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開かずの塔のダンジョンマスター  作者: てぃる
ダンマス達の夜会、前哨戦
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歩もたまには感情的になります。(元)にんげんだもの

「おお、出てきた出てきた。この干物に聞いたぜ? 今年は4人だってな。牛と、小娘とガキの3人だな……ガキはどこだ?」


 代表者だろうか。蜂の虫人間が声を上げる。ダメだよ? ちゃんと蜂の人型は槍を持たないと。


 その足元にはカッピカピに干された烏賊っちが……ああ、哀れ。


 サメ人間の2人は……、ああ、綺麗な骨に。美味しく頂かれたようだ。


 ガキって、オレの事だよね? 牛とカバの後ろにいたから見えないらしい。


「シヴィー、どうだ?」


「コロだけでも十分殲滅が可能かと思われます。名付け前の状態でもコロ以下の魔物ですし、強化されたコロを傷付けられる者はいないと考えて問題ありません。ただ、精神体の魔物が気になります。コロではダメージが与えられない可能性が。その場合には私が出ましょう」


「……間違いないな?」


「我が命に賭けて」


「良し、信じる」


 小声でシヴィーに確認。シヴィーは魔物の知識がすごいから信頼できる。まあフィルと一緒に暇なときに勉強している成果だろう。


「隠し立てすんじゃねえぞ! マスターは3人いるって分かってるんだからな!」


「ちゃんといるよ」


 蜂人間の周りには人型の魔物が1人と……なんかさまざまな魔物のオンパレードだ。幽霊っぽい魔物に骨、スケルトン系列? それに大きな蟻にミノタウロス、烏賊の連れてたサメ人間より大きいサメ魚人、炎の塊、トド人間に、オーク、それと何だろ……悪魔かな? まあいろいろだ。


 これだけいると、どれがマスターでどれが従者か分かんないな。


「それじゃあだ、オレ達と同盟を組もうぜって話だ。お前らみたいな弱そうな魔物のマスターじゃもう2度と夜会に呼ばれないぜ?」


「初参加は誰でも出来る、でも一人だけでもう一度夜会に呼ばれるほどのDPがお前らに稼げるか?」


「オレ達のダンジョンは全員15層以上、多いやつだと30層ものダンジョンを所持している。どうだ? 一緒に最強を目指そうぜ?」


 ダンジョンマスターというのはそれぞれの階層の多さで序列が決まるようだ。


「そっちのナンディン、階層は?」


「……18層」


「ひゅう! 使えそうじゃねえか」


「聖属性の魔物は貴重だからな。オレ達アンデッド族じゃショップで買うにも余計にDPくっちまう。どうだ? オレんとこのゾンビと魔物の交換をしようぜ?」


「ばーか、てめえが浄化されちまうじゃねえか」


「ちげえねえ!」


「「「 ぎゃはははははははは! 」」」


 変な魔物連中が声を揃えて笑い声をあげる。


 笑いのツボがわかんないね。


「騒がしい連中ね……」


「ああ? 女ぁ、てめえんとこはどうなんだ? 階層が少なくって恥ずかしいってんならオレんとこ来いよ、可愛がってやんぜ?」


「近寄らないで」


「変なカバに乗りやがって。ガキが。いいから答えろ」


 正面にいた男が恫喝するように言う。ノイの気配に似てるから魔族かな。


「ジャル」


「バアアアアアアアー!」


 ジャルの周りを囲むように青白い壁が出来上がる。


「くだらん」


 男が呟きながら右手を前に出すと、ジャルの張った壁に亀裂が入る。


「シヴィー、強化」


「はい」


 小声でシヴィーに伝えると、シヴィーは頷いて魔法の壁を修復させた。


「え? え?」


 シヴィーの補助に気づかずに、面を食らうミルフィ。


「ほう? 多少は使える魔物を連れてる様だな。それで?」


「……20層よ」


 その言葉に、その魔族の男がにやりと邪悪な笑みを浮かべる。


「そっちのガキは」


「がるるるるるる!」


「あ?」


「コロ、ステイ」


「わふ」


「ああん? 生意気な犬っころだなぁ? お前らこいつを懲らしめてやれ」


「「 へい 」」


 トド男の一言に前に出てくるサメ型の大きな魔物。一応二足歩行なのね。


「悪いな、ウチのボスの指示なんだ。ちょっくら痛い目にい?」


 そんな大型のサメの魚人? がオレの足元のコロに、というかオレに跪く。


 烏賊もそうだったけど、こいつらの挨拶はこういうものなのか。


「お前ら何を、ぬう……」


 あ、トド男は片膝でなんとか踏みとどまった。


「面妖な技を……」


「ボスぅ」


「情けない声を出すな」


「何やってんだお前ら」


 スケルトンっぽい骨の魔物、豪華なローブを着た骨が前に出てくる。


「それで、お前のダンジョンの階層は?」


「……6、7?」


 外層と屋上はカウントしていいのかなぁ。


「ぷは」


「く、くははは!」


「6かよ、こりゃぁ期待の新人だなぁ!」


「アユム様」


「抑えろシヴィー」


「ガルルルルル!」


 オレを守る様に、前に出てきたシヴィーに注目が集まる。


「ほほう、こいつはお前の従者か。なるほど、綺麗どころを侍らせて悦にいってるタイプのマスターか。そりゃあ6階層程度だな。いいぜ? その女だけでお前は見逃してやる」


「あ?」


 何つった?


「いい苗床になりそうだなぁ。お前らんとこで使い切ったらこっちに回してくれよ」


「じゃぁ順番を決めねえとなぁ」


「1番目で終わっちまうんじゃねえか? なあおい」


「…………コロ、殲滅」


「わん!」


 オレの言葉にコロが返事をすると共に、その姿がぶれた。

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― 新着の感想 ―
[一言] 鎧袖一触が約束された一戦。
[一言] 序列は階層なのね…生き残った年数じゃないのはなんでだろ? 加護持ち(複数)なダンマスって他にいないよね 最悪戦争になったら銀龍を召喚して名付けをすればいいんだしヤベーわ
[良い点] やっちゃえ殺っちゃえww [一言] 主人公の過去生をほのめかしてすぐ退場かと思ったらイカ君生きてましたかw淡水系の相手はどう反応するのかなあ?
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