【泡沫】第三章 白夜の祈り ー挿入歌ー
第三章【白夜の祈り】
-「君が私を呪えば、私は君が死ぬまで死ねない。
…君は、私の主だ」
藤堂家、原田家に囚われた仁と桜は
バラバラになった千鶴たち家族を探すため
それぞれの武家の元で息を潜めながら
情報を集めていた。
そして明らかになる二代武家の闇。
囚われた仁と桜
そして千鶴と真白の行方は ー
-「私は藤堂弦皓の付き人として君の呪いを受ける。
私は、絶対に君を一人にしない」
○泡沫
夏の声が耳に残る
あの日のように変わらないままで
向葵の香り 紡いだ一音は
変わらぬ想いをのせた 祈り詩
1
誰もが風のように 僕を遠ざけてゆく
強さを求めた 過去の痛みも忘れてしまうほどに
君が笑ってというから 僕は笑えていたんだ
砕けた心が 散らからぬように
繋いでくれていたのに
夏の声が耳に残る
あの日のように儚い響きで
朱殷 陽炎 夜闇に溶けた
奏でた想いを繋ぐ 秋の彩
2
戻れなくなるほどに 強がることが増えた
迷路のような答えのない日々
正しく歩けなくて
いつものように笑ってた 君が不意に背を向けた
水面に映る その泣き顔に
戸惑ってしまったんだ
夏の声が耳に残る
あの日のように悲しい響きで
御空色の靄に溶けてく
奏でた想いを嘆いた 別れの歌
選べぬ道でもがいていた
明日にも消えそうな命を
美しいあの季節を
たった一時
それでも確かに
僕らは息をしていた
夏の声が耳に残る
月夜に揺れる命の灯火
花火のように弾けて消えた
誰も知らぬうちに
秋の風が遥か遠く
またねと微笑む君を連れ去る
絹の裾と髪の靡きを
僕は静かにみていた
頬に伝う涙隠した
零れぬようにその手を掴んで
添える指先
戻らぬ彩は
凍てつく白夜に止まった
僕を残して
最後までお読み頂きありがとうございます!
作者の紬向葵です。
このお話が面白いと思った方、
続きが気になると思った方は
ブックマーク、評価お願いします!!
シンガーソングライターとして活躍する執筆者が
書き下ろした 小説家【薄桜】の劇中歌。
曲に込められた意味は作品を読み解く鍵に。




