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開かずの塔のダンジョンマスター  作者: てぃる
神々の試練の間
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 ヒュッツァーベル様とジオの歓迎会を行ってその日はお開き。


「ベヒーモス種は適度に戦闘をさせてやった方が良い、だが生まれたてだ。加減を知らないから下手な相手だと殺してしまうから気を付けるのだぞ?」


 流石にお泊りは出来ないと残念がるヒュッツァーベル様が帰りがけに言ってくれた。


 とりあえずシヴィーとチムがしばらく訓練する事で話がつく。


 ジオ、見た目はともかく超強いようだ。


 プチベヒンの状態にも戻れるらしく、今日だけはオレと一緒に寝た。


 フィルとシヴィーが血の涙を…… 出るもんなんだね。


 シヴィーに至ってはプチベヒンの色違いに変身してオレの寝床に入りこむ始末。


 蹴りだしておいた。


「なぜ……」


「お前はなんか怖いんだ」


「私もアユム様に抱かれて眠りたいんです!」


 裸でエロい事のたまうんじゃない。


「シヴィー寝ないだろ。あとそれやると全員来るからダメ」


 手をわきわきしてるシエルとかもいるからダメ。


 あと夜のうちにチムが大量の服を届けてくれた。その中でジオが選んだ服は執事服。


「ふぃるやしびーとお揃い」


「しびーではなくシヴィーです」


「しびー」


「シヴィー!」


「チヴィー」


「…… おいおい教育していきましょう」


 ほどほどにね?


「領主達の様子を確認したい」


 日が明けてからもう随分時間がたっている。


 冒険者達は朝が早いからもう動き出しているはずだ。


「ではお供を」


「シヴィーはジオをよろしく」


「そんなー」


 わかってたでしょ?


「しびー、あるじは僕がまもる」


「今はそのタイミングではないのですよ……」


 2人が動かないので闘技場に移動。


 闘技場の観戦ルームにモニターを設置し、同じ空間にいることで2人には納得してもらう。


「あるじのてき、全部たおす」


「まずはどの程度使えるか、見てあげましょう」


 シヴィーが余裕の笑みを浮かべ、闘技場に立つ。


 シヴィーが戦うところ、初めて見るかもしれない。


「夜中に何度かミリアと手合わせをしているのは知っていましたが、私も初めて見ます」


 フィルも初めてらしい。


「始まりましたね」


「……だな」


 はい、影も見えません。


 結構距離があるんだけどなぁ。


 時たま衝撃波が生まれては闘技場にヒビが入り、その地点に2人の姿が浮かび上がるがすぐ消えては別の場所でまたぶつかり合っている。


 闘技場DPで作ったよね? ヒビは入るの? や、自動で直るからいいんだけど。


「見える?」


「まったく」


「だよね」


「ええ、自信を無くします」


 ま、まあ味方だしいいか。


「あの2人はすごいな」


 思わずため息をついてしまう。


「お役に立てず、申し訳御座いません」


「んー? 戦闘でのこと?」


「はい。ダンジョンに呼んでいただいた当初も、マスターの考えた鏡の迷宮で無様な真似をお見せしてしまいました。シヴィーとジオの2人にも、銀ちゃんやチム達。それにミリアやノイにも、私は遠く及びません」


 両手の拳を握りこむフィル。


「フィルはさ」


「……」


「フィルは、戦わせる為に呼んだんじゃない。そもそもウチのダンジョンで戦いの為、防衛の為に呼んだ魔物はコロを筆頭にごく少数なんだ」


「そう、でしたね」


「それぞれにはそれぞれ、役割があり仕事がある。フィルは他の連中の仕事を奪うつもりでこの場にいるわけじゃないだろ?」


「勿論です」


「じゃあ弱い事に対し、謝罪なんかするなよ。オレはフィルの戦闘力が0でも構わないんだ。そりゃあダンジョンだから強いにこしたことはないだろうけど、フィルやミリアが戦陣に立つような状況になったら、ウチのダンジョンはもう落ちたも同然だ。フィルが強い、弱い、関係なくな」


「それは……」


「オレはそのつもりだよ。銀ちゃんやコロが落ちてダンジョンの中が戦場になったら、ドライアド達や人魚達、ドワーフ達を守らなきゃいけない。そうなったらもうこのダンジョンはおしまいだ。多少強いミリアやノイが頑張ったところでどうにもならない」


「………… なんとか、しませんと」


「そうだな、だから銀龍が欲しい。そしてフィル、お前は銀龍にはなれない」


「はい」


「お前は屋敷の維持とオレとコアの生活向上の為に呼んで、それをしっかりとこなしてくれている。オレもコアも、シヴィーやミリアもその点でお前を責めたことはない」


「それは、有難いお話ですが」


「お前は仕事をきちんとこなしてるよ。そしてお前はお前の仕事に集中してくれればいい。お前の仕事ぶりを評価してるから、夜会の間は任せたし今もこうして一緒に行動している」


 フィルの表情が驚いたものへと変わる。


「いつもありがとう、フィル。これからも今まで通り頼むよ」


「歩様…… そのようなお言葉を…… なんと……」


 声を震わせ、涙を流しながらゆっくりと頭を下げるフィル。


「有難うございます、私は幸せなんですね」


「こっちこそ。オレの元で幸せになってくれてありがとう」


 横に立つフィルの背中をポンと叩く。この話はもうおしまいだ。

歩とフィルの掛け合いって今まであんまり書いてこなかった気がする。

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[気になる点] え、なんかやおい臭が…。
[良い点] >オレの元で幸せになってくれてありがとう このセリフめっちゃ良いです!
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