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開かずの塔のダンジョンマスター  作者: てぃる
塔の管理者になりまして
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04

主人公は運動不足。

「草っ!」


『平原ですねマスター』


 だだっ広く、腰くらいの高さまで雑草が生い茂っている。


「ん?」


『初めましてマスター。マスターをサポートするコアです』


 感情があまり感じられない中性的な声がコアから聞こえてくる。


「よろしくー」


 右手で無造作に掴んでいる丸い石に挨拶。


『早速ですがマスター。現在位置より半径約15kmの範囲、『アリナ平原』がマスターのダンジョンになります』


「ひろっ!」


 半径15キロって…。


「平原全部がダンジョンて…」


『有名なダンジョンですと、【魔女シエンタの迷いの森】や【東の龍の谷】【災害の海域】などがマスターと同じ条件でスタートしたダンジョンです』


「知らないけど…」


『今から1週間はダンジョン作成期間の為、マスターのダンジョンは生き物に認識されません。今のうちにポイントを使用して施設やモンスターを配置すべきです』


「とりあえず施設かな。平原で野宿は勘弁だ」


『どのような施設になさいますか?』


「んー…迷いの森の人の施設はどんな感じ?」


 谷と海は参考にならなそうだ。


『小屋です』


「小屋かー」


『ダンジョンマスター【シエンタ】様はご自身のダンジョンで希少な薬草を栽培。その希少な薬草を餌に冒険者や魔物をダンジョンへと誘いポイントを得ています』


「ここは平原だよね…」


『こちらの平原を森にするには所持ポイントすべてを使っても半分も森に出来ませんが…』


「やりません」


『ではいかがいたしますか?』


「この近くに村や町はあるかい?」


『東に見える山の向こうに1箇所、人口のそこそこ多い街がございます。そちらの反対側、平原の西、先に川がございます。川を下った場所、沿岸にいくつかの集落の反応がございます』


「…んー、人がこなそうな場所だね」


『地脈から毎日ダンジョンポイントは収集出来ますが、高収入を得るには人間や魔物の侵入が必須条件です』


「あんまり攻め込まれたりしたくないなー」


『侵入者が来ないとマスターも生活出来ません。それにあまり長い時間侵入者が来ないとペナルティが発生致します』


「ペナルティは嫌だなぁ」


 過去に誰にも気づかれずに地脈からのDPだけで生活をしていたダンジョンマスターがいたらしい。


 神の試練と褒美というダンジョンとしての役割を放棄したマスターはナラヴィー様の命令を受けたコアにより【処理】されたとのこと。


 処理って言い方が怖いなあ。


「となると、ここがダンジョン…というか何かあると思わせないといけないな。適当な施設はあるかい?」


『遠目から目立つ施設となると、【山】【塔】【城】【神殿】【巨像】になります』


「ポイントの安いのは?」


『塔が3階建てまでなら一番安くて1万ポイントになります。1万ポイントで3階建て、そこから1万ポイントごとに1階層増加します。その他の施設は一番安いもので5万ポイントからになります。特に山は環境自体を変える為相当にポイントを使用します』


「んー、じゃあとりあえず3万ポイント使って5階建ての塔を建てるか……3階建てじゃ目立たなそうだし」


『では5階建ての塔を作成致します。よろしいですか?』


「ここがダンジョンの中心だよな?」


『はい、間違いありません』


「でもいきなりDPの3万も使うのは抵抗があるなぁ。初期のダンジョンって大体何DPくらいかかるものなの?」


 貰った10万DPではそもそも足りない可能性がある。


『洞窟や廃屋などの施設をダンジョンの初期と考えますと、本来であれば3万DPもあればお釣りが来ます。ですが、昨今の侵入者もダンジョンのノウハウが蓄積されているため、3万DPで作ったダンジョンは攻略されやすくなってしまいます。また、マスターの様に施設が無い地点が開始場所に選ばれる事もあります。そういった事情もあり、10万DPが初期ボーナスとして割り振られております』


「じゃあ半分くらい使っても、初期のダンジョンレベルで作成する分には問題ないって事?」


『ご理解が早くて助かります。半分使用すると、7階建ての塔が作れますよ?』


「じゃあ塔作るか! あ、でも5階建てでいいからね」


『では、3万ポイント使用して塔を作成致します。マスター、後方へ100mほど移動して下さい』


「距離感読めないから教えて」


 草を掻き分けて移動開始。


「草むらの中を移動するってキツイな」


『我慢して下さい』


「…別にダンジョンの中心部にぴったりじゃなくてもよくね?」


『マスター、それは美しくありません』


「オレ、仕事帰りだからスーツに革靴なんだよ…」


 まさかこの服装で草むらを歩き回る羽目になるとは思わなかった。


『マスター、ここで十分です』


「了解、頼む」


 ズズズズズ…。


 地面から灰色の建造物が文字通りせりあがって来た。



「思ったより高いな…」


『1階層辺り10mあります。屋上部分の飾りも含めると50m強の高さになります』


 近距離から見上げる塔は想像以上に高い。


『魔物の接近を感知しました。マスター! 早く塔へお入りください! 魔物が近づいて来ます!』


「うええ?! 了解!」


 ちょっと! まだダンジョンは認識されてないんじゃ!?


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