02
何がとは言いませんが、きっと白です。
「ここはエドラードの神界ね。あんたらに分かるように説明すると、異世界だ。更にその異世界の中でも選ばれた者しか立ち入れぬ神の世界だ」
瞬間、ライオンマスク(仮名)さんとバッタプリンセス(仮名)さんとへそ出し猫(仮名)ちゃんが席から離れて片膝をついて跪いた。
オレとおっさんとジャイアント女子高生(仮名)は頭に【?】が出ている。
「よい、席に戻れ」
「「「はっ!」」」
「中々に信心深い者達だ。残りの3人は神の影響が少ない世界出身だし、しゃーねえか」
特に反応を示さなかったオレ達3人に視線を向ける。
「で、お前さん達は俺達【神の力】でこの世界に戻ってきたわけだ」
「はあ…」
「光栄であります」
「…」
「ギチギチギチ♪」
「?」
「大出世だにゃ!」
6人がそれぞれ反応をする、というかちゃんと反応したのは3人だけど。
「我が主よ! 我等は何を屠ればよろしいのですか!」
「ああ、そういうのではない」
「ギチ? ギチギチギチ! ギチギチ!」
「興奮すんなって。世話係は間に合ってる」
「にゃ? 何をすればいいんだにゃ?」
「それを今から説明するんだよ」
だから大人しくしてろって。そう言って机の引き出しを開けてごそごそ。
そこから木枠を取り出した。
「注目!」
木枠に全員の視線が集まる。
「あの、小さくてよく見えません」
でしょうね! あなた大きいもんね!
「むう、美の神の傑作紙芝居なのだが」
「すいません」
「まあいっか。どうせ途中までしか出来てないし」
後ろに投げ捨てる。
なぜ出した…。
「途中で飽きたらしい」
未完成の理由を聞いたのではないのだが…。
「で、説明だ。俺はエドラードで闇を司り総括する存在。名はナラヴィーだ」
「おお、闇の主神様であられましたか!」
「だな。で、オレがこちらの世界に人を引っこ抜く為に特別な力を使った。同じタイミングでたまたま扉を開けたお前らがこっちに来たって訳だ」
「え…?」
「もちろん素養がある奴だけだ。正確にいうと、お前達の魂はこの世界を既に経験している」
「それってつまり…」
「こっちの世界にいた時に何をしてたかは知らないけどな。まあ天寿を全うしてるとは思わないが、何かしら力を持った存在だったはずだ」
「それって…」
「輪廻転生…」
女子高生のつぶやきと、スーツ姿のおっさんのつぶやき。
「世界を渡って無事でいられるかどうかってのもポイントだな」
「無事…」
ライオンマスク(仮名)さんが、だいぶ困った顔をしている。まあ普通こんなこと言われると困るわな。
「まだ自覚はないだろうがな。この世界に魂が馴染んできたらこの世界にいたころの肉体に引っ張られて過去の能力も復帰するはずだ」
「それは、今の能力を失って得るモノなのかにゃ?」
「種族的な能力が消える事は稀にあるけど、基本的には融合する事がほとんどかな」
「それはつまり…」
「なってみないとわかんないって事だ」
「そんな…」
顔色の悪くなるライオンマスク(仮名)さん。便利なマスクだ。
「今よりも強くなる事がほとんどだから安心しな! ま、能力の復帰が行われる前に死ぬこともあるから気を付けるこった」
「死…」
今度はオレとスーツのおっさんの顔色が悪くなる。
「まあその辺はおいおいだ。それよりもお前達にやって貰いたい事だが」
ごくり。
「ダンジョンの作成を頼みたい」