面からの強襲することを曲げなかった。大型艦では入れないのにどうやって上陸するのかを質問すると、驚きの回答をする。


「そんなの小舟に乗り換えて上陸するに決まっているだろうが!!」


それでは相手の的になる。上陸する兵数は2000名なので、この半分でも上陸できれば海賊ごとき、労せずに殲滅できると。

流石は人命軽視の帝国軍だと、ある意味感心してしまった。


そうはさせたくないので、今回の作戦を取ったのだが・・・・


インプ隊長のブーイが報告に来る。


「随時船を進めています。現在、3隻が座礁しました。もうすぐ最後の1隻も座礁させます」


作戦の第一段階は、レオニール将軍の軍艦4隻を座礁させることだ。そうすれば、海路を塞がれて物理的に海賊はこの拠点から出られなくなる。別に軍艦を使わなくても他の船でできるのだが、俺に帝国の軍艦を沈めたい理由があるからな。

それに最初からこの作戦を提示すれば、気付かれてしまうし、主戦派の士官なんかは猛反発するだろう。


なので、レオニール将軍と勇者が仲違いしたという設定まで用意したのだ。そして、追いついたレオニール将軍と勇者が仲直りして、共闘するという演技までさせた。


「僕は一人でも多くの兵士を助けたい。そのためにはこの軍艦を犠牲にしなければならないんだ」


「兵の命が助かるなら、軍艦の1隻や2隻など安いものです」


「そうか・・・君のような指揮官を持てた部下達は幸運だね。君と仲違いしたように見せたのは、僕たちだけで攻めようと思ったからなんだ。兵達の命を助けようと思ってね。流石の僕も、軍艦を犠牲にする決断はさせられないからね」


「勇者様、責任は我が取ります。それよりも、海賊たちを血祭りにあげてやりましょう」


まあ、何人かの部下達は涙を流していたし、演技としてはそこそこ良かったんじゃないかな。

そして、5艦中4隻をインプが操船して、海賊拠点の海に座礁させていく。座礁させては飛んで戻りを繰り返して。1隻残したのは予備だ。5艦すべて必要とは流石に言いづらいしな。


4隻とも予定の地点に座礁させ、インプ隊は全員帰還したとブーイが報告に来た。

よし、やるか!!


「オーイ!!勇者様、出番ですよ」


「ああ、待ちくたびれたよ。じゃあ行くね。大いなる母なる大地よ、偉大なる海・・・えっと・・・空を割き、轟音を響かせ・・・・ああ、面倒くさい。勇者砲発射!!」


馬鹿勇者はカッコつけて、魔導士が魔法を撃つときの詠唱を自分で考えて来たのだろう。魔道砲は引き金を引くだけだから、全く必要ないし、覚えきれてもいない。本当に馬鹿だ。


魔道砲はというと轟音を響かせて、軍艦の1隻に命中、船尾の一部が吹き飛んだ。多分舵がやられているのだろうから、もう動かせない。廃艦決定だ。


「百発百中だね。次も当てるよ。発射!!」


2発目もヒットする。更に3発目と4発目も。

なぜ、こんなにも当たるかというと、「スナイパー」のジョブを持つリュドミラが、隣で指導というか、ほぼすべて照準を合わせているからだ。馬鹿勇者は魔力を込めることと、引き金を引くこと以外は何もしていない。


4隻をすべて航行不能にした勇者はご満悦だ。


「船長!!これが勇者砲の威力だ。日頃の無礼は許すから、僕を褒め称えるがいいさ」


「すごい、すごい勇者様すごい」


「なんだその棒読みのセリフは!!馬鹿にされているようで腹が立つ!!死んでほしいのか?」


「はいはい、次の作戦に移りますよ」


クリスタリブレ号を海賊の拠点の東の岸壁に移動させる。

勇者は拡声の魔道具でレオニールの部隊に指示をする。


「見たか!!これが勇者砲の威力だ。もうすぐ君達の出番だから、準備をしておけよ。さあ、僕の本気を見るがいい!!」


東の岸壁はかなり高く、船を接岸することはできない。しかし、勇者が言う勇者砲でぶち抜けば、接岸できる。もちろん接岸する船を犠牲にしてだが。


勇者砲は3発連続で放たれた。連射すると威力も倍増するようだ。ベイラは心配そうに主砲を見ている。


「後20発は打ち込んでやるぞ!!」


「止めるッス!!今日はもうお仕舞ッス!!もう大丈夫ッス。何かのときに3発は取っておいたほうがいいッス。壊れたらもう撃てないッスから」


「そうだぞ、お前がそんなことをしたら、レオニール将軍達の仕事が無くなってしまうだろうが。それより、勇者様の有難いお言葉を聞かせてやれ」


「分ったよ。

勇猛な海兵隊諸君!!突撃の時間だ!!」


拡声の魔道具による勇者の合図で、バリス海賊団から接収した船が、岸壁に突き刺さる。無理矢理岸壁に接岸したときに船首が大破している。もうこの船も廃艦だろう。3隻程岸壁に突き刺さったところで、2000人の海兵隊は全員上陸したようだった。


遠巻きに見ているが、かなり手際がいい。魔道砲で援護をしながら、海兵隊員達はどんどんと突き進んでいる。先頭は暑苦しいおっさんのレオニール将軍だ。


「そろそろ僕の出番かな?レオニール将軍達はピンチに陥っていると思うんだ。そこを僕が颯爽と登場して・・・」


言いかけたところで、上陸していた海兵隊員から拡声の魔道具で、戦況を知らせる声が響いた。


「魔道砲部隊、撃ち方止め!!一騎討により、レオニール将軍が首狩りニックを討ち取った!!残りの海賊は全員拘束!!これより、掃討作戦に移行せよ!!」


後で聞いた話だが、首狩りニックは首を刎ね飛ばされたらしい。まさに因果応報の死に方だ。後は隣で不機嫌になっている勇者をどうするかだが・・・・


「上陸するだけ上陸すればいいんじゃないか?さも、頑張った感じを出せば、多分バレないと思うぞ。兵隊はいっぱいいるしな。ボートを貸してやるから好きにしろ」


「そうするよ。僕がいないと話は始まらないからね」


もう話は終わったんだよ!!


とツッコムことは止めた。ここで勇者のご機嫌を損ねても仕方ないからな。

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