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ウサギ様の登場=話が止まる……かも?
「さて、続いては夜会の会場やその周辺についてお話を致しましょうか」
「ああ、気になる気になる」
プチバッフォは懐からパンフレットのような物を取り出す。
明らかにプチバッフォより大きいパンフレット、懐に入らないでしょ。
「ゲートから外に出ますと、ナラヴィー様のダンジョンの中央部分に転送されます。こちらになりますね」
テーブルに広げられたパンフレットのMAPの一部を指さす。
「すべての通路は、あらゆる大きさの魔物に対応しております……と言いたいのですが、一定サイズの大きさの魔物は流石に通過できません。そういった魔物はゲートを通ることが出来ませんので人化や小型化をお願いしております。それが出来ない魔物を従者とするのはご遠慮下さい、まあ無理やり連れて行っても建物に入れないなどの弊害が起きるだけですが」
縮尺が良く分からないけど、通路はそこそこ大きい。でもウチのダンジョンを破壊したような巨大な龍なんかは通れなそうだ。
ウチだと銀ちゃんサイズだと無理かな?
「中で働いている魔物には極力危害を与えない方がよろしいかと思います。彼ら彼女らはナラヴィー様のダンジョンを維持する事に特化した魔物が中心で、戦闘能力の低い個体が中心ですから」
そもそもナラヴィー様の魔物に手を上げると、神々からの心象が悪くなりそうで嫌だ。
「ダンジョン内を警護し、マスター同士の争いを仲裁する立場の強力な魔物もおりますので、喧嘩や諍いを行う際には注意して下さいませ。必要が御座いましたら闘技場もご用意してあります。こちらですね」
「用意がいいね」
「毎回、いがみ合うマスターはおりますから。それと自分の魔物を自慢したいマスターも。他には種族的な諍いなども。殺し合いや喰い合いが話し合いと同意義と考える種族もおります」
仲の悪い種族がかち合うこともあるらしい。
「マスター様方は、異形の者が多いです。言葉が通じ合わない魔物もおりますしね」
確かに、ウチのダンジョン内でもシヴィーに通訳して貰わないと言葉が通じない相手がいる。まあ向こうは理解してるみたいだけど。
ちらりとシヴィーを見ると、優しくこちらに微笑みを向ける。
「お任せ下さい。大抵の魔物とは意思の疎通が可能です」
「頼りにしてるよ」
「わ、わたしも頑張ります!」
「よろしくミリア」
そんなやり取りをするオレ達をプチバッフォが見つめる。
「もし警護の魔物を倒せたら、こちらに連れて来れば吸収し配下として召喚出来るようになります。この場で小生を殺せば、プチバッフォが召喚出来る様になりますし、斎川様の実力であれば小生の上位種も呼べるようになるかも知れませんね……試されてみますか?」
「しないよ」
どう考えても罠だ。
「賢明に御座いますね。小生を排除されますと、案内係の魔物がいなくなります。案内係の魔物はマスター1人につき1匹、補充はされませんから」
やっぱねー。それとそれだけじゃないっぽいし。
「他にもペナルティ的なものがあるんじゃない?」
「お試しになれば分かりますよ」
やっぱありそうだ。他の魔物にも手を出すのはよした方が良さそう。
「……アユム様、どうやらお客様の様です」
え? もう? まだ誰ともつながりないけど……。
テラスから見える位置、ナラヴィー様へのダンジョンへとつながるゲートが光輝き周りの柱と影を作る。
「来たネ」
そこにいたのはウサギ様。
慌てて駆け寄り礼を取る。
「ケレンセリッシュ様、ようこそおいで下さいました」
「君クラスのマスターが今まで夜会に呼ばれなかったのが不思議な話ネ」
「なんと、ケレンセリッシュ様……」
プチバッフォが深く跪く。
「ナラヴィー様の従僕かネ」
「ええ、お初にお目にかかりますケレンセリッシュ様」
「どうネ? お客さんの受け入れ準備は」
「まだ始めたばかりですが……シエル、どう?」
「テラスであれば、お飲物と軽食程度ならご準備出来ます」
「そうかネ、じゃあ紹介……というか挨拶をしたいって神を連れて来てるネ。入れていいかネ?」
それって拒否出来ないやつー。
「テラスでよろしければ」
「こちらとしては場所は選ばせないネ。入れていいなら入れるネ」
「はい、構いません」
「じゃあ呼ぶネ。入るネ」
ゲートが光ると、3名……3柱(?)の神様がいらっしゃった。




