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開かずの塔のダンジョンマスター  作者: てぃる
拾い物と湖の井戸
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街の偵察に用意された下級魔族のリーダー、ドミニク視点になります。

「さあ、注目するです! ここの門を外から入るにはこのくすんだお金が必要です!」


 私はドミニク。偉大なるマスターにより召喚された魔族だ。


 今は偉大なるマスターの右腕とも言われているノイ様からご指導を頂いている所だ。


「つまりみんながこの街に入るには、マスターに出してもらったこの銅貨を一人3枚出す必要があるです! 理解出来たですか?」


 私はノイ様の言葉に異論を持つ。


「はっ! ですがノイ様、マスターから賜った貴重な品物を人間風情に渡すのは抵抗が御座います!」


「確かに…ドミニクの言うとおりだ」


「ありえないわよね」


「そもそも何故我らのダンジョンに戻るのに、人間のお伺いを立てねばならぬのです?」


「偉大なるマスターの下僕たる我らを、彼らは頭を垂れて迎えに来なければならない立場では?」


「だよなぁ」


 共に召喚された仲間たちも同じ意見だ。


「言いたいことは分かるです。ご主人に貰ったものを人間に渡すなど血涙を流して怒り狂っていいレベルです。ですが、ご主人の命令を遂行する為に御主人が用意した品を、ご主人の目的に使わないのは罪ですっ」


「た、確かに…」


 そうか、そういう考えもあるのか。


「お前たちの仕事は人間社会に溶け込み、我らがご主人の為に情報収集する事です。これはご主人が直接お前たちに命令した崇高な物です」


 ごくっ、と誰かの喉の鳴る音が聞こえる。


「これを遂行するためならば、ご主人から賜ったお金がどうしても必要です。ですが、このお金をあまり使わないで済ませる方法があるですっ」


「な、なんとっ!?」


「そのような方法がっ!」


 ノイ様がモニターにとある画面を用意。


「ここは冒険者ギルドです。ここの壁を見るです」


 壁にはいくつもの紙が貼ってあり、何か書いてある。


「依頼書……? オーク肉の納品、3頭分から、銀貨2枚」


「アノーロアまでの物品運搬の護衛、馬車3台分、銀貨50枚」


「ダッチンガウの羽毛の納品、金貨2枚?」


「人間から情報を得るという仕事をするには人間を殺してお金を得るという方法は取れないです」


「確かに……」


「お前たちはこれらの仕事を行って金を稼ぐなり、直接商人からこの手の依頼を受けてお金を稼ぐですっ」


 壁に貼ってある紙を眺めている人間を更に眺める。


「この周りの人間たちも依頼書なるものを選んでいるのでしょうか」


「恐らくそうです」


「更に追加で貼られるぞ」


 紙を眺めていた武装した人間とは違い、清潔感のある女性が追加の依頼書を壁に追加で貼る。


「私たち2人は冒険者としてではなく商人として街に入るんですよね? 私たちはどうするんですか?」


「お前たちはこっちです」


 ノイ様がモニターを切り替える。


 そこには先ほどと違い身なりの良い人間たちが映っている、


「ここは物品の売買を行っている市を取り仕切っている者たちの集まりです。物と金を交換するです」


「ですがここの連中はそれらの物をどこから用意するのでしょうか」


「余所の街から買い付けていたり、さっきの冒険者に依頼したり色々です」


「我々はどうすればよろしいでしょうか?」


「冒険者組に売れるモノを取ってこさせるです。それらを2人は売る形にするです」


「なるほど」


「……という形をとってDPで獲得した貴重品をたまに売ったりもするです」


「なっ!?」


「マスターのお力を借りるとっ!?」


「これも必要な事です、お前たちはしばらくここで彼らの動向をモニター越しに学ぶです」


 ノイ様の言葉に全員が頷く。


「それと戦闘訓練です! この後は外に出てあの街の周りに生息している魔物をコア様が出してくれているので、そいつらと戦うですっ」


「了解っ!」


 座学より楽しい時間も用意されているようだ。


 マスターのお力になる為、全力を尽くそう。

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