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三人称視点
街の外から来た連中(?)とそれを迎える街の兵士の話。
「おい、珍しいな。西から人が来るぞ?」
タワータウンの外壁の巡回を行っていた兵士が、その人間たちに気づいた。
「本当だな。冒険者か?」
タワータウンの西側。過去、栄えていた時期もあったらしいが、今は魔物の領域だ。
滅び去った廃村などはあるが、人の住んでいる話など聞かない。
「どれ、下の連中に伝えておくか」
開かずの塔の主の作った外壁には東西南北に大きな門が設置されている。
他の門は人の出入りが激しいが、西側は街の人間の出入りしかない。
狩人や冒険者達だ。
兵士たちが言う珍しいというのは、見慣れない人間。門番達の顔なじみ以外が門の外から来ることだ。
「しっかし、ボロい連中だな」
「ああ」
「どうかしたか?」
兵士達が話していると、外壁の内側から声がかかる。
「はっ! 見慣れない人間が西側の森方面からこちらに歩いてきております!」
「なんだと?」
兵士達に声をかけた上役。この街の兵士長を務めているドレッド=バッツだ。
ジャンプ一つで外壁の通路に飛び移ると、外に視線を向ける。
「あれは…確かに見た記憶のない顔だ。身のこなしがいいな、上級冒険者か?」
目を細めて街に近づく8つの影に視線を向けると、外扉の門に足を運ぶ。
「外に出る、お前たちは門を閉めておけ」
ドレッドが門から出て、外から来る人間を出迎える。
「やっと、ついたぁ」
「遠すぎる…なんでまたこんな苦労を…」
門に辿り着くか、辿り着かないか。そんな目の前の位置で8人が足を止めてる。
何人かは座り込んでしまった。
「よう、見ない顔だな。身分を証明する物はあるか?」
「あー、これは使えるか?」
男が取り出したのは、何か貝殻だ。
「これはどこの身分証だ?」
「まあ使えないよなぁ。うちの村での立場を示す証なんだが」
「ふむ、どこの村だ?」
「あそこの山の向こうの麓だ」
「あそこの山…よくもまあこんなところに。というか山なのに貝殻なのか?」
「なんか山でも取れるから貴重な物なんだとよ。それよりゴブリンやオーク、オーガの人型の魔物がこちらに向かってきたのでは?」
「先週の話だな…そういうことか。生き残り、ってとこか」
ドレッドは顔をしかめると、座り込んだ連中に視線を向ける。
「途中、真新しい戦闘の跡が見えた。勝ったのか?」
「ああ。そうだ」
「…そうか、礼を言う。オレはドレイク、一応こいつらのリーダーだ」
ドレイクと名乗る男が手を差し出す。
「礼を言われる物でもないが、よろしくな。タワータウンの兵士、ドレッドだ」
ドレッドは差し出された手を握り返し、返礼をした。
「さて、何かの縁だ。案内しよう、腹は?」
「「「「 減ってる! 」」」」
「そうだろうな。こっちだ、付いてきな。話は食いながらしよう」
ドレッドの言葉に声をあげる座り込んだ6人。
その喜びの声を聴いて、ニコリと微笑んでいる立ち上がったままの2人。
そして、その光景をモニター越しに覗き見して笑みを浮かべている謎のダンジョンマスターがいた。




