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開かずの塔のダンジョンマスター  作者: てぃる
拾い物と湖の井戸
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ばんじゃーい

「――――」


「―――――」


「―――」


「―――――――――」


 ミニコアをナラヴィー様に返して、3日後。寝室のドアの前から何か話声がした。


 オレはベッドから体をおろし、はだしのままドアに近づく。


「なんだ、こんな夜中に…」


 眠い。


「ごめんなさいご主人、人間達の代表者がまた集まりを始めているようですっ」


「申し訳御座いませんアユム様。その程度の事でアユム様の眠りを妨げてはいけないとノイには言ったのですが…」


「集まりがあったらご主人に声をかけろと言うのはご主人から貰った大切な命令ですっ! シヴィーでもこれを邪魔するのは許されないのです!」


 シヴィーは驚き、そして頷いた。


「失礼しました、ノイ」


「いいです、ご主人も出てきてくれたですし」


「あー、ごめん。まだ寝起きだわ。顔洗ってくるから指令室行っておいてくれ」


「わかったです」


「お着換えのお手伝いを致します」


「いいよ、すぐだし」


「ケヒヒ、ダメです」


 素晴らしい笑顔で肩を後ろから掴まれて部屋に押し込まれて、パジャマを剥かれてしまった。


 セルキー達も増えるんじゃない!


 下着は変える必要ないだろ?!


 こら脱がすなー! バンザイさせるな! 拭くなーーーー!!




「お待たせ」


「大丈夫です。まだ始まってないです」


 メインモニターにはいつもの領主の館の会議室。


 今日いるのは領主、魔法省のお婆さん(幼女形態ではない)、ギルドマスター、騎士団長、ドワーフの親方。それと前回の騒動で東の要塞から来たっていう騎士風の男だ。


「申し訳ありません、遅れました」


 最後に登場したのはワンコの神父さんだ。


「よし、ラダック殿は買い付けをすでに頼んだので今日は来ない。これで全員だ、始めよう」


 領主がこの場の全員に声をかけた。


「有体に言うと、中央騎士団がこちらに来る」


「は?」


「なんと」


「へぇ、誰が来るんですかね」


「むぅ」


 それぞれがそれぞれ、反応を示す。


「魔物の襲撃の応援ですか? 今更来ても遅いと思うのですがね」


「それはない。既に早馬で援軍の必要無しと伝えてあり、返事も来ておる。今回は別件だ」


 ため息をつく領主。


「先日の魔物の襲撃の件での復興作業が目的だそうだ、食料や薪などを運んでくると言っている」


「随分と優しい対応じゃないか」


「騎士団にもそんな優しい精神の持ち主がいるんだねぇ」


「…妙だな」


「中央の連中ですよ? 何を考えているか丸分かりじゃないですか」


 妙だと呟く騎士団長に、苦言をこぼすもう一人の騎士。


「どういう事です?」


「あの塔の主を狙ってるんですよ。ポンと金貨3万枚出すような存在を中央の欲豚共が逃す訳ないじゃないですか」


 え? マジか!


「ハーネス卿の言うことが正しいだろう。私の情報網にも耳に入ってきておる。正直、あの連中がこんなに迅速に動き出せるとは思っていなかったが」


 金貨を報酬で出したのはミスったかぁ。


「金貨もそうじゃが、あの酒よ。ワインは酒精を失わず濃厚な味と香りをしっかり保っていた。飲み終わった後、喉に残るほのかな渋みがたまらぬ…それにもう一つ、うちの連中が誰一人として飲んだことが無いという茶色い酒じゃ、あれはすごかった。喉を焼くような強い酒精の酒はいくらでもあるが、豊潤な香りに加え口の中に広がるパンチのある味。喉だけでなく、全身の血液が沸騰するように一気に体の中を駆け巡っておったわ。一口飲んだら、叫んだぞ。ワシらドワーフのすべてが叫びおった。ワシはあれは神酒の一種ではないかと思ったぞ。あの酒が再び手に入るのであれば、悪魔と契約してもよいと思う」


 ドワーフの親方がまくしたてる。


「だからって塔の解放の懸賞金を勝手に追加するんじゃねえよ」


「必要経費じゃ。安いくらいじゃぞ」


 ウイスキーが好評だったようだ。今回の樽は3年モノだったが、5年モノとか10年モノを用意したらどんな反応になるんだろうか。


「ジェスト殿、例の冒険者はいつ到着するんじゃ? 少しでもヒントのある所があるならば、すぐに調査させたい」


「もうそろそろ着くはずだ」


「お主はそればっかりだのう」


「1時間置きに同じ質問をされりゃあなぁ!」


 ドワーフの親方はギルドマスターに毎度毎度、聞きに行ってたらしい。


「例の冒険者、か。ノイ、分かるか?」


「はいです、三つ子の湖の中の調査をするために水中での活動が得意な海人族の冒険者を雇ったらしいです」


「マジか!」


 湖の底に井戸があるのがバレたら、そこから塔と4つの井戸の関係性がバレてしまうかもしれない。

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