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開かずの塔のダンジョンマスター  作者: てぃる
神々の試練の間
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173

わざとじゃないはず。

「ほっほっほっほっ、ようこそ歩殿」


「いらっしゃいませ」


 そこにいたのは年老いた見た目のおじいちゃんと、2mサイズの全身鎧を纏った白銀の巨体。


 二人は闘技場の真ん中で座布団を敷いて将棋をしていた。


 過去に来た異世界人が広めていたらしい。


「あらら、ゲン爺さん不味いねコレ」


「ほっほっほっほっ、ジョージは中々に手強くてのぅ」


「いえ、ゲンリュウ様が教えて下さりながらですから」


 年老いた見た目のおじいちゃん。この人は本当にお年寄り、髭やら眼鏡やらで分かり難いが龍人と呼ばれる種族の古老だ。ぶっちゃけ山奥の仙人とか滝の前で来るべき時を待っている天秤座。


 ナラヴィー様の元腹心で、僅かだが神力も持ち合わせているらしい。


 ニーロイップ様の元、修行していた経歴もありナラヴィー様の腹心の中でも目利きに関しては右に出る者はいないとされていた方だ。もっとも後継 (オークションの亀) を指名して隠居していたらしい。


 ジョージは鎧姿が気に入ったらしい。新しい鎧は前回と違い銀色の甲冑姿。


 『ホワイトスプリガン』だもんね、黒着せてごめん。でもフンドシ一枚より全然いいよ。


「あ、あの! マスター、お師様、シヴィー様。おおおお茶でご、ごごございますが…こちらでよろしいのでひゅか?」


 オレ達の姿を見たゲン爺さんの弟子、龍人の男の子のリックが緊張しながら座布団とお茶を用意してくれる。


 笑いながらオレとシヴィーも座って緑茶を貰う。


 お茶請けはお煎餅だ。


「いいい淹れたのはセルキーですので、おお美味しいと思います!」


 リックはナラヴィー様からではなく、こちらで喚んだ魔物だ。


 ゲン爺さんがどうせやるなら後継も育てたいと言ったので用意。


 ゲン爺さんの要望で、名付けはしたが魔力は与えていない。仕事ぶりをみて後の褒美に残しておくことにするとのこと。


 つぶらな瞳と短い尻尾が可愛い。セルキー達に人気だ。


「ご確認されにいらしたと言うことは、そろそろ人間を呼び込むのですか?」


「そうだ。ジョージ、お前も頼むな」


「お任せください」


 人間や魔物達が、神々の世界である【神界】へと至る為に挑戦するダンジョンがこの世界のいずこかにあるらしい。


 まあぶっちゃけナラヴィー様のダンジョンだ。何処にあるかは不明。


 そこにはここと同じように神々の像が祀られている部屋があり、その部屋の名前が【神々の試練の間】だ。


 神々の武具が欲しい場合は神々の指定した魔物と戦い、神々へ奉納を行えば褒美を賜る事が出来る。そんな特別な部屋。


 神々のダンジョンへと挑戦したさまざまな伝説の中で幾度も登場した部屋である。


「お酒を与える為の苦肉の策なだけなんだけど」


 ぶっちゃけドワーフ種達からの要望を無理なく叶える為に作った部屋だ。だから渡す武具も伝説上に登場するような神剣は無く、魔剣の類も程度の低い物しかない。


 街の人間達に、わざわざ強力な武具を渡す必要は無いのだ。


 伝説にあるような神々の試練の間の劣化版である。


 ついでにドワーフ種達の一部に酒を造らせる事にした。毎回街の人の為にお酒をDPで出すのは面倒だし勿体ない。


 まあ酒を造れと言った時のドワーフ達ときたら…… エルダードライアドのばーちゃんズに相手して貰ったから治まったけど。すごかった。


「ほっほっほっほっ、わざわざ下僕の言う事にも真摯に対応なされるとは。いやはや歩殿は変わったマスターですなぁ」


「アユム様は世界一のマスターですから」


「マスターのご慈悲に我々魔物一同、感謝の念が絶えません」


「あの、ボクも優しいマスターが。その、す、好きですよ?」


 魔物達の忠誠心が重い。


「あとは手筈通りに。街のドミニク達とも調整しているから任せるぞ」


「畏まりました」


「お任せくださいですじゃ」


「頑張ります!」


 その時、闘技場の上から星丸が飛んできた。


「ぎゃうぎゃう! ぎゃうー!」


「ああ、そういえば忘れてましたね」


「オレも忘れてた…」


 ここに転移する時にシヴィーが星丸を置いて行ってたらしい。


 気づかなかった。怒ってるよ。

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[一言] 置いてけぼりなんてヒドイわ。
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