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子ぎつねでもわかる魔王の魔術講座

作者: とある魔術の観察者

楽しんでいただけると幸いです。

 

 ある日、いつものように魔王は書類を片付けて一息つこうとした。

 すると、なぜか部屋に一匹の子ぎつねがいた。


「ふう、ようやく終わった。疲れたー。ん?狐?何でこんなところに。」


 魔王はそう言いながら、自然な動作で子ぎつねを抱きかかえると、毛を撫で始めた。

 子ぎつねも撫でられるのが気持ちよかったらしく、されるがままになっていた。

 しばらくその状態が続いていると、部屋に宰相が入ってきた。


「魔王様ー、追加の案件です。って何やってるんですか。」


「仕事がひと段落したら部屋に狐がいた。だから抱きかかえてふさふさの毛を堪能しただけだが?」


 実は、魔王は地球では動物こそ飼っていなかったが狐や猫や狼などの動物が好きだった。

 だから、せっかくの狐を撫でれるという天から降ってきたようなチャンスを逃すはずもなく、

 子ぎつねを撫でていた。

 しかし、宰相はそんなことを当然知るはずもなく、納得はしなかった。


「イヤイヤおかしいでしょう。というかその狐はどこから入ってきたんです?」


「知らん。お前はどこから来たんだ?」


 魔王は子ぎつねが答えられるわけがないとわかっていながらも、気になって訪ねてみた。

 すると、子ぎつねはビシッと前足を上げて王都の外にある森の方を指さした。


「おい、この狐明らかにフツーじゃないぞ。人の言葉を理解してやがる。」


「あの森にすむ狐ってたしか・・・。魔王様、多分この狐は妖狐と呼ばれる種族です。」


「妖狐?」


「はい、普通の魔獣と違って魔力よりも気力をその身に多く宿した狐で

 人並みの知能があるんです。」


「へえー、じゃあこいつは魔術も使えるってことか。」


「おそらくは。」


「へぇー。」


 そして、魔王は面白いことを思いついた。

 魔王は子ぎつねを床に卸してから子ぎつねに提案を持ち掛けた。


「おい子ぎつね、明日またこの部屋へ来い。そしたら魔術を教えてやる。」


 子ぎつねは魔王の提案にコクリと頷いた。そして、部屋から出ていった。


 ◇◇◇

 次の日、子ぎつねは昨日と同じように魔王の執務室に訪れていた。


「来たのか。もう少しで昼休憩できるから待っててくれ。」


 そして昼休憩の時間になり、魔王は子ぎつねに魔術を教え始めた。


「まず初めに、魔術とは何かを説明する。魔術とは、魔力を操り科学では説明できない現象を

 起こす方法のことだ。魔力だけで起こすことも可能だが、それだとあほみたいな量の魔力が

 必要になる。だから、魔術陣を紡いでそれを使って魔術を発動する。」


 子ぎつねは魔王の説明をコクコクと首を振って聞いている。そして、魔王が魔術を実際に見せると

 自分も早く魔術を使いたいといわんばかりに目を輝かせている。

 かわいいわぁ、抱きしめてもええやろか?・・・え?あかん?あ、そう。


 魔王はそのまま話を続けた。


「魔術を使うには魔力を感知及び操作ができるようにならないといけない。

 だから、今日から魔力を感知および操作ができるようになる練習だ。」




 ・・・三十分後。


「嘘だろ、おい。俺でも一時間はかかったんだぞ…。」



 魔王は、床に手と膝をつき、ショックを受けていた。

 何故魔王がこんなことになっているのか、子ぎつねは三十分前からの出来事を思い返した。


 魔王は子ぎつねに魔力感知を教えようと手と前足を繋ぎ、魔力を流し始めた。

 しかし、子ぎつねは以前から無意識にだが魔力感知ができていたようなので、

 三分もせずに魔力感知を意識的にできるようにし、魔王の手を払いのけた。


「どうした、子ぎつね?まさかもう魔力感知ができるようになったのか?」


 その言葉に子ぎつねはこくりとうなずいた。魔王は少し考えると指を上げて魔力をなぜか

 集め始めた。


「いいか、魔力感知ができるのなら、これがどこにあるのか前足で指してみろ。」


 そういって魔王は指先から無色透明の魔力の球を宙に浮かすと、それを右に左に移動させた。

 子ぎつねはそれを前足で、すすすと追いかけた。


「マジかよ。もう魔力感知を習得してやがる。」


 その事実に驚きながら、魔王は続けて魔力操作も教えることにした。


「じゃあ、今度は、自分の中にある魔力に意識を向けてみろ。

 魔力の塊があるだろ。今度はそれを動かしてみろ。」


 子ぎつねは魔王の言葉したがって目を閉じて集中しだした。


(さすがにこいつも、魔力操作はすぐにはできないか。)


 そして二十分後、子ぎつねは少々粗いが、魔力操作をものにした。


 そして魔王はショックを受け、冒頭に戻る。


「なんでお前は三十分で魔力の感知も操作もできるんだよ。俺は一時間もかかったんだぞ。」


 魔王は子狐に恨みがましい目を向けて、呪詛を吐くかのように言った。

 まあ、一時間でできる魔王も人外なんやけどなぁ。あ、人外(魔王)やったわ。


 子ぎつねは、そんな魔王を見かねてか、魔王に近づくと魔王の肩を前足でポンポンとたたいた。


「なんなんだよ!お前のせーだぞ!」


 魔王が悲しそうにそう叫ぶと、子ぎつねは驚いたようにビクッと震えた。


「悪い。驚かせたな。ハァー。じゃあ今日はここまでで、続きは明日だ。

 帰っても魔力操作を怠るなよ。お前の魔力操作はまだまだ粗いから、

 もっと緻密にしないといけない。それができていたら明日は初歩の魔術を教えるぞー。」


 その言葉に子ぎつねは目をキラキラさせながらコクリとうなづくと、部屋を出ていった。


 ◇◇◇

 そして半年後・・・


 子ぎつねは毎日のように魔王から魔術を教わり、そして、

 体系化されたすべての魔術を覚えた。


「ホントなんなんだよお前は!」

いかがでしたでしょうか。


ところで、お気づきだろうか第三者(謎視点)がいたことに。

狐「解からん筈が無いやんかー。」

うるさい。

お前ほんとになんなんだよ、二日で魔術を使えるようになるとか。

狐「妖狐です。」

いや、神弧だろ。


これを入れたほうがいいようなので一言。


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[良い点] ホントなんなんだよお前は! [気になる点]  ◇◇◇  そして半年後・・・  子ぎつねは毎日のように魔王から魔術を教わり、そして、  体系化されたすべての魔術を覚えた。 「…
[良い点] いいんじゃない? [気になる点] wwwwwwwwwwwwwwwww [一言] 上妻かずきwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww おもしろいよ?
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