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みょうちくりんでちんちくりんって実は気に入っているんだ!
「さあ! あたしの出番さねぇ! とっておきを使うよ!」
魔法使い婆さんが何かを懐から取り出した。
虹色の液体の入った瓶だ。
それの謎の液体を一息に呑み込んだ。
「んー、ブドウ味!」
マジで?
「さあ、我が師直伝の高級薬を飲んだんだ! あんたら、ヘマするんじゃないよ!」
「よっしゃああああ!」
「はっ!」
その言葉を聞いたギルドマスターと兵士長が後退をやめた。
「シッ!」
半裸領主は、弓に一度に4本の矢をつがえて放つ。
「器用だな…」
その4本の矢はオーガチャンプの取り巻きのハイオークの眉間を貫いた。
「それじゃ!」
「受け取れ!」
ギルドマスターと兵士長が倒れたハイオークの首根っこを掴んで、回収組の冒険者へ投げた。
「ノーコン!」
「下手くそ!」
「バカ力!」
「しまいにゃ泣くぞ!」
「グロオオオオオ!!」
オーガチャンプが無視されている現状に怒り、ギルドマスターへと拳を振るう。
「ぬうん!」
その拳を、拳で迎撃するギルドマスター。
「やっぱ馬鹿力だな!」
「魔物に打ち勝ってるぞ…」
伯爵が声を上げ、兵士長が呆れている。
「まあチャンス…トドメだ」
ギルドマスターに力負けをしてよろめくオーガチャンプ。
その隙を逃さずに、兵士長は軽い動作で剣を振るうとその首を切り落とした。
「これで任務完了だ」
自らも持っていた魔法の袋にオーガチャンプの亡骸を収める。
「だからオレより目立つなっ…ええい! 撤収! 巻き込まれるぞ!」
冒険者達も含めて、彼らは外壁へと飛び上がった。
「来たよ! 来たよ来たよ来たよ!」
敵台の屋根の上で興奮気味の婆さんの体が…体が…。
腰の曲がっていて、鍋でもかき混ぜていそうな魔女ルックのお婆さんの背筋がまっすぐと伸びていく。
ゆったりしたローブの下の服が、圧迫されてパツパツに広がる。
「おおお」
顔の皺も消え、全身が若返り、徐々に露になる絶世の美女…が美女が…。
ちんちくりんな子供になった。
「一瞬か…惜しい…」
サービスシーンは一瞬で、今はちんちくりんだ。
ちんちくりんなんだ。
『マスター、そういえばフィルを呼んだ時にも』
「コア、コーラだ」
「ワーイ!」
こいつっ! 一瞬にして体持って来やがった!
「ぷはっ、おいし」
「ちんちくりんがなんか杖持ってるな」
元お婆さん、現ちんちくりんが妙に派手で身長に見合ってない杖を両手で支えている。
いや、杖に支えられている?
「斥候の撤退は?」
「確認済みです!」
「そうかい、じゃあやろうか」
みょうちくりんなちんちくりんが、全身から杖に、杖から全身に魔力を循環させていく。
「漆黒の闇を司る姉弟神の黒き片割れよ、灼熱の業火を身に纏う猛々しき赤き神よ、暴風と共に現われし力強き緑の神よ、我が声に応え給え」
杖で地面を軽く叩く動作をすると、その杖を起点に描かれた魔法円が柔らかく光りゆっくりと回転を始める。
「求めしは我が視界を埋め尽くす漆黒、求めしはすべてを焼き尽くす業炎、求めしはあらゆるを包み込む烈風」
力強く語られる言葉と共に、円の光が大きく、激しく閃光を放つ。
視覚化された魔法円からはモニターごしでも分かる程、魔力が漂っている。
「我が求めに応えし神々に、感謝の祈りを! 祈り届きし我が言葉、それは神の言葉也!」
呪文の詠唱だ。新たに言葉を紡ぐ度に、魔法円の光は強まり漂う魔力が猛々しく暴れまわる。
その魔力は彼女の頭の遥か上、杖の先に集中していく。
「神に代わり、我が敵に神罰を下す! 神の炎でその身を崩せ!」
『尊大ナ物言イデハアリマスガ、要ハ大地ニ眠ル神々ノ軌跡カラ力ヲ借リテイルニスギマセン。神々ハ人モ魔物モ区別ナク愛シ、区別ナク滅ボシマスカラ』
祈りを捧げている神様のうち、会った事あるのはナラヴィー様だけだからなぁ。
「黒き炎で踊り狂え! 神罰の黒い烈炎!」
杖の先に集まっていた大きく黒い球体上の魔力から黒いビームが横薙ぎに放出された!
外壁の周りにいたオークやオーガ達は、そのビームに触れると共にその身を消滅させていく。
そのビームは遥か遠く、魔物達が飛び出してきた森にまで届き、木々を消滅させていく。
幹を失った木々は、その根元から黒い炎を帯び、次第に森は黒き炎に撒かれていく。
「すっげえ、巨○兵のビームか…」
「ビームの通った場所は全部黒い炎で焼かれてるな」
『火ノ神ノ力デ炎ヲ作リ、闇ノ神ノ力デ消エヌ炎ニ変エ、風ノ神ノ力デ範囲ヲ広ゲテオリマス。ソレヲ可能トシテイルノハアノ人間ノ魔力デス。杖ハ魔力ノ増幅トコントロールノ為ノ触媒デショウ』
黒々しく、かつ明るい炎が森の奥の奥まで広がっていく。
ジェリーに上からも観測させているが、その範囲は広大だ。
「魔法ってのはすごいな。オレも魔法をちゃんと学べばああいうことが出来るようになるのか? 」
まあ危ないからあんな魔法いらないけど。
「ははは、マスターは冗談がうまいな!」
コアがオレの肩をバシバシ叩く。
「ご主人はユーモアセンスが高いですっ」
『ケヒヒヒ! マスターモ笑ワセテクレマスナ!』
「ははは、そうだろそうだろ」
やっぱ無理らしい、周りが慰めてくれて切ない。
2020/01/04 投稿
アクセス数が倍近くに伸びたよ!
三が日明けの土曜日・・・さてはみんな暇だな?




