第四癒:部屋選び
ちょっと毎回長すぎでしょうか。
もう少し分割も考えていきます。中々難しいですね。
自分に用意したという部屋を、3種類見せられて、好きな部屋に住んで欲しいな、と言われた。
ちなみに、イーライ様は
「他の者達に聖女召喚に成功した報告にいく」
と言って他の貴族達が待っている会議室に行ってしまった。
ずっと一緒にいてくれたけど、よかったのかな?
お茶とお菓子が美味しくて長居してしまったけど、私が落ち着くまで待っててくれたのかな?と思い密かにイーライ様の株が上がる。
部屋というから、一部屋ワンルームかと思ったが、さすが宮殿。
寝室、居室、書斎、ドレスルームにお風呂まで完備されている。
それぞれ、テイストが全然違うので、いろいろ好みに合わせて選ばせてくれるつもりなんだろう。
用意されている服も、部屋のテイストに合った感じだ。
一つは超ゴージャスで、お伽話のお城そのもの!なお部屋。豪華な金のエンゼルの像やら宝石で出来ているシャンデリア、金ピカで宝石がはめ込まれた猫足つきのお風呂まである。
全体的に、ベルサイユ宮殿を彷彿とさせる。
部屋続きの衣装部屋にも、ギッシリと煌びやかなドレスがたくさんあり、似合いの宝石まで展示してある。
見るのは楽しいけど、こんな豪華なお部屋ずっといたら疲れそうだな。
「どうかな?」
「すごく…豪華ですね…」
「そうかな?宮殿の客室ではわりとスタンダードなんだけどね。」
レオン様は趣味に合わないなら…と独り言をいいながら移動を始める。
2つ目に案内してくれたのは、ファンシーなお部屋。ヒラヒラフリフリの真っ白な天蓋付きのベッドにはじまり、ピンク色のビロードのソファの背中はハート型になっており、同じくハート型の赤と白のクッションが置かれている。
クッションの前のテーブルは白で、壁紙と揃いのレース模様が彫り込まれている。
淡いピンク色の壁紙にはレース模様が描かれ、床は白い大理石一面に花模様が描かれている。
さらにベッドの脇には、大きなクマさんとウサギさんのぬいぐるみが鎮座している。
「ここはどうかな?」
「可愛い部屋ですね。さっきのお部屋より住みやすそうです。」
「そっかそっか、なら最後の部屋を見てから決めて貰おうかな?」
最後は全体的に、くすんだマカロンカラーの、超好みの部屋だった。
床はキレイなベルベットのアクアグリーンで壁はダマスク柄のアイスグリーン、天井はオフホワイト。
アイボリーのベッド。
あとはホワイトに縁を金色のレースで縁取りしたクッションを乗せた、オールドローズカラーのソファがある。他の調度品やカーテンも好みだ。
何この色合わせ。
可愛すぎる。
マカロンカラーの洋風なお部屋って憧れるよね。
ここがいいな。
それに洋服もドレス以外にもシンプルなワンピースもあるようだし。
「気に入っていただけたかな?」
「はい!!すっごくかわいいです!できればこちらに住まわせていただきたいです。」
「よかった。用意した部屋が全滅したらどうしようかと思っていたよ。」
「そんな。私こんなに豪華なお部屋ではなくてもっと一部屋のお部屋とかで満足なんですけど…」
「あはははは、面白い事をいうね!それだと、使用人用の部屋でもなかなかないよ!」
長年都会暮らしをした身からすると、それでと思うんだけど。
「たしかに先程のお部屋はかわいいですが、本当に狭い方が落ち着くというか…」
冗談だと思ったのか、まだレオン様はクスクス笑っている。
そのあと真面目な顔になり、
「そういう訳にはいかないよ。リナは大事な客人なのだからね。君が望む事は出来るだけ叶えてあげたいけれど、部屋は譲れないな。」
というと、周りの執事とメイドに
「ここがリナの部屋だから。よろしくね。支度ができたら夕食にお連れして。」
僕も支度をしてくるねと言うと、去っていった。
はあ、びっくりした。やっぱり美形の笑顔とか破壊力すごすぎ。
「聖女様。私はイーライ様より、こちらの管理を任されております、執事のセバスチャンと申します。」
セバスチャンはそう言うと、綺麗に腰を折ってお辞儀をする。
「そしてこちらは、聖女様にお仕えいたしますメイドのビオラとネリネです。」
そう言うと、2人のメイドを紹介してくれる。
「ビオラと申します。お仕えできて光栄です!」
ビオラと名乗ったのは、私と同じくらいの年齢に見える、紫髪の可愛らしい少女だ。
「私はネリネと申します。なんなりとお申し付けくださいませ。」
ネリネと名乗った女性はシルバーの髪の毛をピシッとまとめた美人だった。
やっぱりメイドさんとかつくんだな。
ずっと人がいるとか、わりと苦手なんだけどな…
2人の嬉しそうな様子を見ると、いらないとかいいにくいなぁ。
話し相手がいないのもあれだし、教えてもらう事もたくさんあるだろうから、心強くもあるよね。
「それでは聖女様、早速ではございますが、夕食へのお支度をお手伝いさせていただきます。」
ネリネはドレスルームから、水色の可愛らしいカクテルドレスを持ってきた。
「こちらにおかけください。聖女様!」
今度はビオラが鏡台の前に座らせて、肩まである髪をすいてアップにし始める。
あれよあれよと言う間に、着替えがおわり、鏡には髪をアップにして、ドレスと似合いのリボンをくくった私がうつっていた。
2人がハイテンションで、あれこれお化粧したお陰で、記憶にある自分より、かなり可愛く見える。
元々茶色の目がぱっちり二重になっているし、まつげも長い。
どこぞのアイドルのようになり、まさに、かわいいは作れるって感じだ。
「わあ!!聖女様!ほんっとうにお綺麗ですぅ!」
手を前で組み、キラキラした眼差しでビオラが鏡にうつる私を見ている。
その隣ではネリネが満足!!といいたげな表情で、出来栄えを眺めている。
ほどなくしてコンコン、とノックがしてセバスチャンが迎えに現れた。
「聖女様、ご準備はよろしいでしょうか?」
「はい、大丈夫です。」
「それでは、こちらへどうぞ。」
「あ、あの。その聖女様っていうのやめていただきたくて…」
「?」
「聖女様って呼ばれる柄じゃないんで、もっと気軽に呼んでください。」
「ですが…」
「本当に、呼び捨てでもいいんで!!」
聖女様って、持ち上げられるとなんかまだなんの実績もないのに、と思ってもぞもぞする。
ただの職業称号といえば、それまでなんだけど…
「そうですか…そこまで仰るのであれば…リナ様と呼ばせていただきます。」
「ビオラさんとネリネさんもお願いします。」
「私どもに敬称は不要ですわ。」ネリネはここだけは譲れない、というムードだ。
「ではビオラとネリネも、聖女様はやめてください。」
「かしこまりましたぁ。リナ様。」
「リナ様がそう仰るのであれば。」
長い廊下を少し歩き、階段を下がると食堂に到着したようだ。