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開かずの塔のダンジョンマスター  作者: てぃる
騎士団の到着とお祭りと
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「あなた達はこの世界でのお祭りは初めてって言ってたわね?」

「ええ、そうです」


 食べ物屋さんを次々とスルーしながらシエンタ様がお祭りの話を始めた。


「こういった場での食事の屋台は触らない方がいいわ」

「あ? そーなのか? うまそうじゃん」


 うんうん、とオレが頷く。


「見た目で騙されてはダメよ。そもそも食べられる為に育てられたり、食べる為に用意されている『私たち』の食べ物と違って、屋台で用意されている物は場当たり的な物が多いの」

「そうなんですか?」

「ええ、お肉を焼く匂いじゃなくて香辛料の匂いがすごいでしょう?」


 そういえば確かに。


「その香辛料も鮮度が怪しい物ばかりだわ。以前、私のお付きの魔女見習の子達と近所の街のお祭りに行ったとき、半数がお腹を壊したの」

「うえ?」

「考えてみれば当然よね、冬に向けて食べ物を多く用意しなければならないご時世で大量に消費される肉や野菜なんかは傷んでいる物が中心ですもの。多少傷んでいても火を入れれば問題ないと思っているような連中が作っているから」

「ああ……」


 そもそも衛生観念が違う。


「良く知っている街ならば、普段からお店を出している人間の屋台に顔を出すのがお勧めよ」

「なるほど」


 塔のおひざ元の街だけど、そんなお店はチェックしてない。


「それと、やっぱりダンジョンで用意したご飯の方が美味しいわ。お祭りで例えば串焼きを買ったとして、1口2口食べたら満足しちゃうもの」

「それを言いますか…」

「たこ焼きもイカ焼きも焼きそばもない屋台に興味が湧かないのも原因ね」

「まあ、看板が立ってる訳じゃないから何売ってるか聞くか覗かないといけないですしね……」

「調理中の食べ物の前で大声で声かけするのもマイナスね、人のツバの飛んだものなんて食べたくないわ」


 日本のお祭りみたいにカラフルなノボリや屋根に派手なイラストが描いてあるわけでは無いので、売り子が大声で何を売っているか声を張っているのだ。


「なんか余計に食べる気なくすこと言わないで下さいよ…… てか、慣れ過ぎじゃないですか?」

「気のせいよ」


 まあ長く生きてればお祭りくらいいくか。


「だから、ご飯が食べたいなら別行動の方がいいかしら?」

「いえ、ご一緒しますよ」


 屋台料理を全否定されたのは驚きだが、安全で美味しいダンジョン料理の方が確かにいい。


「あたしはなんか食うかな!」

「買ってもいいが離れるなよ?」


 ちなみに俺らの後ろにはドミニク達が私服姿で控えている。

 冒険者ギルドで指名依頼を出した形だ。

 シヴィーがわざわざ冒険者ギルドに足を運んで依頼を出しに行ったときはすごい騒ぎになっていたけど、なんとかなった。


「じゃあこれ食う!」


 好きにすればいい。

 そう視線を向けると、それは湖で半ば漁師と化している海人族の冒険者達の屋台だった。


「らっしゃい! 焼き魚と焼き貝だ! どっちも安全な奴だぜ?」


 貝は中ると大変だからね。まあコアには関係ないけど。


「魚は塩焼き! 貝はバター焼き! お前らも食うか!?」


 コアが目を輝かせてこちらを向く、オレは苦笑いをしてドミニク達に顔を向ける。


「こいつらに食わしてやってくれ」


 やんわり自分は食べない事を伝え、ドミニク達に食べさせることにする。

 ドミニク達はオレ達と違って家に帰ったらご飯を作らないといけないからね。


「じゃあ6人前だ! あたし2! あとはその他!」


 という事らしい。


「いえ、セカンド様。我らは護衛中で御座いますから」

「いいから食えよー! ほれ! ほれ! ほれ!」


 手早く串焼き屋のおっちゃんが焼いている(途中)の肉を奪い去り、ドミニク達に渡していくコア。


「…… まあ食っとけ、すぐ食えば問題ないだろ」

「はあ」

「生焼けだから戻せ、腹下すぞ」


 強面の屋台のおっちゃんが低い声を出して手を出す。


「シヴィー、会計」

「はい」

「毎度あり、兄ちゃん達はお貴族様かなんかか? 後ろの面々は最近売り出し中の連中だろ」

「あいつら知ってるのか」

「ああ。俺達も冒険者だ」

「こいつらどうなんだ? まあ信用出来るから雇ってる訳だが」

「マ、サード様!」

「あー、評判は知ってるが一緒に仕事してた訳じゃいからなんとも言えないな」

「なんだ、残念」


 覗き見してないところでの意見を聞きたいと思ったのに。


「でも悪い話は聞かないぞ、ダンジョン発見時の初動対応は領主一派の連中からも褒められてたらしい。指名依頼も断れるものは断っているからギルマスは困っているらしいが」


 街を離れる護衛依頼なんかは拒否してるからね。一応自分たちの詰めてる商会の護衛依頼は継続中だからって理由で。もっとも護衛という名の自分の家だが。


「依頼人相手に文句を言うって話も聞くが、そっちのお嬢ちゃんを守る為だろうしいいんじゃないかと思うぞ? ウチにも女性陣がいるから分かる」

「お嬢ちゃんはやめてください」

「結構魚も買ってくれるしな。他に獲れる人間がいないから高目にだしてるのに買ってくんだ。そこらの貧乏騎士より金もってるだろ。その分実入りのいい依頼を受けれてるって事だしな」


 その言葉にドミニク達は苦笑しつつ、魚の串焼きを受け取っている。


「うま! うま! マスター! 食えよ!」

「じゃあ一口な、それとサードだ」


 オレは一口だけ貰う。うん美味しい。

 自分の体だったら買って食べてたと思うが、今はサードの中だ。自分の肉体では食べてないのに満腹感に襲われると面倒だからあまり食べない様にしている。

 あとさっきのシエンタ様の言葉が……。


「美味いな」

「おう! ここの魚は絶品だからな! その分獲るのは危険だが!」


 うむ。他の屋台より高いだけある。


「ごちそうさまです」

「ありがとうございますセカンド様」

「美味いっす! 美味いっす!」

「感謝します」


 護衛組みも美味しそうに食べている。


「おう、ドミニク! こっちのも食ってけよ」

「お前のトコから降ろしたブルブルだ、持ってきな」

「ケルブ! こないだは世話になったな! おら、呑め呑め!」

「お姉様、ご一緒しませんか?」


 なんか絡まれ出したぞ。大人気だなドミニク達。


「悪いな、護衛の仕事中なんだ」


 言いながら受け取り、苦笑しながらコアをせっせと餌付けするドミニク。

 持てない分はジンが持っているわけだが。


「大人気ね。護衛の人選間違えてない?」

「まあ、シヴィーとシルバリオがいるから問題ないです」


 ジオはコアからご飯をもらって喜んでるからじょーがいっ!

こうしんっ

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