79
しんしょうがあらわれた!
湖の調査を行っている海人族の連中は、保身に走っている様子。どうやらボムクラゲを突破する方法が見つからないらしい。
「彼らの監視は任せた。オレは少し出てくる」
「ノイとエディにお任せです!」
「了解イタシマシタ、オ任セヲ」
オレは頷くと、指令室の席を立つ。
「どちらに?」
「まずミリアのとこ、シヴィーも来て」
「もちろん、お供致します」
オレは歩いて屋敷から出る。
オレが屋敷から出ると、呼んでないのに星丸が飛んでくる。
「星丸、後で呼ぶから」
「ぎゃううん」
オレの胸元に顔をうずめると、すぐに離れてオレの横につく。
「一緒に来る?」
「ぎゃう」
後で呼ぶなら付いてくるって事らしい。
工事も佳境に入り、そろそろ装飾もほぼ出来上がっていた橋を渡り神殿へと足を向ける。
「ミリアー?」
「はい、ようこそおいで下さいました我が主」
「「「「 ようこそおいで下さいました 」」」」
ミリアはこちらに気づいていたらしく、セルキーやブラウニーを伴いオレを出迎えてくれた。
「お、おう」
ちょっと圧倒される。
薄着のお姉ちゃん達の頭を下げる姿に色々視線も忙しい。
ちっちゃいブラウニー達も可愛いしね。
「えっと、ミリア。今から山にいくから付いて来て」
「畏まりました」
オレはシヴィーとミリアを伴って、神殿の外で移動。
「空間移動で行きますか?」
「星丸が飛びたがってるから」
オレの言葉を待ってましたと、星丸が首を下げて乗りやすくしてくれる。
シヴィーとミリアがオレが乗るのを補助してくれて、星丸に乗り移動を開始。
シヴィーとミリアも翼を広げてそれに続く。
うーん、ミリアに前に飛んでもらえれば…いや、やめよう。おっさんの思考だ、それもかなりダメな方のおっさんの思考。
「どうかなさいましたか?」
「なんでもなーい」
横に飛んでいたミリアの顔を見ていたら声をかけられてしまう。
「ふふふ、こうして我が主と飛ぶというのは随分楽しいものですね」
「オレの場合飛んでるのは星丸だけどね」
「私としては貴重な時間です。普段は神殿にいますから、朝と夕の食事の時間しかご一緒出来ませんので」
「ずっと神殿を清めてくれているからね。いつもありがとう」
「なんとお優しいお言葉、有難うございます」
「ぎゃうぎゃう」
「星丸もありがとう」
星丸が普段なにやってるか知らないけど。
「それでアユム様、山に移動との事ですが何をなされるんですか?」
「今度の夜会に着ていく服を取りにね」
「ミリアもお呼びになられたということは、ミリアをお連れに?」
「うん。シヴィー絶対付いてくるでしょ?」
「! よろしいのですか?」
シヴィーとフィルにしようかと思ったけど、どちらも魔法タイプに思える。
フィルには申し訳ないが、シヴィーのが食い下がってきそうだからシヴィーにしておいた。フィル
もシヴィーとでは話し合いにならなさそうだからと引いてくれた。
そうなると前衛タイプとしてミリアかノイ、それと星丸とコロ、銀ちゃんとなる。
銀ちゃんは防衛の要であるし、何より移動速度が遅いため却下。
星丸とコロはオレやシヴィーの壁になるには良いかもしれないが、とっさの時に何を言っているのかわからないので却下だ。向こうはオレの言葉理解出来てるのに……。
ノイも、情報部の責任者だ。オレが不在の間、デーモンアイズのエディが集めた情報を取りまとめる役がある。
オレが不在の間、ダンジョンを取りまとめるフィルの力になってもらいたい。
これらの事情により、ミリアを連れて行く形にした。
もちろん消去法なだけではなく、神々の世界で教育を受けたミリアの力も必要だからだ。
「ミリアはともかく、シヴィーは自分で顕現させた服を着てる状態だからね。アラクネに言って服を作らせてるんだ。それを受け取りにね」
「感謝致します、アユム様」
「えっと、そうなると私は?」
「ミリアの服もお願いしてるから」
「まあ! 有難うございます!」
嬉しそうに手を叩くミリア。
話しているうちに、天狗達が住む山小屋の集落が見えてくる。
「ようこそおいで下さいました! マスター」
唯一の烏天狗が空を飛び、オレ達を先導してくれる。
「「 お待ちしておりんした、マスター 」」
出迎えてくれたのは、アラクネ達のリーダー。
5mほどあるサイズの巨大な蜘蛛から、2人の人間の上半身の生えたアラクネの進化種、【ディージェムアラクネ】のチムとチュムとチェムだ。
正面から見て蜘蛛の部分がチム。右がチュムで左がチェム。
進化前のアラクネは、下半身の蜘蛛の足が丸く毛のびっしり生えた足だった。今は全身がまるで漆黒の鎧を纏っているような硬質感のある殻に覆われている。足の先端はまるで剣のように鋭く、歩くたびに地面に突き刺さる足だ。
床が傷つくから、屋内施設のほとんどが禁止の悲しい子、DPで出した施設は入れるけど、サイズ的に屋敷は無理!
上半身の人型部分もまるで鎧を纏っているようだったが、仕事の関係でその殻はひっこめていて、色素の薄い白髪の女性が顔を見せている。




