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半端に思うなら一緒に出せばいいと思いつく。
「なにすんだ?」
「頑張った奴らに褒美をな」
シミュレーターで必要なアイテムをセットしてDPを計算する。
むう、物だけで30万か。まあいいか。
喧嘩を諫める為に敵台に近づいていく兵士長から見える位置、喧嘩中の3人は敵台の上なので敵台の中は無人だ。
そこにオレは宝箱を10個出した。武器や罠じゃないのでDPの消費は普通だ。
「む? お三方! 降りてきて下さい」
「「「 うるさいっ! 」」」
「いいから来てください!」
「なんじゃ一体、おお?」
「ひゃっほー! 宝箱宝箱!」
オレの出した豪華めな宝箱に飛びつく幼子。
「ジーナ様っ!」
「なんじゃなんじゃー?」
「待たんか! 罠がないか…」
幼ばばが周りの制止を無視して箱を開ける。
「おおお! 金貨じゃ! この箱全部がそうなのか!?」
そうだよ。全部で3万枚入れてある。
金貨って意外と大きい。これだけあると1箱では収まらない。紙幣文化は偉大だ。
「ご主人、あれは?」
「頑張った人間にはご褒美をあげないとな。お前ら、声を出すなよ?」
「?」
オレは指令室の機能の一つを使い、街に声をかける。
『街の者達、ご苦労だった。こちらは塔の主だ』
「なっ!」
「ダンジョンマスターか…」
オレは言葉を続ける、格好良くいくぜ!
でも恥ずかしいから向こうの声は小さくしておこう。
『今回の戦い、満足している。それは褒美だ。金貨3万枚入れてある。配分はそちらに任せた』
オレの言葉に街全体がざわつく。
街の人間全員で約8000人。
一人頭3枚ずつ。それと活躍した人には多目にあげればいい。
「助かるが…」
「安全なのか?」
「本物か!」
「ひゃっほー! 金貨のお風呂じゃー!」
オレは更に追加でウィスキーとワインを樽で5づつ。それと果物やお菓子が大量に詰まった樽を5出した。こっちは安上がりだ、全部で3000DPもしない。
『これもやろう。祝勝会でもやるがいい』
敵台には入りきらないので、外壁の階段の横に並べる。
金貨も最初からそっちに出してあげればよかった。あれ相当重いぞ。
出すものを出して、マイクのスイッチをオフ。
「果物、それに見たことのないもの…これは食べ物か?」
「この匂い、酒じゃ! こっちはワインで、こっちはなんじゃ? 嗅いだことの無い匂いじゃ、酒だとは分かるが」
わらわらとどよめき、どこからともなく現れたドワーフの群れ、群れ、群れ。多いよ!こんなにどこにいた!?
樽詰めされて空いてないのに酒ってわかるものなの!?
「ウチのイービルドワーフやドワッジ連中も出来るぜ?」
恐るべし! ドワーフ。




