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開かずの塔のダンジョンマスター  作者: てぃる
拾い物と湖の井戸
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シヴィーとエディ、よろしくね!

「塔の主とやら! これはどういうつもりか!」


 領主が何か言ってるけど、もう応答する気はなーし。


 こういうのは一方的にやる方が面白いのだ。


「領主様、アノーロアより援軍が到着しました」


「なんと、このタイミングでか!」


 どうやら呼び出していた援軍が到着したらしい。


 モニターで見てみると、オレの作った外壁の外に、馬に乗った兵士達が多くいた。


 ジェリーが捕捉していた連中か?


「代表者の方に来て頂きました。他の方々は壁の外でお待ち頂いております」


「わかった、行こう。ドレッド、金貨は一度屋敷に運んでおけ。騎士団連中と兵士で警護を。盗もうとする輩がいたら…わかるな?」


「了解です」


「なあ、外の連中にあの塔からの声、聞こえたと思うか?」


「間違いなく」


「だよなぁ、ああ胃が痛い」


「そのうちハゲるぞ」


「もしハゲたらどっかのババアのせいだな!」


「ババアなんぞおらんのー?」


 そこにいるのは幼ババアだ。


「…ドレッド、後は任せた」


「酒と食い物はどうしますか?」


「ホルストの親方に任せておけ。食料はともかく酒に関してドワーフは止まらん、毒入りでも美味いと思ったら飲む連中だ。食料だけは確認を怠るな、確認出来たら好きに使って構わん。置いておいても腐るだけだからな」


「了解」


 兵士長が苦笑いをし、半裸領主が溜息をつく。


 そして今更ながら上半身に服を着て報告に来た兵士についていく。


 オレはモニターを回して援軍に来たという連中の代表者を確認。


「おー、こいつは騎士っぽいなぁ」


 街の連中を結構見て来たから区別出来るようになってきた。派手な鎧が騎士、兵士は胸当てだ。


 その騎士っぽい男と、その横に一人。


「待たせた、久しいなハーネス卿」


「ご無事で何よりです、レイヴン辺境伯」


 言葉とは裏腹な鋭い視線。ハーネスって呼ばれた援軍の代表者が言う。


「呼びつけておいてすまないが、戦闘は…」


「ああ、聞こえましたよ。塔の主ってののメッセージがね」


「聞こえたか。まあ聞いての通りだ。だが部隊単位でもう来てくれたとは有り難い。国境防衛隊の皆さんの迅速な行動に感謝を。戦闘は終わったが皆には体を休めて貰いたい。馬の世話もこちらで行わせよう」


「魔物の数、約4000に襲われるとの連絡があればこそだが…この外壁といい、確認しなければならない事が多そうですね」


 街を囲う壁を眺めながら、ハーネスさんが呟いている。


「こちらも頭が痛い限りだ。塔のダンジョンに関しては国に報告をしてあるが…まだ返事がない」


「王都は遠いですから」


 王都って遠いんだ?


「まだジェリーでも捕捉してないですね! 探させるですか?」


「いや、いいよ。あまり遠くにいかせると連絡が取れなくなるらしいからね」


 ダンジョンの外の様子を確認するコアの能力も、完全ではない。


 一定以上の距離から離れた魔物とは交信が途絶えてしまい、情報が入って来なくなる。


 そうなるとたとえジェリーが倒されてもこちらでは気づけないという事だ。


「ああ、そうだ。イービルアイズ」


『ハッ!』


 二人の中で役割分担をしていたようで、いつも返事をするのは右側だけだ。


「お前達にも褒美をやる。監視は止めていいからこちらに来てくれ」


『! 有リ難クッ!』


 指令室の横の扉が開き、てかてかでつやつやな目玉蛸お化けがうねうね入って来た。


「イービルアイズ、お前の名前はシヴィーだ」


『オオ! オオオオオ!!』


「お前はエディな」


『ナント! 有リ難キ幸セ!』


 2匹とも怪しげに、そして喜びを表現してウネウネが激しくなり黒い炎に包まれていく。


『マスター、感謝ヲ。コノエディ、更ナル忠義ヲオ約束致シマス』


 エディは目玉が飛び出て充血がすごい。足? 触手? の数も増え、長く伸びている。


「おお! おおおお!」


「ちょっ! シヴィー?」


 血が! 血が! 目が! ひぃ!


 モザイクを! モザイク処理を!


「こほん、失礼いたしましたアユム様。このシヴィー、身も心もアユム様に捧げます」


 この世の物とは思えない、蛸的な胴体部分、元々目があったところからこう、内臓的な…いや、描写はよそう。R指定が必要になる。


 とりあえず、今は漆黒の髪の毛をセミロングで揃えた、胸の大きくモデルの様な体型の美女が執事服を着て立っている。


 服はフィルの物を参考にしたのか、類似している点が多い。


「少々、現世にいるには都合の悪い悪魔に進化してしまいました。以降は人化した姿でお仕えさせて頂ければと思います」


「お、おう」


 何になったんだ。


「申し訳ございません、アユム様。進化させて頂いたのに、監視というアユム様から頂いた崇高な使命を果たすには、目の数が減ってしまい効率を落とす結果になってしまいました」


「え? あ、うん。えーっと、進化したんならいいんじゃないか…な」


「まあお優しい、有難う御座いますアユム様」


 妖艶な笑みを浮かべながら、シヴィーがオレの手を両手で包む。


「監視の役目はデーモンアイズのエディにお任せします。構いませんね? エディ」


「「「 勿論ダ 」」」


「動かす口は一つで十分よ? 」


 三つある口すべてで話す必要は確かにないな。


「アア、アー、ウム。シヴィーヨ、マスターニハコノ世界ノ知識ガ足リヌトミエル。マスターノ傍ニ侍リ、ソノ知識ヲ埋メルノガオ前ノ仕事ダ。ワタシノ能力モマスターノ御業ニヨリ上昇シタ。監視ノ仕事ハワタシニ任セルガイイ」


「頼んだわよ? 失敗したら引き千切るからね?」


「アリエヌ、ダガモシワタシガ失態ヲ犯シタラ好キニスルガイイ」


「こういう形になりました。宜しくお願い致します、アユム様」


「ノイ様、以降ハワタシ一人デ監視ヲ行イマス。是迄以上ノ働キヲゴ期待下サイ」


 エディはそういうと、体全体をウネウネさせながらサブ指令室へと戻っていった。


 入れ替わる様に指令室に入室するフィル。


「すみません、コア様が突然姿を消して…また増えましたか?」


 コアに逃げられたフィルがコアを探しに来たらしい。


 相変わらず素敵なタイミングだ。

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