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二柱の神がお帰りになられたのはその日の夜だ。
ケレンセリッシュ様は満足気に帰り、ニーロイップ様は建築物の外装を考え直すと保留となった。
ニーロイップ様、また建築物見に来るってさ。
そんなこんなでその次の日、にんまり笑うオレとコアが現れた。
「ふふふ、いよいよだなマスター」
「ああ、いよいよだコアよ」
何故か指令室の隅っこで密談。
「いえ、構わないのでどうぞやってください」
そんなオレ達に冷たいフィル。
冷たいぞフィル。
「こほん、では改めて。コアさんや、今のDPはおいくつなんだい?」
「はっはっはっ、マスターや。なんと驚きの1億6千万DPだ」
「なんだって!? いつの間に!?」
「まったくだ! 昨日の神様方、絶対算数間違えてるぜ!」
「構うもんか! さあ! まずはボス部屋の拡張だ!」
「了解っ! 1000万DP消費っ! 出来たぜ!」
「出来たか! じゃあ転移だっ!」
二つ下の階層、4Fが拡大される。
オレはコア達を連れて転移。そこにはただただ広い空間が広がっているだけだ。
床は塔そのもののまま。壁と天井はかなり遠くにあるのか見えない。
「さあ、銀龍を召喚だ!」
「かもんっ! 銀龍!」
コアが無駄に片手をあげて雄たけびを上げる。
眩い光が生まれ地面には魔物召喚時に起きる特有の魔法陣が生まれる。
今まで目で見たものの中では最大サイズだ。
や、バルトの魔法陣はこれより大きかったと思うけど見てないからね。
「………………」
てっきり雄たけびを上げて登場するのかと思いきや、大人しい。
大きさは進化した当初のジオよりは小さいが、それでも2,30mはあるだろう。
まさにこの世界最初に確認をした二体のドラゴンそのものだ。
「良く来た銀龍よ。お前にここの階層を任せようと思う。ここの守護者としてダンジョン最後の砦の務めを果たしてくれ」
「任務、了解した。我が主君よ」
目を細めて、こちらにその大きく長い首を下ろして顔を向けて来る。
でかいなぁ。
「お前に名を与えよう。我がダンジョン最高にして最強のボスの名を」
「おお、有難い!」
前もって決めていたんだ。
「お前の名前はシルバリオ! 我がダンジョンを力で守れ! 秩序の守護者の本懐を遂げるのだ!」
秩序の神様であるゴース様の配下が元の銀龍だ。魔物としての力を十全に発揮するならば、ゴース様の加護を乗せた方がいいだろうと思った。
それと戦女神ヒュッツアーベル様の加護。大元は神様の眷属神に連なる事の出来る魔物だ。そこに戦の加護を乗せる事は必然と言える。
「っと……」
足元がふらついた。こいつ、オレが全力で魔力を注いでも限界が見えずどんどん入っていったから加減を間違えたようだ。
「アユム様!?」
「歩様!」
「主君!」
「ますたー!」
よろけたオレを支えてくれたのはコアだ。
「マスター、気合入れすぎだぞ」
「はは、うれしくてついね」
「主君。我のようなものにそこまでの力を奮って頂く必要は御座いませぬ」
銀龍、いや。シルバリオが体を輝かせながら小さくなる。
人化だ。
背の高い好青年。清潔感のある長い銀髪を流す男はどこの俳優かモデルだと聞きたくなる容姿をしている。
ちなみに全裸ではない。ゆったりとしたローブを着ている。
「シルバリオ、お前には期待しているぞ」
「はっ!」
「まあ、お前に出番がないのが一番いいんだがな」
地面に座り込んで魔力回復ポーションを飲む。
シエルが用意していた物。出来るメイドだ
「飲みやすい!」
改良したバージョンか!
「さて、この階層はすべてお前の物になるわけだ。山、川、砂漠、雪原に荒野。どんな環境がいい?」
「我はこのままでも十分であると……」
「そういうわけにもいかないさ。ここまで上がってきた冒険者ともなれば、それは凄腕だ。お前の力が十全に発揮される環境で戦って欲しい」
「主君……」
シルバリオは少し考えると、顔を上げた。
「なれば、干潟のような地面と我が休める大きさの草原を頂きたい」
「干潟?」
てっきり火山とか溶岩地帯を希望するかと思った。
「左様に御座います。我が十全に力を発揮できる場所というのであれば、敵に逃げられぬよう遮蔽物の少ない地が一番に御座います。そして、主君のお力を受け継いだ我は水や海とも相性が良く御座います」
「そうなんだ。火とか吹いたりしないの?」
「我が放つブレスは純粋な破壊のエネルギーに御座います。炎や雷といった物にも変換は可能で御座いますが、効率を考えると破壊のエネルギーのまま放つ方が威力は高く精度も保てます」
「罠とかは?」
「…… あっても困るものでは御座いませんが、我が本気で戦闘を始めたら罠ごと吹き飛ばしそうで……」
申し訳なさそうに呟くシルバリオ、龍という種族のイメージを考えると、随分おとなしい性格となったようだ。
「了解、干潟と濡れない草原…… お前の大きさなら島でいいか。多少高低差があった方がいいんじゃないか?」
ボスは高いところから見下すべきだ。
「はっ!」
「マスター」
「ん?」
「この階層の強化もしておかないか? ラジェール様やエドランテ様と同等クラスの火力を持ってるとしたら塔が破壊されかねないぞ」
「おお」
コアの言う通りだ。さっき言ってた純粋な破壊のエネルギーって結構物騒な代物な気がする。
「干潟と小島、それとこの階層自体、というか可能であれば塔全体の強化。残りDP100万DPまで残ってればいいから全部やってくれ」
「了解だ! マスター! レベルもアップだな! 93だ!」
「おめでとうございます」
「素晴らしいですアユム様」
「ますたーぱわーあっぷ?」
「感謝いたします主君」
流石に1億3000万DPも使えばレベルも一気に上昇だ。
「さて、連日続いてるが歓迎会をしないとだな」
「だな!」
「いえ、我にはお役目が……」
「1Fの扉が突破されたらここに戻ってくる感じでいいぞ」
今のところその気配は無いけどな!
シルバリオ登場です。
彼が戦闘する場面が起きない事を祈ってて下さい。




