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開かずの塔のダンジョンマスター  作者: てぃる
宣戦布告と塔の完成
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「今回、階層は増やさずに行くことにしたネ」


「そうなんですか?」


「DP使いすぎたネ。手下に怒られたネ」


 一応管理する人……(人?)がいるらしい。


 指令室に移動して、あれこれとモニターに移してシミュレーション中だ。


 メインの指令室に台を乗せてケレンセリッシュ様が鎮座。


 オレは横でケレンセリッシュ様の補佐というか世間話の相手をしている。


 フィルとシヴィーとシエルとジオも待機。


「だからここの闘技場の一角を、というか闘技場を一角にして残りを南国&高原エリアにするネ」


「そりゃ暑そうですね……」


 魔物達が熱中症で倒れそう。


「過酷な環境で訓練させた方が魔物達の鍛錬にもなるネ」


 モノは言いようだと思う。


「どうせなら高原エリアにも同じ規模の闘技場を作るか……」


 アスリートは標高の高いところでトレーニングすると聞くし。


「それ、意味あるのかネ?」


「聞きかじった程度ですけど、どうでしょう」


 魔物にも有酸素運動的な物は効果があるのだろうか??


「まあその辺は好きにするネ。とりあえずバナナねバナナ」


「ドリアンもありますよ」


「スターフルーツも気になるネ!」


「カカオも作らせますからね? あとコーヒー豆と」


 ミルクと砂糖を入れれば飲めるっ!


「この気候にあった畜産も出来るはずネ。ブレードエレカウやスラッシュキラーゴートも育てるネ」


「それ、魔物ですよね?」


 畜産といえるのだろうか?


「お乳も出るし肉も取れるネ。チーズは絶品ネ。でも加工が難しいネ」


「それは上に持ってきてやらせますか」


「興味深いネ。本来産出されない気候の地域で発酵させたらどう変化するか…… いまからよだれが止まらないネ」


「美味しければいいですねぇ」


 豊潤に恵まれるのは確定しているので、あとは味の問題だ。


「美味しくさせるネ。それとせっかくだから管理者も新しく出すネ」


「何を出すんです?」


「農耕を司るワタシの眷属を出すネ。こっちは屋敷があったりの関係上、キミの魔物主体となってるけどワタシの意思をそのまま降ろせる魔物を置こうと思うネ。でも安心するネ。あくまでもキミの魔物ネ」


「それは構いませんが、どんな魔物でしょうか?」


「木ネ」


「木ですか」


 なんとなく世界樹的な大きな木を想像。


 でもよくよく考えるとドライアドも本質は木というか、樹なんだよね。そう考えると、どんなファンタジーな魔物なのか。


「分かりやすくいうと、人面樹ネ」


「またイロモノですね」


「人間よりシンプルな生き物ネ。顔が付いてるだけネ」


「や、それはそれで…… というか、ケレンセリッシュ様と直接交信なんて出来るんですか?」


「キミが名付けした上で神力をワタシが注げば問題ないネ。君の部下であり、ワタシの眷属となるネ。問題があったらこっちで回収するネ」


「そんな事が可能なんですね」


「本来は駄目ネ。でもここはナラヴィー様のゲン爺がいるネ。前例がいれば問題ないネ」


 ダンジョンを管理してるナラヴィー様の眷属がいるから自分の眷属がいてもいいだろうと、嘯くウサギ様。


「ゲン爺はオレの魔物って訳じゃないんですけど……」


「むしろそっちのが問題ネ。神が一つのヒトや国、ダンジョンを優遇してはいけない、という決まりがあるわけじゃないけど、ある程度平等に関わらなければ下々の者が付け上がるネ」


「それはなんとなく理解出来ます」


 神々にこれだけ慕われてるんだから、オレは別格なんだぞ! 的な事を考えてもおかしくないと思う。


 というか、この世界は神様の存在が身近だからそう考えるべきなのかもしれない。


「ダンジョンとしては不健全かもしれないネ。でもワタシはダンジョンを管理する神じゃないから関係ないネ。珍しい美味しいものを育てる存在はワタシの庇護下にあって然るべきネ。たまたまそこがダンジョンだったってだけの話ネ」


 言い訳がいっぱい出来るから有りってことでOK?


「まあそんな感じで出すネ。ダンジョンショップに2000万DPでセットしておいたネ。もちろん買えるネ?」


「はい、大丈夫です…… ですが、高いですね」


 あぶねぇ! フィルの言ってた通り銀龍出すのに使ってたらDP足りなくなってたかもしれない!


「こいつネ。【ケルバルン人面樹 (亜種)】明日にはDP戻せるように頑張るネ。だから払うネ」


 テシテシ、とオレの腕をウサギ様が叩くの。不覚にも可愛い。言われた通り購入する。


 大きさが大きさだから、屋敷の外に出した。


「こいつはしばらく待機させるネ。じゃあ次は闘技場エリアの改造に取り掛かるネ」


 短い前足で器用にパネルを操作するケレンセリッシュ様。出来るOLみたいだ。


「出来たネ。一応下層への出入り口はそっちで設定するネ」


「あ、了解です」


 オレはどうせならと、海底に洞窟を作ってそこを出入り口にした。


 あとで魔物も配置しよう。


 オレのダンジョンも中々の広さになったと思う。


 外層に街があり、地下1層で街の人間達がダンジョン探索を楽しめるようになっている。


 1Fは閉ざされた扉の中に罠と待ち伏せ魔物が中心の迷路。


 2Fは鏡とガラスと幻惑の迷宮。


 3Fは未だに空っぽ。1F・2Fを突破してきた人間に合わせてその人間が苦手そうなMAPにする予定の場所。何パターンか既に作っている。


 4Fはボス部屋。銀龍を入れて銀龍に合った環境に作り直す予定。


 5Fが新たに作られた南国&高原のある闘技場エリア…… 逆か? むさくるしく暑々しい場所だ。


 6F。つまりここ。3つの山と海の幸が楽しめる生活エリア。神殿やら屋敷やら、神々の別荘やらいろいろ増えてきた。でもまだ土地はかなり余らせている。天狗達と最近話してないな。


 7F。コアルームだ。最近顔を出してない。コアは更に大きくなったんだろうか?


 最上部に屋上。魔物が出撃するときに行ったくらい? 灯台みたいにトーチでもおこうかしら。


「出来たネ。色々詰めて2500万DPね」


「あ、了解です。作成開始」


『作成、開始するぜ!』


 物思いにふけってたらケレンセリッシュ様に声を掛けられた。


 待ってましたと言わんばかりにコアが反応。神様いると大人しくなるコアは黙って待機してたな?


 コアのボディはセカンド状態でシエルの横に控えてニコニコしている。


「でかいっ!」


 作成したので、例の眷属候補を見に外に出る。


 人面樹って聞いたから、多少大木感はあっても普通の木だろうとタカをくくっていた。


 だが、この【ケルバルン人面樹】の亜種はとんでもない大きさだった。


 裏庭が埋まってしまっている。


 根っこだけで。


『申し訳御座いません。お屋敷を破壊しそうでしたので、勝手に移動致しました』


 空気が震えて声が聞こえてくる。


 声が遠い。


「なんにしても、まず移動しないとだな……」


「ですね」


 シヴィーが頷く。だが自分でやるとは言い出さない。


「オレがやるな」


「お願いいたします」


 深々と頭を下げるシヴィー。心なしか悔しそうだ。


「転移っ!」


 景色が一瞬歪むと共に、新設した南国&高原エリアの中心地に移動した。

階層を増やすDPは、ケレンセリッシュの使う総DPと比較したら微々たる物なのだけどね……

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― 新着の感想 ―
[一言] 早く銀龍がみたい…
[気になる点] 前々から思ってたんですが 2階のガラス・鏡を土魔法の泥かなんかで汚してしまえば攻略しやすいんじゃと思うのですがどうでしたっけ [一言] 3Fは空。 「そら」と読んでしまった、そういえ…
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