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やっと話が進んだ!
「かなりの数だな」
「約4000って言ってましたが、こう暗くてはどのくらいの数がいるか分かりませんね」
「森の中だしなー」
「そうですね。全部吹き飛ばしたらさぞ気持ちがいいでしょう」
ジェリーが上空から監視を行っている為、暗がりの世界で蠢く生き物達を眺めるだけになってしまっている。
いくつもの魔物の声が森に響き渡り、辺りはまるで百鬼夜行の様相となっている。
「あそこ明るいな。寄れるか?」
「やらせるですっ」
松明が多くあり、明るい一角。
神輿に乗せられた小柄の魔物が足を組んで座っている。
頭の大きさからみると、少し大きいのではないかと思われる王冠と、黒い宝玉の嵌った杖を持っている。
偉そうだ。
「ゴブリンキングですね。知能が高く、統率力に優れた魔物です」
「そしてキングの周りにはゴブリンジェネラル、ゴブリンシャーマン、オークウォーリアーもいますね。比較的力のある個体が集まっているようです」
「他のジェリーからの情報ですっ! 近くをうろついてたゴブリンやらオークなんかを取り込んで群れが大きくなってるみたいですっ」
戸惑った様子のオーガが群れに合流する様が映し出された。
この森を縄張りとするオーガだろうか。
「オーガはばらけてるです」
「ゴブリンが圧倒的に多いな」
「元々数が多い種族ですから」
「ここは塔からどれくらい離れてるんだ? 」
「歩いて3日程度離れている西の森の中ってとこだ。こんだけの数ならもっと時間がかかんじゃねーか?」
「街の者たち、人間の割には発見が早いですね」
「そうねぇ。空から見れれば一目瞭然だけど」
このままこいつらが塔に攻め入ってきたら…少なくとも街は無事じゃ済まないだろう。
「街の外壁は映せるか?」
「あいあい」
ダンジョンの外層部にある街、木で作られた柵と柵の周りには堀が軽く掘られている。
「初めて見たけど、こういう街ってレンガとか岩で城壁みたいに囲われてるモンなんじゃないのか?」
「あたしもイメージとは違うなぁ」
魔物とかがいる世界の割には脆そうだ。
「凶悪な魔物や活発的なダンジョンが近くになければどこもこのような物ですよ?」
そうなんだ?
『マスター、要望ヲ伝エテモ宜シイデショウカ』
「ん?」
「イービルアイズですっ、ノイを通さずにご主人に話しかけるとは何事ですっ!」
『申シ訳御座イマセン、ノイ様。デスガ情報収集ノ任務トハ別件デノ進言トナリマスノデ、直接語リ掛ケサセテ頂イテオリマス』
「構わないよ、今はノイと一緒にモニターを見ているんだしね」
『有難ウ御座イマス、我ラカラデハナクジェリー共ガ先ホドカラ喧シクテ…』
イービルアイズからではなく、キナップジェリーからの要望らしい。
『アレホドノ数ノ魔物ガイルノデアレバ、多少ハ摘マミ食イヲ許シテ頂イテモイイノデハナイカト』
「摘まみ食い?」
魔物食べるの?
『捕食活動ノゴ許可ヲ頂キタイソウデス』
「そういえば彼らは呼び出してから何も与えていませんでしたね」
「ダンジョン内で殺さなければDPにはなりませんし、いかがいたしますか?」
「おなかが空くのは可哀想ですぅ」
「別にいいけど、やっつけられないのかな?」
「彼らなら問題ないかと。徒歩で5日の距離をほんのひと泳ぎで詰められる実力があるのですから。そう考えると油断なりませんね」
「あたしにはそう見えないけど、あいつらつえーんだな」
でかい半透明のエチゼンクラゲのイメージだから、強いとは思えないが。
『ダンジョン外デノ活動デスカラ、多少ノ自由ハ許シテ頂ケマセンカ?』
「わかった。危険の無い範囲で許可をしよう。あと人間はやめといてくれ、これ以上街の人間からヘイトを集めたくないからな」
『有難ク』




