72
バーベキューって肉余るよね。
「うまっ! うまっ! うまっ!」
「ばりうま!」
「肉質がしっかりしていて美味しいわねぇ、味もしっかりあるから調味料もいらないわ」
「酒に合うな! このパリッパリの鱗は! 鱗なんて食えるんだな!」
「軽く火で炙るだけでいいから調理の手間もかからないのよね、身は味が薄いからスープの出汁にするくらいしか調理方法がないんだけど」
アクアチキータとチップスフィッシュだ。美味しそう。
海人族の6人と一緒にいたこの町の冒険者2人が酒盛りを始めている。
「旨そうだなぁ、こっちでも捕れるのか」
「旨いぞ? マーメイド達が作ってくれる」
「マジで!?」
コアの奴、たまにお昼いないと思ったら…。
「あの魚も食ったぞ、サタンコックが刺身にしてくれた」
「なんだと…」
羨ましい!!
「この湖、こんな旨いものがいっぱいいるんだな!」
「ここに住んでたのに全然知らなかった。魔物がいるから近寄るなって生まれた時から言われてたからな」
「浜辺みたいなところもないし、船を浮かべてもケイブシャークが夜のうちに沈めることがある、人間には無理だ」
「もったいねえなぁ、こんな豊かな湖ねえぞ。昨今は海も開発されて港周りは荒れて生き物が減ってきてんだから」
「波消しブロックってのが出来てからだよな」
「港での波による事故が減ったから各国こぞって設置してるアレな」
それ異世界人の仕業でしょ。
「しかし魚ってのは酒に合うなぁ、一応新鮮なオーク肉も用意したんだが」
「「「 それも食う! 」」」
「はいはい」
肉の焼ける音と匂いをふんだんに含んでいそうな煙が辺りを暫くの間支配している。
「しかし、ほんとにダンジョンなんだなぁ」
「ああ、地面に置いておいたケイブシャークの死体が消えたな。魔石を取っておいてよかった」
「この辺は水属性の魔石が高いから後で査定に出しておくといいよ」
海から遠いし、湖で稼げるような命知らずの冒険者はこの辺りにいないらしい。
「ケイブシャークそんなに危険かなぁ」
「湖に潜って戦えるような種族がこの辺にはいないんだよ。森を抜けた先の沼地にいるリザードマンくらいじゃないかな」
「魔物じゃんかよ」
「まあ会話が成り立つ種族だからな。対応ミスると殺されるけど」
魔物とも交流があるらしい。
「しかし美味そうだなぁ。よし! バーベキューしよう!」
「もう夕方だからサタンコックが夕食の準備してるはずだぞ」
「ぐっ!」
「あいつメシに関しては命かけてるからなぁ」
食事を美味しく作ってくれるサタンコックだが、食事の予定がずれると鬼のように叫ぶ。
見た目も鬼がシェフの服を着ているような奴だから本当に怖い。
最適な食事は最適なタイミングで取ってもらいたいらしい。その分美味しいけど。
「明日の朝ごはんの仕込みも始めてるだろうから、お昼に出来ないかな…」
「マーマン達にも漁をしておいてもらわないとなぁ。それよりもサタンコックの説得が必要じゃね?」
「おお…そうだ、フィルにさせよう」
「そうだな、フィルにさせよう」
困ったらフィルだ!
「サタンコックにバーベキューの映像見せようぜ」
「ドワーフや天狗達も呼ばないと拗ねるんじゃね?」
「明日ですか、明日もあの冒険者達が大人しくしていてくれればいいんですが」
そんな問題もあったんだった。




