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いつもの指令室のいつもの艦長席に座らされると、画面の表示がDPの総量を表してた。
「あ……」
その数字は1に0がいっぱい並んでいる。
「一億か」
「そうだ! 一億だ! 銀龍出せるぞ!」
「おおおおお!」
これは驚きだ! いつの間にこんなにDPが!
「最近DP収入が増えてたが、昨日の夜にどかんと入ってな! なんと1日で500万DPだ! これで銀龍が出せるぞ!」
「だなだな! とうとうボス部屋を作るタイミングが!」
「やったなマスター!」
「おうさ! それじゃあ早速」
「いけません」
ふぃるぅ……。
「なんだよフィル、水差すなよ」
「銀龍を出すとしてどこに出すのですか」
「どこって、ボス部屋に」
「あそこ、闘技場にしましたよね?」
「あ……」
そうだった!
「その下は対冒険者用スペースです、まず3Fと4Fの間に一つ階層を増やさなければなりません」
「そうだな、うん」
「そして通常スペースですと銀龍では翼をはためかせても自由に飛ぶには狭すぎます。大きく動き回れるように空間を拡張せねばなりません」
「空間の拡張か。確かに必要だ」
「それに加え、冒険者を迎え撃つ為に銀龍のもっとも力を発揮できる環境に作り上げるべきです。これは銀龍を召喚した直後に本人から聞き取りをするべきかと思われます」
「そうだな、それがいい」
「だなだな!」
「そしてそれらを踏まえたうえで、更にこのダンジョンを維持するためのDPと万が一の侵入者対策を考えると、もう5000万DPほど貯めるべきかと考えます」
「うへっ!」
「まて、そんなにいらんだろ? 2000万もあれば良くないか!?」
「どう考えても足りません、お話にあったケレンセリッシュ様ご希望の南国エリアやニーロイップ様の専用工房。それにヒュッツァーベル様専用の別荘の作成もこれからなんですから。神々の御要望にいつでも応えられる様に準備をしておかなければならないでしょう?」
「ぬう、細かい事を!」
「すべては、歩様とこのダンジョンの為です」
「ケレンセリッシュ様のとこはDPがどうしてもかかるけど、それ以外のところはドワーフ達に作らせればいいじゃないか」
「ドワーフ達にも手伝わせますが、ドワーフ達で対処出来ない点においてはどうしてもDPが必要です」
「神々に滞在してもらえればその分DPが回収できるっ!」
「そのDPが入るのは翌日ですし、そもそも安定しません」
「確かに滞在時間によってDPの入手量は変化するけど……」
「今は一時的にDPの入りが良くなっておりますが、またいつDPの入手量が減るとも限りません。じっくりため込んでからでいいでしょう? 戦争もあるかもしれないのですから」
「戦争があるからこそ銀龍だろう?」
「外で運用出来ませんよ。神話の時代の魔物ですよ?」
「え? ダメなの?」
「…… あんなものを出したら、上級のダンマスに付け狙われますよ?」
「銀龍で蹴散らす!」
コア、それはちょっと強引だ。
「外部からダンジョンが宣戦布告してきたら、戦場になるのは塔の周りの街ですよ? 彼らが死に、吸収すれば一時的にDPが入ります。ですがそうなると街の人間は目減りし、危険を察知して人間は街から逃げ出すでしょう。この塔の周りが戦場になるのは避けねばなりません」
「ん? ちょっと待てフィル」
「いいえ待ちません。そもそも前回のDP減少も街人の逃避が原因だと分かったではないですか? 同じ轍を踏むわけにはいきません」
コアが口を挟もうとするも、フィルのマシンガンは止まらない。
「そうじゃなくて」
「だいたいコア様もDPを一気に使いたいだけでしょう? 一億なんて大きいDP、滅多に使う機会はありませんからね」
「いいから聞け! 宣戦布告されてる!」
「…… は?」
「宣戦布告だ宣戦布告! 他所のダンジョンから戦の申し込みだ!」
「なんと!」
「え? まじで?」
戦争の話に行きそうになった途端戦争になるとか。
2020/06/29
おかげさまでブックマークが2000件突破しました。
ブクマ削るマンがいたので報告おくれましたが、確実に2000件超えたと言える件数になったのでご報告!
皆さんいつも応援有難うございます。
 




