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「はあ…… じゃあ何がいいですかね」
屋敷の指令室に場所を移し、コアが普通に出せる魔物と現在ダンジョンショップで販売している魔物を確認する。
「まず、オレと行動するのに大きすぎるのは却下だね」
「そうでございますね。私たちと同じくらいか、もっと小さいタイプがよろしいかと思います」
リストから大型の魔物をはぶく。
「小さすぎるのもいけません。歩様の壁になることが出来ませんから」
フィルが勝手に昆虫や小鳥サイズの魔物をはぶく。
「社交場にも姿を出せる用に、人型が良いのではないか?」
ヒュッツァーベル様がオレの顔を覗き込んでくる。
「………… ドワーフですね」
「いやだ!」
いや、別にドワーフ種の連中が嫌いな訳じゃないんだ!
「ドワーフはお嫌いですか?」
「そうじゃないんだ…… でも毛むくじゃらでムサイのがオレの周りに常にいる状況が嫌なんだ」
「ま、まあ分からなくはないですが」
「そうか? 逞しくて良いではないか」
ヒュッツァーベル様の周りはどうなっているのだろうか。
「天使はどうだ? お前の従者の一人にもいるじゃないか。素早いし空も飛べる、魔法も扱えるし」
「でしたらダークエルフはいかがでしょう? エルフよりも肉体的に優れておりますよ」
「人型というお話であれば、人化した悪魔などはどうでしょう? 形態を変えることで様々な状況に対応できるようになりますよ」
「魔族がいいですっ! 上級魔族なら天使なんかに負けないですっ!」
「「「 肉体の頑強さと翼持つ面を考えると、龍人も一考の価値があるかと 」」」
各々が自分の意見を言い出し始めたぞ? ノイとエディーまで加わってくる始末。
『いざって時にマスター担いで逃げれる奴がいいんじゃねえか? 魔獣系の上位種なら人化も出来る奴がいるぞ』
コアまで。お前は参加したいだけだろ。
「魔獣か、考えてなかったな…… そうだな、魔獣が良くないか? 硬いし速い」
ヒュッツァーベル様が頷く。
「うちだと星丸が魔獣ですっ!」
「星丸ってそうなんだ?」
確かに獣だ。
「人化できるレベルで、防衛…… 護衛向きの魔獣か。すぐには思い浮かばないな」
ヒュッツァーベル様が首を傾げる。
フィルがモニターを操作して、先ほど消した大型の魔物を再び表示させる。
「プチゲイルにオルトロス、テイルフォックスに……なんか増えてね?」
『マザーに接続したときに召喚できる魔物のリストも更新出来たからな。大型の魔獣はDPがかかっからお勧めだぜ?』
「高いだけじゃないだろうな」
『どうだろうなぁ』
「大型は知性が少ないのでやめた方がいいかもしれませんね」
「フィル?」
「ブラッドエルファンやシャードガルディア、見たところ凶化などで戦うタイプです。元来は温厚な性格ですがいざ戦いとなると見境がなくなる連中です」
「そりゃきついなぁ」
「マスターを守るべき存在がマスターを巻き込んで戦うのでは意味がありません」
「おお、いいのがいるじゃないか。プチベヒン! 成長すれば龍をも喰らう魔獣になるぞ」
「おっかないですよ」
「縄張り意識の強い魔獣だ。防衛にはもってこいだろう」
「確かに、良い案ですね。流石はヒュッツァーベル様」
『じゃあこいつだな。マスター、いいか?』
「じゃあそれで」
『なんだそりゃ』
だってオレの意見通らなそうなんだもん。
『出すぞー』
司令室の地面が光り、そこに1匹の小さな獣が姿を現した。
「おおー! 可愛いな!」
ずんぐりむっくりな体型、四肢が短く口の大きいデフォルメされた顔の紫色の体毛の獣。
つぶらな瞳がチャーミングだ。
『コロに次ぐ新たなマスコットだな』
特徴的な赤い鬣が目を引く。
オレは頭を撫でる。
「くあぁー」
「か、かわいい……」
撫でるオレの手の匂いを嗅ごうと一生懸命首を回す、その反動で体もくるくる動く。
オレは撫でてない手を鼻先に持っていく。
「くあう、くあう」
オレの匂いを嗅いで落ち着いたようで、大きな瞳をパチパチとする。
「コロは匂いを嗅いだりとかしなかったからなー。よろしくな、オレは歩だ」
「マスター! ずるいぞ!」
コアがボディで登場、オレからプチベヒンを奪い去ると抱き上げる。
「んー、コロも可愛いけどこっちも可愛いなぁ」
「だなぁ。こいつが龍をも喰らうってのが信じられん」
「成長すればって話だな。魔獣っていうんだからでかくなるの?」
「成長というか進化でございますが、50mくらいにはなりますね」
でかっ!
「名付けしたら進化するよな?」
「恐らくは」
「こんなにかわいいのに……」
「このままでは人化も出来ませんよ」
コアに抱かれたプチベヒンを撫でる。
「とりあえず外でやるか」
心を鬼にして名づけをせねば。
なんて名前にしよう。
ここで切ったけど、読み込んでる人は名前分かるかも?




