表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
開かずの塔のダンジョンマスター  作者: てぃる
ダンマス達の夜会、前哨戦
94/235

94

新たなるぼいんぼいん

「ミルフィーユ=ウィンディア様に御座います」


 言いながらミニバッフォが歩を進めようとすると、向こうからツカツカと大股でこちらに歩いてきた。


 桃色のツインテールとかまんまだ。きっと胸部装甲も……。まあ薄い。


 小柄、まあオレと同じくらいの背の女の子だ。


 片手剣を差した冒険者スタイルの装備。剣使えるの? 動きやすそうな格好だ。


「ちょっと、なんであんな獣に先に挨拶に行くのよ! まずあたしに挨拶をするでしょう普通!」


 えーっと?


 ちたりとミニバッフォに視線を向ける。


「こちらにいらっしゃった順にご挨拶をさせて頂いておりますので」


「って事らしいよ」


「会場見たでしょ! あたしとあの牛しかいないんだから! あんたも人型ならまず人型のあたしに挨拶するべきでしょうが! まったく、わかんない子ね!」


「ミルフィ、ちゃんとあいさつ」


 横で控えているハーピィが声をかける。


「わかってるわよ! ふんだ」


 わかってないだろこいつ。


「えっと、オレは斎川歩。こっちがシヴィーで、こっちがコロだ」


「よろしくお願いいたします。アユム様の従者、シヴィーで御座います」


「わんわん!」


「わぁ、かわいい……」


 だろう? ウチのコロは可愛いだろう?


「はっ!?」


 コロの可愛さにやられていたが、正気に戻る。


「あ、あたしはミルフィーユ=ウィンディアよ! ミルフィ様と呼んでいいわ! こっちはハーピィのシャオリー、それと…………ジャル! いつまで食べてるの! こっち来なさい!」


 さっきの獣だ。カバだ。白いカバ。


「もにょもにょもにょ」


 口をもにょもにょ動かしながら、こちらをゆっくり振り向くと、ゆっくりと口の中の物を飲み込んで、ゆっくりと、ゆっくりとこちらに……。


「遅い!」


 ようやく横に並んだカバを蹴るミルフィーユ。


 ぼいんぼいん。ぼよんぼよん。


「あたしの騎獣、ヒポポタマスリーダーのジャルよ! ジャル! 挨拶なさい!」


「ばー!」


 大きい口を開くと、オレの前で伏せをする。


「ちょっと! なんでそんなへりくだってるのよ! ちゃんと教えたでしょ! 普通に挨拶なさい!」


 更に横腹をガスガス蹴られるが、脂肪がプルプルしているだけだ。


 ぼいんぼいん。ぽよんぽよん。


「はは、可愛いじゃないか。よろしくなジャル」


「ばー!」


 嬉しそうに声を上げ、顔をプルプルさせている。


「何よ! ジャル! あたしにだってそんな嬉しそうな顔しないじゃない!」


「ばー?」


「マスターの素晴らしさがわかるとは、良い魔物です」


 満足した表情のシヴィー。


「あんた、ダンジョンマスターよね? 普通の人間の従者とか何考えてんの?」


「え?」


「鉄の犬は、まあいいわ。固そうだし、動きもアイアンモンスターの割には滑らかだし。でもそっちの女は人間じゃない。残酷なマスターや従者に目つけられたらあっという間に攫われるわよ?」


「え?」


 人間じゃないよ? あれ、シヴィーってなんて種族だっけ? イービルアイズから進化して……悪魔なんだろうけど。


「マスターはお優しいですから。それにコロもいますし」


「ふん、美人なだけの従者なんて何にも役に立たないんだからね! せいぜい寝首をかけられない事ね!」


 寝首を『かかれない』ね。指摘したら怒りそうだ、


「まーまー、喧嘩しなさんなって。せっかくの夜会、仲良くするさー」


 牛の登場。


「あんたも背中の鳥とか何の役に立つわけ?」


「鳥じゃなくてチロッチさ。チロッチは痒いところに手が届く便利な子さー」


 それ、毛づくろい要員だよね。


「最後のダンジョンマスター様が到着なさいました」


 ああ、さっきの烏賊ちゃんね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
面白い! 続きが気になる! もっと書け! と思った方はブクマ&評価よろしく!
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ