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開かずの塔のダンジョンマスター  作者: てぃる
塔の管理者になりまして
6/235

06

火打石で実際に火がつけれる人はすごいと思う。

「残りのDPはいくつだ?」


『35800ポイントです。平原に魔物の配置を致しますか?』


「それは止めておこう。広すぎて何体魔物が必要か見当がつかない」


『かしこまりました、塔の内部はいかがいたしますか?』


「最上階はお前とオレの部屋が必要だろ…」


『コアルームを頂けるのでしょうか』


「コアルーム?」


『ダンジョンコアを安置しておく施設になります。地脈からのDPの獲得効率があがります。あとコアである私が快適に暮らせます』


「…快適に?」


『ずっとマスターの手の中にいるのは落ち着きませんし、懐に入れられると揺れますから』


「揺れとか感じるんだ?」


『気分の問題です。ダンジョン内でしたらマスターに声をいつでも届けられますので常に行動を共にする必要もなくなります』


「ほー? いくらだ?」


『1000DP~となっております…』


「からってことは…」


『ランクがございます。』


「どのくらいのランクのコアルームが欲しい?」


『私が選んでも宜しいのですか?』


「無理のない範囲で頼むよ。これから世話になるしな」


『地脈からのDP効率が安定するランクの中で、5000DPでランク3になります。それと…座布団が欲しいです。500DPの』


「いいよ、最上階に作ろうか」


『ありがとうございます! 早速作成いたします! 完成しました!』


 弾んだ声でコアが部屋を作った。


「早いな」


『移動しましょう!』


「はいはい」


 このコアは意外と可愛い性格なのかもしれない。


『有難うございます! 最高の座り心地ですマスター!』


「うん、そうだね…」


 屋上から降りて塔の最上階に戻ると広いだけの丸い部屋の中に、更に仕切られた別の部屋が出来ていた。


 中に入ると、紫色のカーテンに薄暗い照明。木の台の上に置いてある紫色のふっくらした座布団。


 ダメだ、一昔前の詐欺っちい占い師の部屋にしか見えん。


『マスター?』


「大丈夫、何でもない。この部屋の横にオレの部屋を作ろうか」


『そうですね。初心者マスターのお部屋セットが三段階で御座いますが』


「一番安いので」


『…せめて真ん中でお願い出来ませんか? 私のコアルームの方が豪勢になってしまいます』


「いくらよ?」


『8000DPです』


「安いのは?」


『3000DPです』


「違いは…?」


『台所が出来ます。布団がベッドになります。トイレが個室になります』


「安い方は刑務所の牢屋か何かなのかな?」


『マニュアルに写真付きのイラストがあります』


 マニュアルを開く。


「思った以上に牢屋だな…中間の部屋でも水の魔石とお湯の魔石は別なのか」


『水の魔石は200DPで作成可能、お湯の魔石は3000DPで作成可能です』


「え? いきなり作れるの?」


『マスターの才能に関わっているのかと思われます。一度入手しないと作成出来ないはずですので』


「風呂も欲しいからなあ…石鹸とかはDPで入手可能?」


『ダンジョンモニターを作成したうえで、他所のダンジョンマスターと取引が出来れば入手出来ます』


「普通にDPで作れないのかー」


『データ不足です』


「タオルとか下着とか服とか…」


『そちらはお部屋セットに含まれております』


「体が拭けるだけマシか…」


 説明によると魔石を使用するには魔力が必要らしいが…使えるのか?


「魔力って使える物なのか? てかオレに魔力なんてあるのか?」


『ご安心ください。ダンジョンマスターは必ず魔力が備わっております』


「使えるか?」


『…練習してください』


「頑張ります…」


『マスターが使えなくても、魔力の操作が優秀な魔物をDPで用意すれば問題ありません』


「そんな魔物いるんだ?」


『もちろんです、人語も扱えるレベルの者もいますから。【ダークエルフ】【エルダードワーフ】【ロードウィザード】【デミビースト】などの魔物ならばマスターのお世話も出来るので是非ご用意ください』


「買えるの?」


『用意できるまで頑張りましょう』


「…つまり、いまは自分でやらないとダメなわけね」


『頑張りましょう』


「取りあえず、使えるか分からないけど…水の魔石も含めてすべて作成を」


 お湯は諦める。


『畏まりました』


 コアルームの横にオレの部屋を作成。


「おおー、これが8000DPの部屋か」


 一人暮らしのワンルームのアパートみたいな部屋が現れた。


「12畳くらいか、タンスがあるな」


 タンスの引き出しを開けると、見るからに安物の地味な色の布の服が上下で入っていた。


「スーツよりは楽かな」


 木製のハンガーまで付いていたので、スーツをハンガーにかけて着替える。


「なるほど。ゴムなんてないのね」


 ズボンは紐で固定するようだ。


 結構肩肘が凝ってたようだ。ラフな格好になると随分楽な感じがする。


『マスター、お食事はいかがいたしますか?』


「ああ…どうするか」


 館内放送でもかかってるかのように、部屋にダンジョンコアの声が響く。


 コアルームの効果の一つのようだ。


『DPで用意できます。パンとスープのセットなら10DPで、お肉とサラダも付けるなら5DPでご準備出来ます』


「お肉とサラダも食べたいです…」


『では、机にご用意いたします』


 部屋の備え付けのテーブルに食事が用意された。


「コア」


『はい、いかがいたしましたか? マスター』


「ナイフとフォークとスプーンもくれ」


 箸じゃ食いにくそうだ。箸もないけど。


『…木と鉄と銀と御座いますが』


「鉄で頼みます…」


『3DP使用します』


 異世界で初めての肉とパンは中々の歯ごたえでした。


 コアの勧めもあり、異世界初日はこのままマニュアルに目を通す。


 読んでいて安心出来た点の一つが、ダンジョンは基本的に破壊されない事。それと正規のルート以外からの侵入が出来ない様になっている事だ。


 神様の怒りに触れて破壊されたりする事はあるらしいが、一般的な侵入者である人間や魔物達にはそのような力は無いらしい。


 あと、塔や城。迷路などのタイプは一部、侵入不可エリアがあるらしい。


 ここの塔で言えば屋上だ。空を飛んで屋上に着地、その後屋上から侵入という手は使えないらしい。神々が見ていて、面白くないからという素敵にふざけた理由だ。


 あれだ、【ふしぎなちからでまもられている】だ!


 逆に上から侵入出来る様に設定すると、DPが返って来るとか。や、やりませんけど!


 なんだかんだでマニュアルを読んでいるうちに外が暗くなってきた。


 明りも無いため、日が暮れたら寝ましたとさ。


 や、ランプはあったんですよ? でも火元は火打ち石なんですもん。使えないよ。


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― 新着の感想 ―
[一言] ダンジョンなら餌付けとかテイムとかそれに準ずるアイテムとか有るだろうし、強弱問わないなら外の魔物手懐ければ早いよね
2021/05/23 08:20 退会済み
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