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騎士団員達が神々の試練の間への挑戦を終えた。
6人で金貨6枚を希望したので鉄鬼兵が3体でお相手をし、鉄鬼兵は早々に敗北してました。
ジルノスも強かったけど、騎士全員が強かったよ。うん、鉄鬼兵じゃ相手にならなかった。
きちんと訓練された一つのチームは想像以上に強い。少なくともうちの下級魔族チームでは勝てないと思う。
名付きの魔物相手は人間では物理的に無理なんじゃないかと思ってたけど、さっきのジルノスやドレッド達のような英雄と呼ばれる連中は『戦い』そのものが違う。
あとで難易度の調整をゲン爺と話し合わないといけないな。
「もっと色々挑戦すればいいのに」
鉄鬼兵以外にもリザードマンとかアーリマンとか鋼竜とか色々用意してあるのにさ!
「まったくです! ビビリですっ!」
「ほんとになぁ」
ノイとぶつくさ文句を言うが、勝手に強いのをぶつける訳にもいかない。
『ジョージ殿と言ったな、見届け感謝する』
『自分がここにいるのは、我が偉大なる主からの指示である。お前たちに感謝される謂れはない』
闘技場の横で控えていたジョージがジルノスに声を掛けられた。
『ふ、偉大なる主か…… 人間を魔物と戦わせて高みの見物をしてるんだろう? 趣味の悪い存在だな』
『なんだとっ!』
ジョージが挑発されている?
「あいつ、殺したいです」
「どうどう」
オレの横で憤慨しているノイの頭を撫でて抑える。
「シヴィーもジオも落ち着けな? 勝手に動くなよ」
「…… はい」
「むー」
そしてそれ以上に勝手に動くと困る二人も牽制。
こいつら転移であそこ飛べるしな。
『その偉大なる主とはなんなのだ? こんなところで戦いの場を与え、金品で冒険者共を集めている。それにわざわざ人間の為にあつらえたかのような、食い物や木材や鉄が手に入る都合のいいダンジョン。まるで人間を誘引しているかのようじゃないか』
『人間風情が、我が主の偉大なるお考えを理解できる訳がなかろう』
『偉大なる主の偉大なるお考え? はっ! ダンジョンマスターは人間の敵だ。敵の考えを理解するつもりなど毛頭ない』
ぴしゃりと答えるジルノス。だけど道中を観察している限りではもっと思慮深い印象だ。適当に感情を揺さぶってジョージから情報を得ようとしているのかもしれない。
「エディ、ジョージに適当に話を続けさせるように伝えて」
「「「 あのような狼藉者、早々に殺すべきかと具申致します!! 」」」
「却下」
唾を飛ばすんじゃない。
『我らが主を敵というのであれば、ここは敵地。どのような目に遭っても文句はあるまい?』
『ほう? 貴殿が相手をしてくれるとでもいうのか?』
ジョージの手の内が知りたいのか?
「ジョージに断るよう伝えて」
「「「 はっ! 」」」
多少テンポ悪いけど、直接会話しない以上諦めるしかない。
『…… 貴様ら程度の人間に、自分が出る必要があると? 馬鹿な話だ。自分に弱者を一方的に潰す趣味はない』
『普段他の連中にやっているではないか』
『弱者と愚者の区別もつかないか? 少なくとも先ほどの戦いを見て貴殿が愚者ではないと理解したつもりであったが、自分の勘違いだったか』
『むっ』
「良い返しだな」
「「「 私の指示で御座います 」」」
「お、おう。 ……よくやった」
「「「 有難くっ 」」」
そういうのは言わない方が恰好良いよ。
『して、だ。そろそろ腹を割って話さぬか? 貴殿は自分から何を聞き出したい?』
『お見通しか』
『戦いを見る前であれば、気づかなかったかもしれぬがな。そこらの有象無象と同じような言葉を吐きだした時には少々意表を突かれたが』
『そうか、過分な評価ありがたく…… 知らぬとはいえジョージ殿の主を貶したことを詫びたい。この通りだ』
ジルノスは頭を下げる、それに合わせて騎士達も頭を下げた。
「受け入れると」
「「「 よろしいのですか? 」」」
「いいんだよ。元々オレは怒っちゃいない」
怒ってるのはお前たちだけだ。
『…… 謝罪は受け入れよう』
『助かる、本当にすまなかった』
ぬう、騎士団の評価がしにくいな。
『ジョージ殿。ジョージ殿の主は何を考えてこのダンジョンを作ったのだ』
「聞かされていないと答えさせて」
「「「 はっ 」」」
エディ、フル稼働である。
『…… お館様のお考え、自分には到底理解出来ぬ。そもそも自分はここの管理を任されているだけだ』
『そうであったか』
『なるべく人も魔物も死なぬように調整すること、とは言われておる。まあ塩エリアのゴブリン達や貴殿らの戦った鉄鬼兵みたいな魔物を除いてだが』
『人も魔物も?』
『ああ、お館様は慈悲深いお方だからな』
余計なことを自慢気に言うんじゃない。
「これ以上聞きたいなら、ジョージに戦うように指示を。たぶんそれで退くでしょ」
「「「 はっ 」」」
ジョージがオレの指示通り、これ以上の情報を欲するならと言うと思ったよりもすんなりと騎士団連中は退いた。
退くだろうと思っていたけど、結構焦っていたのが印象的。
「ジョージの実力が分かっているのでしょう。ジョージも未熟ですね」
実力を隠せない事もうんたらかんたらと、そんなことをシヴィーが言っていた。
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