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設定考えだすと止まんないよね
「報告! 一番近くの扉の周り、壁の上、物見台に罠及び敵影、無いとのことです! 物見台にはいくつか使えそうな木の矢と節のある植物で作られた槍が転がっておりました!」
騎士団長、ブレインさんのところに騎士の一人が走り込んできた。
「矢か…弓はなかったのか? 」
「見当たらなかったとの事です」
やべ、弓出してなかった。
「コア、言ってくれよ」
『木の矢は出せたけど、あの矢を撃ち出せるサイズの弓は出せねーんだもん』
鉄で補強とかされてるのかな? まあ出せないならしょうがない。
「ゴブリンやオーク相手なら使えるか。問題はあるか?」
「かなりの量があるからすべてのチェックは出来かねます、同量がすべての物見台にあるとすれば短時間での確認は不可能です」
木の矢も竹槍もただの木と竹なのに、何をそんなに確認することがあるのだろうか?
「ならば使える物を順次出していけ、兵士諸君に優先的に渡せ」
「了解」
「騎士団は怪我人を除き門の外に戻るぞ! 我等は遊撃だ! 兵士諸君は槍や弓などの遠距離攻撃の準備を! 安全の確認を終えた壁の上から敵を狙ってくれ。2交代で頼めるか?」
「はっ!」
騎士団長は冒険者達が集まっている休息所へ足を運んだ。
「お、ようやく顔を出してきたな」
「遅れて来たのはそちらでしょう、ギルドマスター」
「ちげえねえ! ちと他の都市への根回しをしててな。なあにゴブリンなんぞ新人達に丁度いい相手だ、いい経験をさせて貰ったぜ」
「こちらは朝から晩まで働き詰めなんです、勘弁して下さいよ」
「まあそう言うなって、昼過ぎからオークやオーガも顔を出すらしいからな。そっからは働く。安心してろ」
ギルドマスターは大柄な自分より、更に大きな剣を担いでにっかり笑っていた。
「あれが英雄の一人か」
「らしいです! 昔、ドラゴンを倒したパーティにいたらしいです」
「マジか! あんな化け物、倒せるモンなんだな」
ウチのダンジョンを破壊出来るレベルの相手だ。
普通に考えると、人間が立ち向かっていい存在じゃないと思う。
『ダンジョンそのものを破壊出来るような存在だぞ? あんなサイズの人間にそんな事できんのか?』
「一人では無理だろ。でもパーティ、仲間と一緒になら行けるって事か。それでもとんでもない話だな」
やはり人間と敵対するべきじゃない。
「ご主人っ、イービルアイズとも相談してたのですが、下位魔族を何人か部下に欲しいですっ」
『現状、受動的ニシカ情報ガ集メラレマセン。コチラノ手ノ者ヲ街ニ放ッテヨリ精度ノ高イ情報ヲ集メヨウト思イマス』
「危険じゃないか? 第一街に魔族いて平気なのか?」
「教育するですっ! それに街の中には人間と魔族のハーフも多くいるですっ。下位魔族と定義的には変わらないですっ」
『アーノイーノ様ノヨウナ純魔族ヤ更ニ上ノ上位魔族デハ魔物ニ寄リスギテ警戒サレルデショウガ、下位ノ魔族デアレバ問題ナイデショウ』
「ノイ達も違いが分からないですから!」
「下位の魔族ならDPで出せるからいいぞ。何人欲しいんだ?」
『6名頂キタイデス。冒険者ニ4名、商人ニ2名。騎士団ハ貴族ノ家系ノミデ、魔法省ハ王都ヘイカネバナラナイ為、除外イタシマス』
「教会も無理かな?」
『孤児院ニ紛レ込コマセル事ナラ可能デスガ、有益ナ情報ガ得ラレルトハ思エマセンカラ』
なるほど、それに子供にスパイみたいな事をさせるのはオレも嫌だ。
「ほう、結構細かく出せるな」
『容姿の設定こっちでやっていいか!』
「いいけど、目立つと不味いからな。ノイやイービルアイズと相談しながらだぞ」
『マスターモ同席下サイ、我等デハコア様ヲ諫メル事ガ出来マセン』
「はいはい」
そう言って下位魔族を設定する。
冒険者は前衛2名、重戦士と剣士。後衛は弓と斥候を兼ねた1名、魔法職1名。
商人は…商人?
「下位魔族の商人ってどう設定するんだ…」
戦闘職の設定は出来ても、商人の設定なんてなかった。
『商人って頭いい奴だろ? 魔法か斥候でいいんじゃねーか?』
「かなぁ? なんか安易な気もするけど」
「商人組は商人が1名で、護衛として1名でもいいですよ?」
「ああ、そういう手も有りか」
確かに商人ギルドに出入り出来れば別になんでもいい。
『髪、ロングにしていいか!』
「性別どうするかー?」
「街に来た設定考えるです」
『武器何持たせるか』
「お金っていくら持たせればいいのかな?」
『オ三方、教育シテカラデスカラネ。スグニハ外ニ出シマセンカラネ』
わいわいきゃいきゃい騒ぎながらそれぞれ下位魔族の設定をする。
『マスター、外壁ニ動キガアリマシタ』
ああ、そういえば外の状況確認してたんだった。
投稿日:2020/01/01
あけましておめでとうございます
こちらの塔はあきません。




