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【完結】勇者パーティーの船長~功績を上げて軍隊で成り上がったら、勇者パーティーの船長になりましたが、メンヘラ勇者に振り回される地獄の日々が始まってしまいました  作者: 楊楊
第七章 勇者と幽霊船

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110 魔王との対決

 俺たちの魔王国の滞在は10日を超えた。

 途中、不可侵条約が締結されたことを伝えるためにウエストエンド港まで航行したことを除くと、王都サガットで過ごしていた。

 皆それぞれで、サガットでの滞在を楽しんでいた。


 中でも一番充実していたのは、宣教師のパウロだろう。魔王スケープと聖女カルバンについての文献を調べ上げ、魔王国の研究者とも意見を交わしていた。


「教会では、スケープ派とカルバン派に分かれてしまいましたが、スケープ様もカルバン様もお互いを思いやる気持ちが強かったことは間違いありません。この研究結果を大々的に発表し、カルバン派とともに正しい教えを広めていこうと思っております」


「魔王国の研究者としては、そうしてくれれば有難いと思っています。そして、お二人の願いでもあった死に戻りの能力者に不当な重荷を背負わせることがないようにしてもらいたいと思っております」


「絶対にそうします!!」


 そんなパウロを見ていた姉貴が言う。


「良かったと思うわ。パウロはここ最近、信仰について悩んでいたからね。自分の使命を見付けたみたいだし」


「俺もそう思うよ。ただ、姉貴がいるから以前のように酷いことにはならないと思うけどね」



 パウロはそんな感じだが、技術者組も負けずに頑張っていた。

 特にポーラは、自分が開発したアトラクターが改良されているのを見て、衝撃を受けていた。


「アトラクターにこんな使い方があったなんて・・・・収穫から脱穀まで・・・」


 ベイラの父のベイムが言う。


「スクリューの技術を応用しただけだから、大したことではないぞ。それよりもアンタが開発した魔石からの魔力抽出方法が画期的だから、こっちの技術者にも教えてやってくれ」


「もちろんです。これなら、黒土地帯の開発も大きく進むと思います」


「そうだな。欲しい技術があれば、ベイラに教え込んでおくよ」


「了解ッス!!なんでも言ってくださいッス」



 そしてアトラだが・・・・魔王に食って掛かっていた。


「魔王さん!!僕たちは戦う運命にあるんだ!!だから対決をしよう」


「せっかく仲良くなったのに戦う意味が分かりませんし・・・戦ったとて、私も訓練を受けてはいますが、そこまで強いわけではなく、勇者さんも達人レベルではないので、凄くしょっぱい試合になると思いますが・・・」


「それはそうだけど・・・・そうだ!!ネルソン、何かいい方法を考えてよ。白熱した勝負ができて、僕が圧勝するような方法を!!」


 そんな自分勝手な条件でいいのか?


 魔王も続く。


「私としましては、危険性の少ない方法をお願いしたいのですが・・・・」



 ★★★


 魔王や文官たちと競技したところ、ボートレースをすることになった。理由はまず、直接戦闘をしない条件で、安全にかつ、アトラが勝てそうなのが、それしかなかったからだ。スクリューを動かすことに関しては、魔王よりも経験があるからな。

 この提案をしたとき、魔王国は大賛成だった。特に技術者組がだ。代表してベイムが言う。


「小型のスクリューボートを開発していたんだが、なかなか予算が下りなくてな。このレースを大々的にやって、有用性が認められたら予算も多くつくはずだ」


 魔王が言う。


「そうですね。やってみましょうか。私も有用だとは思っているのですが、予算担当の文官さんが、渋っていましたからね。ただ私一人では不安なので、できればペアでの参加をお願いしたいのですが・・・」


 そんな感じで、トントン拍子に話が進んだ。そして、話は大きくなり、参加者が増えに増えてしまい、

 結局、予選を行うことになってしまった。

 アトラはというと、嬉しそうだった。


「こんな大きな大会で優勝すれば、カッコいいな・・・ネルソン!!絶対に勝つよ!!」


 もはや、魔王を打ち倒すという目的を忘れてしまっていた。


 参加者だが、俺とアトラペア、魔王と護衛騎士ペア、親父とお袋ペア、カインとメアリーペアと続き、なんと姉貴とパウロのペアも出場する。

 そして、それぞれで、ボートに改造を施し、レース当日を迎えるのであった。



 ★★★


 レース会場は大盛り上がりだ。逞しいもので、ミケはこの情報を知ったときから動き出し、立地のいい場所に屋台を出店していた。


「砂漠の火酒から干し肉まで、西大陸の名産品を取り揃えておりますニャ!!」


 物珍しさもあってか、かなり売り上げを上げているようだった。販売している商品を見ると、明らかに売れ残りの品だ。ここで在庫処分をするなんて考えたものだ。まあ、評判は良さそうだから、何も言うまい。


 予選の方だが、俺たちは順調に突破した。

 面白いことに参加者全員がスクリューを動力に使っていたわけではなかった。魔王国にもスクリューに懐疑的な者がいるようで、その者達は帆を張ったり、オールで漕いで、ボートを進めていた。

 まあ、そんな奴らは軒並み予選落ちしていたので、魔王国も小型スクリューボートに予算をつけるだろう。


 予選通過者だが、まずは俺たちの家族だ。姉貴も操船スキルを持っているので、不慣れなスクリューの操作も上手くできていた。まあ、優勝は厳しいだろうが。

 魔王ペア以外で優勝争いを演じそうなのは、ベイムとベイラの親子ペアだろう。新型の技術をこれでもかというくらいに詰め込んでいる。まあ、ベイムが小型スクリューボートを開発したからな。


 予選を突破した中で、変則ペアをマルカとハープペア、ザドラとリザドペアだろう。マルカとハープペアはハープの風魔法とマルカの水魔法を利用したウォータージェットで推進力を得ていた。マルカが旅の間中、リザドの部隊のマーマンに付きっきりだった成果が出ていた。

 ザドラとリザドペアは、物凄い力技だった。交替で二人で泳ぎ、ボートを引っ張るというものだった。大会の運営に多くのクレームが寄せられたが、「次回から検討する」ということで予選は通過扱いとなった。


 ここまで、盛り上がっているのもレースが賭けの対象になっているからだ。もうすでに定期開催を要望する市民が多く運営を訪れているらしい。


 そして、いよいよ決勝のレースが始まる。

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