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開かずの塔のダンジョンマスター  作者: てぃる
ダンマス達の夜会、前哨戦
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びーむきらめーくふらっしゅばっくにー

「斎川歩です。お久しぶりです、田中さん」


「ええ、斎川さん……ですか? えっと……すいません、私が担当しましたっけ?」


 個人的には会ってから1か月も経ってないんだけど、150年も経ってるからわかんないか。


「えと、田中さんと同じ時期に呼ばれたんだけど」


「私と……ですか?」


 オレの姿をまじまじと見つめる。


「ふむ?」


「まあ身長も縮んだし顔立ちも変わったし髪の毛の色も変わっちゃいましたからね」


「そうだったんですか……すいません、全然覚えてなくて」


「まあ随分昔の話ですからね」


 ははは、とお互い苦笑をする。


「それにしても、夜会へのご参加は随分ゆっくりでしたね」


「ええ、実は神々の争いに巻き込まれてしまって、ダンジョンの修復に随分時間がかかってしまいまして」


「それはそれは、難儀をしたでしょう」


「うちのコアが頑張ってくれましたから。それに神々から謝罪を頂いておりますし」


「ほほう、それはまた」


「やっぱり珍しいですかね」


「とても珍しい事ですよ、神々と謁見するのも簡単には出来ないですからね」


 結構勝手に出入りしてますよ?


「田中さんはダンジョン経営どうなんです?」


「いや~、聞いちゃいますかそれ」


「聞いちゃいますよ」


 同じ日本人の作るダンジョンだ、気になる。


「実は、私。ダンジョン攻略されちゃいまして」


「え?!」


「こちらに足を運んでいる最中にダンジョンコアが破壊されてしまいまして、おかげで私自身は無事だったんですが」


「そんな事が」


「名付けしたモンスターが突破されるとは思っておりませんでしたから。そんな強力な冒険者が足を運ぶような有名なダンジョンではなかったつもりなんですけど」


 しみじみと田中さんが目を細める。


「こちらに閉じ込められてしまう結果になりましたが、ナラヴィー様にお仕事を頂きましてね。こうして新人のダンジョンマスターを指導したり、魔物の教育をしております。マスターの方々と同じく、不老ですので見た目も変わりませんし」


「なるほど」


 てかマスターって歳取らないんだ? あれ? じゃあずっとこのまま!?


「日本では教師をしておりましたから、結果としては良かったかもしれませんね。私のコアや魔物達には悪いと思いますが」


「じゃあこちらでも田中先生ですね」


「いやぁ、先生と呼ばれるのもお恥ずかしいレベルですよ。そうそう、斎川さんが送ってくれた天然のコア、これがまた良い生徒でしてね」


「ああ、あのコアですか。無事に届いたんですね」


「ええ、ええ。ナラヴィー様のマザーコアから生まれたコアではないので、ダンジョンコアとしての基本はあるのですが、マザーコアからの新しい機能のノウハウを教えるのが楽しくて楽しくて」


「えーっと……」


 ちょっと良く分からない。


「あの箱がお気に入りですね。常にあそこの中におりますよ」


「そうですか」


 座布団も付けたしね。


「天然コアがこちらに届いたことはなかったので、ナラヴィー様も含めて大騒ぎでしたよ? 自身のダンジョンコアに吸収させなかったんですか?」


「吸収? そんなこと出来るのですか?」


「コアが言わなかったのですか?」


「そう言えば……」


 ちらりと腕時計を見る。


 腕時計の文字盤の上に文字が浮かび上がった。


― バージョンアップして初めて知った ―


 なるほど。


「ちなみに吸収すると何が出来るんですか?」


「そのコアが呼び出せる魔物や武具、環境などが新たに呼べるようになります。あと、そのダンジョンコアが持っているDPを回収することが出来ます。そのダンジョンコアが生成したダンジョンを吸収してDPに変換することもできます。まあすべてDPに戻せる訳ではありませんが」


 まんま相手のダンジョンを乗っ取れるのか。


「ダンジョンの吸収はダンジョンコアを回収してすぐにやらないとダメなんですけどね。時間がたつと回線が切れますから」


 随分いろいろなことが出来るらしい。


「そうなると、マスター同士の争いもあるんですね」


「そうですね。夜会で……いえ、これ以上話すのはフェアではないですね」


 もう答え言ってるよね。


 その後も少し話して、次の烏賊っちにバトンパス。


 挨拶が終わると、ミルフィのダンジョン自慢が始まり、気が付くと終わりの時間に。


 オレ達、初参加のダンジョンマスターはそれぞれのダンジョンに戻る事になる……はずだった。

たなかのかげ

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