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第二十一癒:祝勝会

その日は、ステルンベルギア領や関係の貴族達が、大勢やってきて、盛大な祝勝会になった。

イーライ様が挨拶で、一斉にパーティーが始まった。

私はというと、パーティー会場の窓際の高台に席を用意されていて、そこに座っている。

ステラは狼型に戻って、椅子のすぐ隣に寝転んでいる。

手を伸ばせばもふもふできる位置だ。

今日の私の服装は、真っ白な例の聖女服だ。

うんうん。

いくらなんでも私の聖女服じゃ、こんな会には参加できないよね。

ラフってもんじゃないし。

レオン様は、あれは可愛すぎるから、誰にでも見せていいものじゃない、とか冗談を言っていた。

こんな席で置物になっている事については、ダンスとか踊れないし、貴族達がワガママを言ってきたり、袖の下をくれてもどう対応したらいいのかわからないからいいんだけど…

「適当に微笑んで手でも振っておけ。」

なんてイーライ様から言われていたが、私は今ガチガチに緊張していて微笑むとか無理!!って感じなんだけど…

ああ、魔獣と戦ってる方がむしろ気楽…っていけない。

またどんどん毒されてる。

今からでも遅くない。

なんとか軌道修正して正統派聖女に…はなれないか。

ツラツラ考えていると。

「ああ、神秘的でお美しい…」

「憂いを帯びた瞳が素敵ですわ。」

「まるで花の精のようだ。」

「孫の嫁に…」

なんかいい感じに勘違いしたコメントが、聞こえてくる。

最後のはスルーだ。


1人の男性がツカツカと近寄ってきて、私の目の前で跪いた。

「聖女様、お初にお目にかかります。私はこのステルンベルギア領の隣に位置しております、アネモネの領主コンラッド ・ローダンセと申します。」

「ローダンセ伯爵ですか。お初にお目にかかり光栄です。リナ・フジサキと申します。」

「ありがたきお言葉です。実は、聖女様に折り入ってお願いがございます。」

「お願い…でございますか?」

チラリ、と横にいてくれるネリネを見た。

「聖女様へのご依頼は、一旦当家の執事セバスチャンが受け賜る事になっておりますので、こちらへどうぞ。」

ネリネに促されて、コンラッドさんはパーティー会場の別室へ送られて行った。

次にやってきたのは、賄賂の男性だった。

これで自分の領地に常駐してくれないか、とか。

途中でビオラに引きずられて行ったから、最後までは聞いてないけど…

あとは、謎の求婚とか、吟遊詩人が歌にしたい、とか、またまたお願いとか…

セバスチャンのいる部屋は、最早列が出来ている。

フロアから人がいなくなるんじゃないか?ってくらいどんどんやってくる。

無条件で、女性からモテモテになるようにしてほしい!と訴えにきた人は一体聖女をなんだと思っているんだろうか…

ネリネによると、地方貴族の末っ子とからしいけど、その家が心配だ。


こうした挨拶の合間にフロアで踊ったり、飲食をしている人達を眺める。

ドレスって綺麗だよなぁ…

ダンスフロアの空中には大きな花々が咲き誇り、花びらを散らしている。

ピンクの藤の花のようでとても華やかだ。

その花びらは床に落ちる事なくスッと消えているので、魔法の花なんだろうな。

飲食フロアでは、カクテルを乗せたお盆が素早く動き回り、必要な人に配っている。

食事はビュッフェ形式で、大きなスープの滝や中身を注文するとその場で焼いてくれるパイなどなどがあり、とても美味しそうだ。

個人的には、フルーツを出来立てジェラートにしてくれるのが気になる…

でも、ジェラートぺろぺろしながら話聞くとか、態度悪すぎだし無理だな。

イーライ様の株ごと下がりかねない。

微笑み続ける事、三時間…

ようやく一旦退席しましょう、とネリネに促されてフロアを出る。

隣の控室の方に移ると、イーライ様とレオン様もいた。

「やあ!お疲れ様。」

「こちらに来て楽にするといい。」

イーライ様が、フカフカのカウチを勧めてくれる。

「素晴らしい聖女ぶりだって評判になっているよ。」

「やめてください…ダメダメなのはわかっているんです…」

「いや、実際反応は悪くない。私を正式に後援したいという貴族がかなりいたぞ。」

「え!本当ですか?!」

「本当だ。」

「後援不足には悩んでいるからね。実際すごく助かるよ。」

マッサージいたします、とネリネに言われて、カウチに横になる。

ああ〜気持ちいい…

座りっぱなし疲れた。

そろそろお腹空いてきたな、と思っていると、ビオラが食べ物も山盛りに盛り付けたお盆を持って現れた。

「皆様、お食事をおもちしましたぁ!」

ビオラって見た目より力あるよな…

さっきも男性引きずってたし…


ご飯を食べると、だいぶ元気になってきた。

イーライ様が、なんとなく普段よりさらに険しい顔な気がする…

「イーライ様?あの、何かありましたか?」

「ああ、すまない。顔に出ていたか?」

「はい、あの。なんとなくですけど。」

「はあ…実はな、先程やってきた者たちの嘆願をまとめていたんだが…ちょっと問題が発生してな。」

「問題?ですか?」

「ああ、最初にきたローダンセ伯爵は実直な人物なんだが…領地が幻獣に襲われたらしくてな。」

「え?大変ですね!!」

今すぐ行きたい、という話だろうか。

「襲撃の際に、被害を受けた騎士団を連れて来ているんだ。」

「え?」

「びっくりしたろう、兄さんも僕も驚いたさ。お祝いの席に…だからね。」

「それほど危機的状況なんだろうが…調査もせず行くわけにもいかないしな。」

3日後の確認も投げ出せないし、困った…という事なんだろう。

「でも先に、騎士団の皆様のところに案内してください!!」

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― 新着の感想 ―
[一言] >地方貴族の末っ子とからしいけど、その家が心配だ。 むしろ末っ子だからそうなっただけで家の心配は無い、はず しかし殴り聖女とはいえ魔法まで殴り属性じゃ無くても
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