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26話あげずに27話出してたヨ
ゆるして!
「…こんなものダンジョンとは呼びません。ただの迷路です」
「えー」
『んだよー、罠とかいっぱいだぞー』
「罠も実際には5種類じゃないですか! しかもただ広いだけ! 罠も殺傷能力の低いものばかり! 迷路です!」
「ある程度腕のある斥候職の人間ならば解除出来る罠ばかりです」
1Fを指令室のモニターで確認中。酷評を頂いています。
罠が解除されたら、確かに広いだけの迷路だ。
「だって、呼んだ魔物が罠にかかったら可哀想だし」
『せっかく出した魔物が罠にかかったら罠もったいねーじゃん』
「でしたら罠に掛からない魔物を出せばいいのです! レイスとか、ガスクラウドとか! 実体の無い魔物を配置するんです!」
「おお…」
『やるな、フィー』
「早速変更をかけましょう」
フィーの言葉にオレは呼び出せる魔物のリストを開く。
「増えてる、どれだ?」
『マスターのレベルが上がったから魔物も増えたんだ。あとフィルター掛けられるだろ』
実体のない魔物。アクアミストなどの霧状の魔物が種類豊富。
不死系統のレイスやバンシー、地縛霊など。
「我が主、実体があっても擬態などをして動かない魔物などなら問題ありませんよ」
「ミリア、お前も中々やるな」
「我らはこういったサポートを行う為の教育を受けておりますから」
流石神様学校出身者。
「動かない魔物か」
ストーンポーン、ウォールパウンド、ガーゴイル種などなど。
いわゆる待ち伏せモンスター達だ。
侵入者達が近づいてきたら牙を剥く、まさにダンジョンモンスター。
「実際の戦闘になったら、多少罠が作動するかもしれませんが。転移の罠はダンジョン産の魔物を除外すれば問題ありません」
「そんな細かい設定が出来るんか」
『あたしは知ってたぜ!」
威張るコア。や、知ってる事は教えて?
「それと浮遊する魔物も平気ですね。たまに動く壁に挟まったりしますけど」
「それは平気っていうのか? 」
侵入者のいない現状、一番被害を受けるのが動く壁とか笑えない。
「実体の無い魔物も動かない魔物もどうするかなぁ。侵入者が来ないダンジョンに置いても暇すぎない?」
「待ち伏せを生業にしている魔物はいくらでも待ちますよ」
それも可哀想だ!
「一応1Fは三層に分かれてるから、塔の扉が開いたら設置することにしようか。それくらいの時間はありそうだし」
「構いませんが、常にそれ用のDPを取っておかないといけませんからね?」
「…まあ気を付けるよ。コアが」
『気を付けるのはいいが、最終的にDP使うのはマスターだかんな。忘れんなよ』
「………設置しちゃおうか」
自信がない。
ワイルドポーン、ソルジャーガーゴイル、スタンプウォールなどの上位種を1Fの2層3層に設置。
「階層主は置きますか?」
「おー、ダンジョンっぽいな!」
ボス戦なんて心躍る。
「我が主、ここは立派にダンジョンですよ」
「はい、すいません」
1F三層から2Fへの入り口周りを修正し武具が振り回せる広さの部屋を作成。
「今のところ無機物系のモンスターばかりですが、何をおきましょうか」
「どうするかな。定番はゴーレムか?」
「ゴーレムを置くには少し狭いですね」
『ミミック置くかミミック』
「あまり有効とは言えないですね。この迷宮の罠を解除出来る侵入者ならば、ミミック程度なら気づけるでしょう」
『ぶー』
その辺も考えないといけないのか。
「リビングアーマーの誰かに行って貰っちゃう? いっぱいいるし」
「彼らの仕事は屋敷の防衛です」
「行って貰わなくても新しく呼んだ方が良いのですよ?」
うーん何かいい魔物いないかなぁ。
お、こいつはどうだろう。
ポチポチ画面をスクロールしてたらとある魔物が目に付いた。
「アシュードッグ。いいね!」
全身が鋼鉄で作られている動物型モンスター、【アシュー】シリーズ。犬と獅子、あと海獣各種が呼び出せる。
「獅子だと大きいから犬が一番だな」
「賛成です」
「この魔物であれば素早い上に壁や天井を走ることも出来ますね。我が主、ただ出すのではなく魔力を与えて強化しておきませんか?」
『いいんじゃねーか?』
出すのにも5000DPと中々にお買い得だ。
「よし。出そう。強化するからココにね」
『了解』
二人を出した時と同様に、壁に扉が開き1匹の鉄色の犬が出て来た。
「まさかのビーグル犬」
魔物の犬だからもっとおどろおどろしい物が出るかと思ったのに。
てかモニターの表示だとドーベルマンだったのだが。
「あたしが設定したっ!」
バンッ! と音を立てながらコアボディが登場。
アシュードッグを撫で繰り回した後にまた去っていった。
「えーっと、じゃあ魔力込めるな」
撫でたかっただけらしい。
DPで出した初級の魔導書とダンジョンマニュアルを相互に読みながら魔力を活性化させて鋼鉄のビーグル犬に頭を置く。
「お前の名前は【コロ】だ」
名付けを行う。体から魔力が一気に抜ける感覚だ。
「グルルルルル………ワンッ!」
苦しんだ表情を少しだけ見せたが、すぐに立ち上がって元気に吠えた。
「よしよし、コロはこの塔の1Fのボスだ。普段からそこにいなくてもいいが、侵入者が来たら頼むぞ」
「ワンッ! ワンッ!」
仲間が増えました。
「おおおおおおおおおし!! 来たぞ! 来たぞ!! さあオレ様の加護を受け取れ!」
…神様も来ました。




