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開かずの塔のダンジョンマスター  作者: てぃる
塔の管理者になりまして
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05

やはり主人公は運動不足。

「どういう事!?」


 塔の中に走り込んで扉を閉めると、手に持っていたコアに視線を向ける。


『ダンジョンとは認識されておりませんが、マスターの気配を魔物が感じ取ったようです』


「そんなのありか…」


『塔に入れば安全です。塔の周りに魔物がいますが、現在はマスターの許可の無い者は何人たりとも侵入できませんから』


「魔物かあ…」


 どんな魔物だったのだろうか。


『外の平原もダンジョンですから、DPを使用してダンジョン監視モニターを獲得したら確認することが可能になります』


「あ、見たい」


『5万ポイントを使用して監視モニターを購入いたしますか?』


 ポイントが無くなっちゃう!


「高いっ!」


『いかがいたしますか?』


「やめよう。取りあえず…周りには魔物しかいないんだよな?」


『はい。塔の最上部から外を見てみてはいかがでしょうか?』


「そうしよう」


 オレは塔の中の階段をあがり、2階、3階と登って屋上に出る。


「はあはあ…高い…」


 運動不足の現代社会人の弊害が…。


「…魔物が見えないな」


 休憩を挟みながら、なんとか屋上にたどり着いたけど、遠くて見にくい上にそもそも草のせいで良く見えない。


 草を掻き分けた跡が見えるけど…。


『どうやらこの平原の雑草の高さよりも背の低い魔物のようですね』


「生き物の知恵だな…」


 その環境に適応した生物が生きるのは地球と変わらないらしい。


「あ、顔を見せた! 犬だな…」


『ですね。犬か狼系列のモンスターかと思われます』


「知恵はあるかい?」


『魔法を使用したり、言語を操るタイプもいますが、判別は不可能です』


「ダンジョン監視モニターを使用すれば分かるのか?」


『モニターで認識した魔物は、データベースに照会可能です。ダンジョンコア達のネットワークに登録されている魔物であれば分かります』


「ぬう。欲しいなあ…でも高いなぁ」


『DPを使い魔物を召喚しますか? ダンジョン内で死亡した魔物の情報は手に入りますし、DPにもなります。亡骸と情報が手に入れば新規個体として召喚も可能です』


「どの程度のレベルの魔物を当てればいいか分からんからなぁ…もうちょい情報が欲しい」


『現状、マスターのレベルの兼ね合いであまり強力な魔物は召喚出来ないので、数が必要になる可能性があります』


「そんなルールもあるのか…」


 そりゃあいきなり凶悪な魔物なんて呼び出せないよな。


『DPを使用すれば使用するほどレベルが上がりますよ』


「しみじみマニュアル本読みたいなぁ」


『塔の出入り口を【謎解き扉】にしておきませんか? 少なくとも獣系列の魔物でしたら扉を開くことが出来なくなりますから』


「ああ、いいね! 人間や人間と同レベルの知能が無いと突破出来なくするんだな」


『来週まで侵入者は来ませんが、その先は安全が保障されません。他所のダンジョンマスターの方々よりも所持しているダンジョンの範囲が広いですから、時間稼ぎにはちょうど良いかと』


「やっぱ広いんだ」


『洞窟や郊外の屋敷などがスタート地点に選ばれる事がほとんどですから』


 そういう場所がスタートならいきなり塔を建てて3万ポイントも使わずに済んだのでは…。


「まあいいか、謎解きの扉付けようか」


『謎解きの扉は2000DPで作成出来ます。扉の謎によって更に追加のポイントが変わります…マスターは水の魔法が使用できるのでしょうか?』


「魔法なんて使えないよ?」


『そうなのですか? 最初から水系列の謎解きが使用出来ますが』


「へえ?」


 オレにそんな才能が!?


『謎解きの扉との連動で【噴水】【井戸】【滝】【河川】【海】【地底湖】などが利用できます』


「…安いので」


『でしたら【井戸】ですね。井戸水を運んできて扉を開けるタイプ、井戸を凍らせるタイプ…全部説明するときりがないので、どのようなものにすればいいかご質問を下さい』


「ちょっと待ってくれ、マニュアル読むから」


 オレはマニュアルの謎解きの扉の項目を読む。


「…ヒントを近くに設置するとDPが節約になるのか。どんな謎解きにするか…例題が多いな」


 謎解きの扉の例が記載されているページには膨大な量の情報が書き込まれている。


『過去のダンジョンマスターが設置した【謎解きの扉】です。既に攻略された物でも自信があったら自慢したくなるようでして』


「その都度例題がふえたのか、そりゃあ情報過多になるわな」


 この量だけでもダンジョンマスターが過去にどれだけいたのかが伺える。


「なるほどね…じゃあ井戸と連動させる形で、井戸自体を平原に、等間隔で10kmの離れた位置で設置。さらに中央に噴水を設置し、【◇】【○】【☆】【△】の刻印をそれぞれの井戸が対角線上にモニュメントとすればヒントになるだろ。あと噴水の刻印と同じ刻印がされた大き目の石を塔の周りに配置しよう」


 ファミコンの時代のゲームでこんなのがあった。攻略本を読んだ友達がいなかったら今でも突破出来なかったと思う。


『井戸を作成するのに1つに付き5000DP。噴水作成に10000DP消費致します。石のサイズはどのサイズになさいますか? ダンジョン用の謎解きサイズなので最低でも一抱えはあるサイズにしないといけません』


「成人男性が2人がかりでようやく運べるサイズでいくつ?」


『一つあたり2000DPになります』


 …意外と高い。


「時間制限は設けられるかい?」


『時間制限ですか?』


「ギミックとしては、石が井戸の中に投げ込まれたらその井戸が枯れる。24時間たっても他の井戸に石が投げ込まれなければ元の位置に戻る。24時間以内にすべての石が井戸に入れられたら噴水から水が噴出して、塔の扉が開く。派手で良くない?」


『計算します…噴水や石の作成も含めて38000DP必要になります』


「…噴水に更にヒントを書いたら?」


『内容にもよりますが、最大で半額になります。現在の刻印ではヒントのレベルが低く、全体で10%の軽減、34200DP必要になります』


「…この後で、塔の整備をするのにどのくらいのポイントが必要かな」


『一般的な初期のダンジョンと同レベルの物をお望みでしたら、大体3万ポイントです。魔物は半自動的にダンジョンの魔力を求めて集まりますが、人間種の望む財宝等を設置するのでしたら倍以上必要になります、と言いますか青天井です』


「人間の欲には際限がないからね」


『マスターも元人間では?』


 元ってなんだ元って。


「立派に人間ですが…人間じゃなくなってるの?!」


『マスタープレートをDPにて獲得すれば確認出来るようになります』


「…おいくらで?」


『50万DP必要です』


「世知辛い…」


 貧乏人には手が届きません。


『話が逸れましたね。【謎解きの扉】と付随するギミックを作成なさいますか?』


「そうだな…ノーヒントで行くか。少なくとも小学生時代のオレと愉快な仲間たちが半年間クリア出来なかった謎だ。きっと大丈夫だろう!」


 わざわざ友達が攻略本を立ち読みしてくれなければたどり着かなかった謎だ。きっと平気さ!


『ではDPを消費します…完成いたしました』


 とりあえずこれで、平原にいる動物は入って来れないだろう。


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[一言] レトロゲームなんてノーヒントのギミックばかりだったりしたもんさー!
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