表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1/1

こりゃないよ神様




あれ、私もしかして転生してない?という事実に気づいたのは突然だった。



――――――――――――――――――――――――



いきなりだが私には大好きだった乙女ゲームがある。

学園恋愛もので設定としてはありきたりではあったかもしれないが、攻略キャラ達はみんな顔が国宝並みに良かったし、声もスチルもストーリーも本当に素敵であり、私はこの乙女ゲームを隅から隅まで余すことなくプレイした。



そんな大好きであった作品の中でも殊に好きだったのが主人公…そう、ヒロインである!

この作品で私はヒロイン推しだったのだ。



しかしヒロイン推しである私にとって一つ問題があった。それは、この乙女ゲームでの一番の特徴である。

その特徴というのが、一度選択肢を間違ってしまうとヒロインが死んでしまう、というものだ。

私にはこれが辛かった!ヒロインは推しなんだ!その推しが!どのルートに入って、どれだけ好感度を上げていって順調に進んでいても一度選択肢を間違っただけで死んでしまう!これがどれだけ辛いか!



どのルートでも絶対にバッドエンドで殺されたり、不慮の事故などで死んでしまう推し。しかもその死んでしまうバッドエンドも1つではない、1つのルートに対して3つ以上は死んでしまうバッドエンドがあるのだ。それも本当に多種多様な死に方をするのである。よく制作側はあんなに多彩な殺し方を思い付いたものだと関心も覚えるくらいであった。

それでもこの、ヒロインが死んでしまうという所を除けばヒロインのことは大好きであったし、ストーリーも本当に良かったのだ。だから何度もヒロインを殺され大号泣しその度に簡易お葬式を行い、これは本当に乙女ゲームだよね???と幾度となく自問自答しながらもプレイしていき、なんとかストーリーもスチルも全てコンプリートした。

そんな苦労もあったが、それ故に人一倍愛着もあった乙女ゲームだった。



さて、唐突に始めてしまった私の大好きだった乙女ゲームの話であるが何故こんなことを話し出したかというと、そう、もはや皆さんお察しかもしれないが、なんと私この乙女ゲームの世界に転生しちゃったらしい。



今日から私も華の女子高生!楽しみだな〜るんるん♪なんて思いながら姿見で制服姿の自分を見て突然前世を思い出したのだ。

前世の私は所謂社畜というもので会社をいつ辞めてやろうかと考えながら辞められずままで結局は過労死してしまったのだ。うん、こんな話は今はどうでもいい。いや、どうでもよくはないが今私はそれ以上に重大な事に気づいてしまった。



あれ…?もしや私は私の推し(ヒロイン)を恋に狂って何度も殺した同級生のモブ三人衆の一人に転生してるのでは………???という事だ。



姿見に映るなんともモブらしく平凡な容姿をしている自分の姿。キャラデザがあったモブだけあって多少は本当に多少は可愛いらしい見た目をしてはいるかも知れないが本当にそれだけで特筆すべき特徴なんてものは一切ない。そんな私の姿はまさにヒロインを殺しちゃうモブ三人衆にいた姿なのである。



いや〜本当に理解ができなかった。転生しちゃっただけでも頭が追いつかないのに、それに加えて私は推しであるヒロインを殺す仇と言っても過言ではないモブに転生したのだ。転生するにしても、もっとあるじゃん???ヒロインの親友とか妹とかさぁ???

別にね!?モブ転生自体はいいんだよ!?むしろご褒美だよ!大好きなヒロインの恋模様を第三者として覗き見ることが出来てしまうんだし!しかもこのモブ同級生だから近くでヒロインのことが見れるしね!これはなんというご褒美!?神様ありがとう!!って叫び出したいくらいだよ。ただの、えぇ本当にただのモブだったら!!!

あぁ神様、モブはモブでもこりゃ無いよ神様。



誰が嬉しくて自分の推しを殺しちゃう系モブに転生するんだよ!!!!!



私、本城 雪乃は高校初日の朝から精神的疲労を抱えながらこれから送る高校生活への不安を胸に家を出て、入学を祝うかのような暖かな陽射しの中舞台である高校へと歩みを進めるのであった。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ