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すていほーむで小説を読みんさい。
『最初の魔物は【オークジェネラル】に御座います。とあるダンジョンマスターの元で調教を受け、進化した固体です』
いや、司会の亀さん襲われてますけど?
『御覧の通り、元気いっぱいですなぁ。こちらに向かって金属製の棍棒をブンブンと振る様、なんと力強いこと。この魔物は進化をしたのですが、何らかの要因で自我を失ったようで。この通り見境なく攻撃を仕掛ける狂暴な魔物です。いやあなんともこの将軍は暴れん坊ですなぁ』
危ない発言すんな。
『使い方としてはやはり、ボス部屋など侵入者以外を入れない部屋などで待機させて侵入者の迎撃に使うのがお勧めですね。他にもダンジョンの外に放って人の街や村に被害を与えるのもいいかもしれません。この個体、通常のオークジェネラルと比較して攻撃力や耐久力は一回りも二回りも上に御座います。この身で受けているので間違い御座いません』
ガシガシ、ゲシゲシとマイクに打撃音が拾われているけど、なんとまあ激しい攻撃で。
金属製の棍棒が振り下ろされるとき『しなって』見える程だ。
「確かに、街に放ったら面白そうですね。やりませんか?」
「やりません」
ミリアは街の人間に何か恨みでもあるのか?
『まだ名も付けられていない状態でこの攻撃力! 名付けを行いうまい具合に成長させれば【オークロード】や【グラトニーオーク】も狙える未来ある魔物に御座います。このオークジェネラル、500DPから開始とさせて頂きます! さあ! 入札スタートです!』
通常のオークを召喚するのに必要なDPが確か150DP程度だったはず。そう考えると確かに最低落札DPは安い。
『はい、600! 800! 1200! まだまだ上がりそうですね! おお、2000です! 2000DP出ました! 2500! 2700! もう一声!』
瞬く間に値がつり上がるオークジェネラル。その間も我関せずとコーラーに攻撃を続ける。
『御覧になられている方々、お気づきになられましたか? そう! このオークジェネラル、我を失っているのにも関わらず魔法で肉体の強化を行っております! 先ほどよりも攻撃力が随分あがっておりますよ! ほらまた! いい一撃です!』
嬉しそうに煽る亀さん。
『3200! 3500! 4000! さあ4000が出ました! オーク種でこの数字! 最初の出品物としては中々の物ではないですか!? どうですか皆さん!』
数値が4000を超えたところで数字の上昇が鈍くなる。
『4200! 4200です! 4500はないか!? 4500出た! 5000はどうか!? 5000! 5000出た! さあどうか!? どうか!? どうか!!』
亀の声しか聞こえないのに、会場全体が熱気に包まれていく気がする。
「5000! オークジェネラル! 5000DPで落札に御座いますっ! おめでとう御座います!」
亀が声を張り上げると共に、暴れていたオークジェネラルが糸の切れたように崩れ落ちる。
舞台袖から大型のゴーレムが現れて、その崩れ落ちた巨体を担ぎ上げる。
ゴーレムは亀に合わせて一礼すると、再び舞台袖へと帰っていった。
「進化個体とはいえ、オークで5000DPか。誰が落札したかわかんないな」
「ええ、強力な個体はダンジョンの切り札ですから。落札者の方がご自身で吹聴しない限りは私共でも分からない様になっております。世話役の私共も他言できぬように魔法で縛られておりますし」
プライバシーって大事だよね!
『さて、次の個体は一風変わったスケルトンになります! こちらのスケルトンはなんと! 彼の名高い冒険者【一刀のセビエル】の骨を使ったスケルトンに御座います! 一刀のセビエルといえば、ダンジョン界隈で話題になった………………』
今度は刀を持った骨の魔物だ。
興味が沸かない魔物だから、とりあえずスルー。
 




