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開かずの塔のダンジョンマスター  作者: てぃる
拾い物と湖の井戸
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踊るジェリー。短め。

 オレは屋上に登って、待機していたキナップジェリーに視線を送る。


 やはり体の中に丸い玉が残っている。


「アユム様、ジェリーが言うにはどれだけ強烈な消化液を出しても溶ける気配が無いそうです」


 触手をひらひらと動かしながら、ジェリーが何かを言っている…らしい。


 通訳はシヴィーだ。


「んー、吐き出せないか? 溶かせないなら出すしかないだろ」


 オレの言葉にジェリーが触手を下げながらシヴィーに何かを伝える。


「―――なんでも溶かせないのが悔しいそうでして、頑張りたいと」


 お前の胃酸自慢なんか知らんがな。


「でもそれじゃ目ざとい奴に見つかるぞ? さっきまでは戦闘で大地に人の視線が集中してたから良かったけど、今はむしろ塔側に視線が向いてる」


 未知のお酒を我慢出来なかったドワーフ達除く。


「ほれ、ゲロっと出せゲロっと」


「アユム様、表現方法が…」


 オレの言う事を聞いて、ベチャっとジェリーは消化液と共に黒い玉を吐き出す。


 消化液の量が多いわっ!


「少々お待ちください、砂をかけるので」


 シヴィーが手からドバドバと砂を出して消化液にかける。


 消火器から消火液が出てるような形で、その数倍もの量をふんだんに出して消化液を埋めると、消化液も負けずに砂を消化する。


「少し時間がかかりますね」


 そんな姿を見せるシヴィー相手にファイティングポーズを決めるジェリー。


 いや、勝負事じゃないんだけど?


「てか消化液全部埋めなくてもその黒い石だけ取り出せればいいんだけど」


「それもそうですね、ではこうして…」


 煙を帯びている砂の山から石が飛び出してきた。


シヴィーは黒い玉を、空中で静止させるとハンカチも浮かせて綺麗に磨き上げる。


ハンカチが溶けないのはミステリー。


「アユム様、こちらになります」


 拭き終わった石をシヴィーは両手で持ち安全を確認。跪いて両手で持ち上げる。


 そこまでしなくていいんだよ? それとジェリー、跪いてるっていうのソレ。


「…まあいいや」


 ツッコむのも疲れそうなので、そのまま受け取る。


「ああ、これかぁ」


 それはこの世界に来た時にナラヴィー様から授かった例のブツ。


 最初に貰ったコアよりもやや小ぶりなその丸い石が分かるのはダンジョンマスターだからだろうか。


 理由はなんであれ断言出来る。


「ダンジョンコアだ、これ」


 小さなコアがオレの手の中で日の光を浴びていた。

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