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比翼の詩と、(旧:薄桜)  作者: 紬向葵
晦冥の秘事
54/97

【写し絵】第四章 晦冥の秘事 ー挿入歌ー

○写し絵


1


在りし日々の苦い記憶を

笑い飛ばした空見上げて

肩を並べた 僅かに空いた隙間を

愛しく切なく思う


交わした契りも新しい朝日も

優美なこの世界の無慈悲に

砕かれ気づいた 離れてわかった

その笑顔をもう一度


愛する貴方に誓いを立てた

目を閉じれば疼く重なる痕

手にしたものと失くしたものを

強く抱きしめ眠る


冬麗に包まれて




2


凩に揺れ 朽る葉色を

追いかけはしゃいだ貴方に

重なるように笑う幼いその影は

白く淡い息を吐いた


いつだってもう忘れられない

呪縛のように消えない面影

どうしてこんなに もどかしくさせる

偲ぶ想いは永久とこしえ


小さな体を強く抱きしめ

琥珀に揺らめく瞳細めた

手にした夢と失くした(めぐみ)

強く抱きしめ眠る



触れ合い交えた二つの熱は晦冥に残したまま  



愛する貴方に誓いを立てた

何度でもこの命をかけて

心に宿した 幼き写し絵

強く抱きしめ眠る



頬を撫でる雪の雫

最後までお読み頂きありがとうございます!

作者の紬向葵です。

このお話が面白いと思った方、

続きが気になると思った方は

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シンガーソングライターとして活躍する執筆者が

書き下ろした 小説家【薄桜】の第四章挿入歌。


曲に込められた意味は作品を読み解く鍵に。

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