第二十八癒:茶会事件 前編
今日はしずくとプリムラとお茶会。
アリシア様は来ないみたい。
アリシア様にも会いたかったけど、仕方ないか。
2人から知らない事いろいろ教えてもらおう。
今日は前回と違って少しカジュアルなドレスで行く事にした。ハーフアップにしてもらった髪にレオン様からもらった蝶をつけてもらう。
「ありがとう、ネリネ!」
「いえ、とても良くお似合いでございます。」
ふわりと笑いながら手にハーブの香りのクリームをすりこんでくれる。
ほんのりとレモンバームとジャスミンのような香りがする。
「リナ!!久しぶりですわね!」
会場に着くと、プリムラがこちらへぶんぶんと手を振ってくれる。
今日はピンク色の髪を下ろしていて、ところどころにマーガレットの花の飾りをつけている。
髪の色に合う、ミントブルーのドレスを着ている。
「リナさん、お久しぶりです。」
しずくはグレーのシンプルなドレス姿だけど、美少女感がさらに増してすごく似合っている。
「2人とも久しぶり!元気そうでよかった。」
近寄るとテーブルクロスに刺繍された鹿やリスがこちらを見て、ゆっくりと動き出した。
「では、皆さま揃いましたし、早速始めましょうか。」
しずくが優雅にメイド達に合図をする。
「そういえば、リナも専属護衛騎士ができたと聞きましたわ。そちらの御二方が?」
「ええ、アーサーとフレッドよ。」
2人をしずくとプリムラに紹介する。
「なんでも、ローダンセ伯爵の騎士だった方達とか…」
ワクワク!としずくが目を輝かせている。
「ローダンセ伯爵の?!それは素晴らしいですわね!しかも御二方とも素敵な方ですわ。」
やっぱりレオン様が言っていた通り、ローダンセ伯爵の騎士団は憧れなんだな。
メイドがサッとコーヒーを用意してくれる。
今日は生クリームでできた白鳥がコーヒーの上をスイーっと泳いでいる。
程よく溶けても、型がぐちゃぐちゃにならないのはさすが魔法世界のウィンナーコーヒーだ。
「香りもいいし、深煎り過ぎなくて私好み…あ!そうだ、私から2人にお土産があるのよね。」
私は2人へのお土産のお茶を渡す。
「あら!こちらは素敵なお茶ですわね?蝶が舞うお茶とは私にぴったりです!」
「リナさん、ありがとうございます。私、一度だけいただいた事があるのですが、このお茶実は大好きなんです!!」
2人ともとても嬉しそうだ。
「実はワタクシからも、お2人にプレゼントがありまして…」
プリムラが白地に金の花模様の箱を渡してくれる。
「まぁ!プリムラさん綺麗ですね。」
「これ…宝石みたい…」
箱の中身は、色鮮やかなキラキラ光る大粒な宝石のように見える。
「ふふふ、こちら…実は紅茶などにお使いいただけるお砂糖なんですのよ?スッと溶けるのでアイスティーにもお使いいただける品なのですが…日本生まれのお2人には珍しいか、とおもちしました。」
プリムラが自慢げにいうだけあり、中のお砂糖は言われなければ宝石そのものだ。
めっちゃかわいい…
女子力高いな。
見るとしずくの顔が浮かない…
「私…お2人に何も持ってきませんでした。」
しまった!という感じで俯いている。
「えっ?私、全然交換のつもりじゃなかったから気にしないで!!」
「ワタクシも聖女たるもの、そのような些細な事は気になりませんわ。」
嫌味で持ってこないタイプには見えないし、気にしすぎないといいんだけど。
「そういえば、もしよかったらなんだけど、2人が、どんな事してるのか教えてもらってもいい?私、1番遅れてきたからあまりよく知らないの。」
「もちろんです!!」
パッと顔を明るくしてしずくが言うと。
「ワタクシの華麗なる活躍は…やはり一度聞いていただいた方がよろしいですわね?」
プリムラもすごくやる気だ。
やっぱり2人ともすごくいい子だ。
「やはりイーライ第一王子殿下には聞きにくいですよね。よろしければ私からお話させてください。」
しずくが身を乗り出して言う。
「うん!お願い!」
「…と言う感じです。」
「なるほど…すごいね。すでにジェフリー第二王子殿下の領地と後援貴族の9割は周り終わったんだ…」
「はい!残すは被害の少なく、目撃情報も少ない地域ですので、残りの期間でなんとか間に合わせたいと思っております。」
「さすがね…しかも合間に、貧民街での慈善活動で治療までやっているのね…」
「いえ…皆同じ人間ですから。このくらいは当然の事です。」
すごい…
正に聖女って感じね。
私は、そんな素敵な奉仕精神欠けてたな…
やらない善よりやる偽善…
時間つくって少しやらせて貰おうかな?
「では、ワタクシの活躍のお話ですわね。」
「…という訳ですの。」
「貴族の令嬢に生まれながら、聖なる力を発揮してギデオン第三王子殿下と出会ったのね。」
「プリムラさんの、炎の大型幻獣討伐は本や劇になる程有名ですよ!浄化された幻獣がお礼にと、消えない炎の杖をくれたのですよね!!」
「ええ、こちらですわ。」
取り出したのは、青い炎が閉じ込められた石が先端に付いている柄の長いメイスのような杖だった。
「綺麗ねー!!」
「でしょう?ワタクシの自慢ですわ。」
誇らしげに杖を撫でている。
「それでさ、アリシア様はどうなのかな?」
「…あの方は…」
「あの人はですか…」
何かまずい事聞いた?
「今、1番真の聖女に近いと言われているのが、アリシア様ですわ。」
「ええ、その討伐の数や、すでに小さな亀裂をいくつか見つけて封印を施すなど…大元を見つけ出すのも彼女ではないかとも言われております。」
「そうなんだ…」
「えぇ、しかも派閥に関係なく治療を施すなど、人格も高く評価されておりますわ。」
「……でも…」
しずくがおずおずと話だす。
「私…実はあの方は、聖女ではない気がするのです。」
あけましておめでとうございます!
今年も頑張ります♪




