【写し絵】第四章 晦冥の秘事 ー挿入歌ー
○写し絵
1
在りし日々の苦い記憶を
笑い飛ばした空見上げて
肩を並べた 僅かに空いた隙間を
愛しく切なく思う
交わした契りも新しい朝日も
優美なこの世界の無慈悲に
砕かれ気づいた 離れてわかった
その笑顔をもう一度
愛する貴方に誓いを立てた
目を閉じれば疼く重なる痕
手にしたものと失くしたものを
強く抱きしめ眠る
冬麗に包まれて
2
凩に揺れ 朽る葉色を
追いかけはしゃいだ貴方に
重なるように笑う幼いその影は
白く淡い息を吐いた
いつだってもう忘れられない
呪縛のように消えない面影
どうしてこんなに もどかしくさせる
偲ぶ想いは永久に
小さな体を強く抱きしめ
琥珀に揺らめく瞳細めた
手にした夢と失くした慈を
強く抱きしめ眠る
触れ合い交えた二つの熱は晦冥に残したまま
愛する貴方に誓いを立てた
何度でもこの命をかけて
心に宿した 幼き写し絵
強く抱きしめ眠る
頬を撫でる雪の雫
最後までお読み頂きありがとうございます!
作者の紬向葵です。
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シンガーソングライターとして活躍する執筆者が
書き下ろした 小説家【薄桜】の第四章挿入歌。
曲に込められた意味は作品を読み解く鍵に。




