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第一癒:転移と転生

異世界転生とか転移の神様がいたらいいのに、とピンと来ました。

できればシリーズで書きたいなと思っています。

私、藤咲ふじさき 梨奈りなはこの度天寿を全うした。

何歳でかって?

女性に年齢を聞くのはマナー違反だと思う。

だから内緒!


でもとりあえず、趣味に生きるのが楽しすぎた結果、独身だったとだけ。

仕事は薬剤師の本業の他には、実家の割烹旅館を、土日やお盆正月の繁忙期に手伝ったりしていた。

女友達はたくさんいたけど、彼氏もいなかった。

今になって思えば素敵な恋くらいしたかったかもしれない。

でもそれも今更だ。


暖かい光を感じた気がして目を開けると、目の前に1人のおじいさんが立っていた。


白い長いローブと白髪からみると神様だろうか?


そうすると今から面談で天国だのいろいろ決まるのかな⁇

うっ緊張してきた。


たぶんだけどそんなに悪い事はしてない…ハズ…


「ようこそ梨奈くん。ここがどこかわかるかね?」

「…死後の世界…ですよね?」


まだ天国でも地獄でも無さそう…

「その通り、私の名前はアイオーン。異世界転生・転移の神である。おぬしはわが信者と見受けたためここに呼び出したわけじゃ」

「信者??」

信者?私が⁇いつ⁇

アイオーンとか私初めて聞いた神様なんだけど…

しかもなんか洋風な名前だし…

神社仏閣巡りは好きだけど異世界転生と転移の神様とか崇めた覚えがない。


「ホッホッホ。自覚無しと見えるな。」

「はい。大変申し訳ございません。」

「何なに、大多数がそうじゃ。気にするでない。」と言うとどこからともなく、大きなスクリーンがあらわれた。


アイオーン様が手を振ると、

「ん?映っているのは…私?私の…部屋だわ」

そこには私が自室でくつろぎ、タブレットで本を読んでいる様が映し出されていた。

「わかってきたかね⁇つまりじゃ、君は生前たくさんの異世界転生や転移に関する本を読み、自分でも空想し、異世界を愛してきた。これは十分に我が信者の条件を満たしておる。じゃからおぬしを異世界に転生または転移させてやろうぞ」


え?

異世界に転生できるの?

天寿全うしたのに?こう言うのってなんかアクシデントが無いと無理だと思ってた。

「異世界転生は不可抗力やイベント的にしか無理だと思っていました。」

「ふむ。そうじゃな。わしが神として生まれる前はそうじゃったのう。」

「神として生まれる?」

「そうじゃ。昨今、異世界に旅立つ者が多くおり、その物語を読み異世界の存在と、その橋渡し役の存在を多くの者が知っている。そのため、わしがこうして神としてして、生まれたわけじゃ……さて、どうするかね?わしの信者として、異世界に旅立つ気持ちはあるかね?」

「転生先や転移先は、選べるんでしょうか?」

「ある程度の要望は聞ける。転移ならば、16歳程度の年齢での転移となるのぅ」


ハイハイから始めなくてよくて若返り、要望もありとかラッキーすぎる!

行くなら、絶対魔法がある世界がいい!!


「ではできれば転移がよくて…」

と要望を伝え始めると、アイオーン様が先程のスクリーンを別の画面に切り替えた。


それは、前世で目にした事がある住宅情報サイトにソックリだ。

名前はウツリスーモと書いてある。


アイオーン様がもう一度手をかざすと、藤咲梨奈の転移先候補。

200万件以上、と出てきた。

多!!

めっちゃ多い!!

異世界ってそんなにあるの?

下にはずらりとそのそれぞれの世界の写真やら、年代やらが並んでいる。

「他にもあるかね?」

「え?あ、あとは魔法が使えて、前世の知識も忘れずにいられて、食べ物や文化があまりにもかけ離れて、いなくて…」

要望をどんどん伝えると、ガンガン候補件数が減っていった…

最終的には3つの世界が残った。


一つ目は日本のように四季がある世界。

街並みは少し前の貴族社会のヨーロッパのようだ。

この世界は今、他の世界から流れて来た瘴気に侵食されていて、瘴気に当てられた精霊や動物が幻獣や魔獣になって各地を荒らし回っているらしい。

そこで王子たちがそれぞれ、聖女を召喚していて、その呼びかけに応える形での転移になるらしい。

食べ物も日本で食べ馴染んだものに似ていて良さそうだ。お風呂に入る習慣もきちんとあるらしい。


二つ目は、一年中春の気候の世界。中華風の世界観で文化も発達している。この世界に行くなら国同士が争い政情が荒れているため、巫女として転移し、国内を平定して欲しい、とのこと。

召喚者は特定の誰かというより、民衆の祈りに応え、約束の泉という場所に降り立つらしい。


三つ目は、夏多めな世界。現代に1番近いものの、その世界には亜人がいる。自分も亜人としての転移だ。猫科の亜人として転移し、亜人間や人間との摩擦や差別を平定するのがお仕事らしい。

召喚者は亜人のライオンの王子。亜人が肉体労働や軍事にばかり駆り出されるのをなんとかしたい、とのこと。


うーん。

めっちゃ迷う…


一つ目は精霊や妖精が魅力的だし、街並みや服装が、可愛くて好みなんだけど、魔獣とかと戦うの怖い…

二つ目は戦争があるのか…

三つ目は亜人とかめっちゃ興味ある…もふもふ、もふもふは正義だ。召喚主もイケメンすぎるし…でも現代っぽいのがなぁ…


「して、どうするかね?少し悩むならお茶を出そう…」

というと、どこからともなく女の子が2人現れてアイオーン様と私の前にテーブルとイス、それからアフタヌーンティーセットを置いて去っていった。


死んでからもこんなに美味しいお菓子をいただけるなんて感激!などと思いながら思い悩む。


「そういえば、異世界って多いんですね…びっくりしました。」

「そうじゃのぅ。ただ転移したい、というだけであればそれこそ無限に存在するとも言えるがのぅ。おぬしのようにその世界で役割を持ちたい、などがあると魂の資質もあるゆえぐっと難しくなる。要望と資質次第では該当検索無しというのも珍しくはないわい。」

そうなんだ…じゃあ3つもあるのはラッキーなんだな。

見えない親切。普段は見返りなんていらないと思っていたけど、たくさんしていてよかったと、この時ばかりは思った。

「決めました!!」

悩んだ時はフィーリングだ!!感が大事。

「おお、決まったかね。」

「はい!一つ目の世界でお願いします!」

「承った。では肉体の時を巻き戻そう…ついでじゃが見た目も少しだけ、向こうの世界に合わせるぞ。………ふむ。こんなものか。では、転移世界の名はメルリス。よろしく頼んだぞ。」

「わかりました!精一杯頑張ります!」

力強く宣言すると、また暖かい光に包まれた。


誰も居なくなった天空界で、

「見た目、ちょっとだけ本気出しすぎたかのぅ…まぁ、今更じゃ。」とアイオーンはポツリ、とつぶやいた。

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