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身? 実?
シミュレーターで作成した地下第1層を作成。
もっともまだ外には繋げない。
「さあ星丸。低空飛行で頼むぞ」
「ぎゃうー!」
嬉しそうに声を出す星丸に跨り、作成したダンジョンを上空から確認。
追従する形でシヴィーも蝙蝠羽を背に生やして空を飛ぶ。背中、破けてるよ?
空間拡張と昼夜の変化や気象の変化も付けたので〆てざっくり1200万DPの支出。コアが大喜びだ。
レベルも上がり87に。何かが変わる実感はないけどね!
「ここが出入り口の予定地ですね」
ドラ〇エ的な平原のど真ん中の洞窟。あれ地下に向かってなかったらどうなってるんだろうね。
入り口は大き目の馬車が2台通れるくらいの大きさ。荷馬車が通ることを想定している。
ここからひたすらに真っすぐの平坦な道を作成してあり、そのまま下って中に入る事が可能。
道の左右には平原が広がり、そこから奥に森林地帯、更に足を踏み入れると岩場地帯と続く。
道は安全地帯だ。途中でキャンプ出来るように広間も作ってあり湧き水も出る。
「スタート地点を平原にしたのはなぜでしょうか?」
「警戒して中に入ってくるだろうからさ、森があるよーって見えるようにしてやってるんだ」
洞窟の入り口の左右には狛犬的なコロの像。意味は無い。雌雄も無い。
「平原にも魔物がいるのですね」
ネズミと虫だけじゃ味気なかったんだ。
もちろんノンアクティブ。食えないけど倒しやすいプチウィローは切り株の魔物。それとケレンセリッシュ様産の走り小麦。走り小麦は繁殖力が高いらしく、結構数が多い。
魔物じゃないけど野ウサギや野鳥も配置。
「走り小麦を追いかけて、気づかずに蹴ったり踏んだりしたプチウィローから反撃に合うんだぜ」
反撃も弱いけど。
そこから少し先に進むと、やはり大きな道を挟んで左右に森。
「あれは、フルーノですね」
シヴィーの見つけた魔物。果物の魔物だ。
ぶっちゃけ動くデフォルメされた人面リンゴや人面みかんなどだ。果肉自体はそこそこ美味しいらしい。
本来は親木であるマザーフルーノが必要なのだが、マザーフルーノはしっかり強いらしいのでフルーノだけ配置。
ここの階層内では手前、中腹、奥地のすべてでリポップ出来るようになっている。オヤツにどうぞ。
ちなみにマザーフルーノから株分けされ生まれるフルーノの方が美味しいらしい。
リポップで出す場合は味が一段劣るとの事。どうでもいい。
「手前側の森の木々、ちょっと密集しすぎだなぁ」
飛びウサギは問題ないがジルガゼルが窮屈そうだ。
コアにそれを伝え、木々の間隔を広げる。
この辺りまで野うさぎも配置。
「細い木々が中心なんですね。あれは薪に適しているのですか?」
「そそ、乾燥もさせやすい。何より人間の生活圏で手に入りやすい奴だって」
1種類ではないが。
「多少いっぱい取られてもニョキニョキ生えるのも特徴だと」
便利だ。
「ブルブル、可愛いですね。震えて怖がっている様が素晴らしい。ケヒヒ、コホン。失礼」
ここの魔物は制御していないため、条件を満たすと星丸やシヴィーにも攻撃を仕掛けてくるので気を付けないといけない。
オレには攻撃をしてこないけど。
第2階層のウィスプや蝶と同じ様なリポップタイプだ。
「ここから森が少し深くなる。木漏れ日はある程度入ってるよな?」
森林区域には野うさぎに代わり鹿やイノシシ、狼。それと少々大き目の鳥も放つ。
まあわざわざ設定しなくても出てくるらしいが、小物は減らしておく。
木々が生い茂っているから、上から見てもわかりにくい。
「確認してまいりますね」
森の中にシヴィーが降り立つと、速足で歩きまわっていく。
オレも森の上をウロウロする。
「あいつは遠目でもよくわかるなぁ」
森が深くなって半分くらいに差し掛かった辺り。
真っ赤な葉っぱを頭に乗せたヒートトレントだ。目立つ。
トレントの癖に火属性。しかも植物だから水にも強いイケてる魔物だ。
足が遅いが、手というか枝が活発に動いて範囲内の敵を攻撃。
更に頭の葉っぱを飛ばして攻撃する遠距離攻撃持ちだ。
木炭にせずとも燃やすと高熱を発するため鍛冶師に人気の薪になるだろう。
サイズが大きいから倒すのは大変だろうけど。
行動基準は攻撃されたら反撃、枝の届く範囲に人間が来たら攻撃。
シンプルである。
「ぎゃうん、ぎゃうぎゃう」
星丸から合図、視線を変える。
そこには何体か茶色の影が見える、配置しておいた茶色い毛並みのブルオークだ。
彼らは人間から見ると中々脅威らしい。普通のオークにしようとも思ったけど、シミュレーターで見るとピンク色の肌が森に合わない様に思えたので猪タイプのブルオークにしてみた。
行動基準は木々が切り倒される音に反応して集まる。視認出来る範囲に人間がいると攻撃に出る。当然攻撃されると反撃を行う。
武器は木製のこん棒が主だ。ただ、冒険者などが落とした武器を回収して使うこともあるらしい。
フルーノを捕まえて丸かじりしている。
「あとは……いたいた」
キリングオオカブト。角が鋭い剣状になっている肉食のカブトムシ。
空を飛び回り、敵を突き刺し切り払う森の剣士だ。
体を守る装甲も堅く、発見されれば苦戦必至。魔法に弱いが、火の魔法を森の中で使うと大惨事になるので火以外の魔法を勧めよう。
こいつは積極的に人間を襲う様に設計。
「ドッポライノスはどこだろ」
森を作るにあたり、火事が怖かったのでわざわざ配置した大型のサイみたいな魔物。
森の火消し屋で強力な熱を感知したらそこに集まるようにした。この階層では3番目に強い魔物だ。
こいつが森の中を歩き回れるように、木々の間隔を広くして1本1本もでかい木にしてある。
仕事は火を消す、攻撃されたら反撃する。ただし、逃げ出した敵を追いかける様な粘着性は無い。分厚く堅い皮膚を持つ装甲車のような存在が俊敏に走り回り、水の魔法も覚えている。人間が普通に戦っても勝てないらしい。
普段は森の中に生えている薬草やフルーノを食べている大人しいヤツだ。
「確認終わりました。思っていたよりも森の中は明るいですね」
「ドッポライノスいた?」
「ええ、1匹だけ見ましたよ」
あいつは余り数を配置していないからしょうがない。
他にもさまざまな魔物がいて、森が深くなるほど数も種類も増える。
山菜やらも取れるようにして、多くは無いが小動物もいる。ハチの巣なんかも探せばある。
異世界から来たオレから見ても価値があるようなレアモンスターも中にいるし、用心して動けば稼げる森にしてあるのだ。
どっちでもいい気がする。




