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開かずの塔のダンジョンマスター  作者: てぃる
グレたコアとダンジョン強化
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ようやくコア以外との会話が…。

「この生活はダメだ。なんとかせんと」


「えー? 何がダメなんだよ」


 何がダメって全部だ。


 オレの部屋には店屋物の持ち帰りの食べ物の器で溢れかえっている。


 水を使い、スポンジの様な植物で流しはしたが、器が山盛り残っている。


 それもこれも完成品の食べ物ばかりDPで獲得しているのが原因だ。


「ビニール袋で包まれた状態で出せないのがこんなに面倒だったとは」


 【ビニール】がダメらしい。


 結果、食べ物を召喚する際にお皿ごと出来立てを出していたからだ。


「いっそ塔の窓から捨てるか? いや、人間の街にモノ落としたら何言われるかわからんし」


 塔の入り口付近では今も入れ替わり立ち代わり人間が扉を開けようと奮闘している。


 食器棚を出しはしたが、呼び出す食べ物でお皿の規格が違う。綺麗に仕舞えない。


「なーなーマスター、コーラ飲もう」


 あと瓶が嵩張る。


「一日500DP自由に使っていいって言ったよな、もう使い切ったのか?」


「ギクッ」


 初日3000DP上げて、そのあと1日1000DPあげてたのだが秒で使い切ったこの女のお小遣いは1日500DPまで落とした。


 木製のルービックキューブとかぬいぐるみとかDPで取り出しまくってるのだ。


「DPあんだろー? コーラくらいいいじゃんかー」


 確かにDPはある、初日に250万DP入手しそれから約200万DPが毎日入ってきている。端数の説明は面倒だが、いまはざっくり1500万DPも持っているのだ。超リッチ。


「とりあえずDP溜まったんだ。指令室いくぞ」


「ワープしよーぜー」


 どんどんモノグサになっていくコア。


 こいつに付き合って暴飲暴食して、かつ運動不足になったら死んでしまう。


「歩け! 大した距離じゃねえんだから」


 そう言ってオレは一人でコアルームに移動。


『わざわざ移動しなくてもあたしはこれで何してるかみれるんだった』


 こいつはっ!


 まあいい。


「ショップを開くぞ。お世話係を購入する」


 お世話係と言っているが、ダンジョンショップで購入出来る教育済みの魔物だ。


 ダメな生活になりつつあるオレ達に活を入れてくれる存在のはずだ。


『一番高い奴にしようぜ! 最近ドカンとDP使ってねーんだからな!』


 オレはモニターに出ているお世話係の表示を見る。


「巨乳メイド…」


『欲望丸出しだな、そんな魔物いねえぞ』


 魔物の種族とDPしか書いてない。性別とか見た目のタイプも書いておいて欲しい。


「天使が5種に…魔族、魔族、ダークエルフ、シルフ、ウンディーネ…アラクネ、獣魔に…多いな。人型がいいな」


 人型で使用DPが多いのは天使と上位魔族とダークエルフ。


 何故にお色気担当のサキュバスとかがいないっ!?


「女の子はどれだろうか…」


 せめて女性を…。えいっ!


 オレはダークエルフを選択。お買い得の80万DPだ。


 指令室に扉が出来るとそこが開く。


「お初にお目にかかります、我が主よ」


 そこに現れたのは中性的な顔立ちの背の高いダークエルフ。


 執事姿で立っていた。


「お、おう」


『よろしく』


「よろしくお願いいたします、我が主様。コア様。今後は主達のサポートを行わせて頂きます」


 顔立ちは中性的だが、声は随分と渋い感じだ。男性だな。


 綺麗なお辞儀をして、こちらを真っすぐ見据える。


「主様、お名前をお伺いしてもよろしいでしょうか? 」


「歩だよ」


 やばい、コア以外との会話が久しぶりだからなんか緊張する。


「歩様、こちらは指令室。それも最上級の物でございますね? どうやら素晴らしい主に仕えることが出来て幸せです」


『すげえだろ!』


「コア、ちゃんと顔を出して挨拶をしなさい」


『へいへい』


 コアが指令室に入って来る。


「おお、すでにコア様がボディをお持ちに…申し訳御座いません。歩様、先任の方々にもご挨拶をしたいのですが」


「いないぞ」


「いねーな」


「コア様がボディをお持ちということは相当なダンジョンでは? 」


「おう、このダンジョンは出来て150年近く経ってるぜ」


「なんと! 老舗中の老舗ではないですか!」


 や、長時間寝ていただけです。実稼働日は10日くらいです。


「ダンジョンのお名前を教えて頂いてもよろしいでしょうか!」


「名前?」


「名前なんか付いてたっけ?」


「名前が無い…?」


「えーっと、場所はアリナ平原って言うんだっけ?」


「…申し訳ございません、私の知っている場所では無いようです」


「上から見てみるか」


 オレはダークエルフを連れだって屋上階へ移動していった。






「っ!? 銀龍の開かずの塔! 」


「そんな名前なのここ?」


 ダークエルフ執事が驚きの声を上げる。


「神々も把握していない謎の塔、塔の周りに銀龍の鱗が大量に出土し、人間が鱗目当てで集まり村が出来、その後交易都市として発展していったと聞いております」


「…神々が把握してないのかここ」


「私の教育を担当しておりました、闇の神ナラヴィー様の眷属神、魔法神エメラ様がおっしゃっておりました」


「ナラヴィー様に連れて来て貰ったんだが」


「闇の神ナラヴィー様が直々に?」


「オレの時はそうだったよ」


「では何故、神々が把握していないのでしょうか」


「忘れてるんじゃねーの?」


 昔の話だもんね。


「…まあナラヴィー様ならば考えられますね」


 ダークエルフは納得した。


 マジかー。


「それで、私はダンジョンの経営のお手伝いをさせて頂ければよろしいのでしょうか」


「それも助かるけど、とりあえずオレ達の生活環境の改善を」


「承りました。それではお屋敷を確認させて頂きます」


「屋敷?」


「屋敷…」


「これほどの街を作成なされたのです。執務なども多いでしょう」


 なんとなくコアの方に目を向けてしまう。


 コアはオレの視線を受けると目を逸らす。


「執務?」


「執務…」


 今度はコアからの視線をオレが逃げる。


「ダンジョンマスターとダンジョンコアのたったお二人でこれだけの規模の街をお造りになられるとは…人間との共存を目指すダンジョンマスターの多くは欲にまみれた人間に裏切られ殺されるのがほとんどだというのに! 側近も置かずにこれだけの人間の街をお造りになられるとは! 素晴らしい! これほどの主に巡り合える幸運っ! 神よ! 感謝致しますっ!」


 仰々しいダークエルフ君。


「なんともやりがいのある仕事を頂けて嬉しく思います! 歩様! コア様! 我が身命を賭してお力になる所存に御座いますっ!」


「あ。うん。頼んだ」


「よ、よろしくな。あはははは」


 その後、オレの部屋を見たダークエルフの表情はとてつもなく怖かった。

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