表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
開かずの塔のダンジョンマスター  作者: てぃる
決闘とオークション
151/235

151

どんな関係であっても最低限のほうれんそうは大事だと思うヨ。

 他のマスターとの会話もそこそこに、会場の控室へと逃げ込んだオレ達。


 結構注目されてたらしい。


「決闘騒ぎがありましたからな、注目されて当然でしょう」


 うるさいやい。


 ジト目でリグレブを見ても、笑顔しか返ってこない。


「さて、今後の事を話したいんだけど」


 オレは控室にいたメイドさんに視線を送る。


「畏まりました」


 リグレブが頷くと共に、メイドさんは深くお辞儀をして退出する。


 良く出来たメイドさんだ。


「で、さっきのは何さ? いつの間に話が付いてたわけ?」


「お嫌いでしたか?」


「嫌いじゃないけど。オレ、大分恨み買わないかな?」


「あの程度の輩相手ならば問題ございません」


 断言するシヴィー。


「あのな、シヴィー」


「はい」


「何をするにも報告を先にしてくれ。念話で執事長と内々的に決定してたとしても、オレに報告が必要だろ。オレのダンジョン内部での事だったらある程度の裁量は確かに与えてるけど、今回に関しては他所のダンマスも巻き込むんだ。しかもナラヴィー様まで動かすような状況になったんだぞ?」


 オレの視線にシヴィーが体を震わせる。


「勝手な行動を取り、申し訳ございませんでした」


「誠に申し訳ございません」


 シヴィーとリグレブの二人が片膝をついて深く頭を下げる。


 シヴィーに怒ったつもりだが、リグレブも頭を下げて来た。


「この先、神々から命令が下ればダンマス同士の戦いが開始されるわけか」


「同盟関係の破棄から始まるので、本格的な戦争は早くとも1か月は先かと思われます」


 1か月……短いな。


「それまでに戦力の増強が急務だな」


「必要でしょうか?」


「必要だよ。神々からの指示の内容や、連中の行動如何によってはオレのところからも戦力を出さなければならなくなるかもしれないし、オレのところに派兵される可能性も考慮しないといけない」


「現状の戦力でも十分対応可能かと思われますが……」


「オレはこの世界の戦いを知らないし、ダンジョン同士の戦争も未経験だ。その辺りの知識を手に入れなければ戦力が十分だなんて口が裂けても言えない」


「それは……」


「シヴィーが強いのはなんとなくわかるよ? そこは疑っていない。銀ちゃんもいるしチム達もいる。でも全部防衛の為の戦力だとオレは思ってる」


 ウチの魔物は、どの子もダンジョンを守る為に召喚したかダンジョン内の生活環境を整える為だけに呼んだ魔物だ。


 しかも塔の内部を守る戦力が大半で、塔の外で活動している魔物は井戸周りの水生の銀ちゃん達、監視役のジェリー達、情報収集を行う下級魔族達しかいない。


「確かにそうかも知れませんが」


「それに連中の後ろには大物が控えているとしたら? その大物がお前やお前以上の魔物を隠し持っていないとも限らない」


「それは余り考えられませんが……」


「可能性の問題。もっと他のダンマスの調査が必要だ、もしかしたらあの魔族のダンマスも誰かの捨て石かも知れないんだぞ?」


「それは……確かにそうですが」


「斎川様は随分と思慮深い方なのですね」


 リグレブが感嘆の声を上げたけど、とりあえず滅ぼせばいいっていう魔物達の考え方がおかしいんだと思うんだ。


「執事長、あんたは今回の件。オレの味方と考えていいんだよな?」


「当然に御座います。ナラヴィー様の従者として、お誓いいたします」


 ナラヴィー様のお名前を出すって事は信頼していいのかな?


「うちの預かりのプチバッフォに名を授ける。そのうえでプチバッフォに出来るだけ秘密裏に他所のダンマスの情報を仕込んで貰いたい。頼めるか?」


「それは……」


「別にそれぞれのダンマスの弱点を探れって言ってるんじゃない。今回の件で関わってる不死者のダンマスの同盟者、その横の繋がりを調べてくれるだけでいい。誰が敵で誰が味方か、その判断材料が欲しい。出来るだろう?」


 謁見前に他のバッフォシリーズ達に一声で命令し、情報を得てダンマスを特定できたんだ。表立って同盟を表明している連中の繋がりは分かるはずだ。


 トド男やシエンタ様からも情報を仕入れる必要があるかもしれない。


「可能か不可能かで言えば、可能では御座いますが」


「神々の威光を借りて報復をしようってんだ。もうあんたは当事者だよ」


「…………畏まりました。お役目、確かに承りました」


 よし、情報屋げっと!


「あの、アユム様」


「何?」


「此度の私の失敗…………挽回する機会を、私は頂けるのでしょうか」


 片膝のまま、シヴィーが肩を震わせながら言う。


 ちょうどいい位置に頭があるので、たまにはオレから撫でてみる。


「あ、あの」


「もともと怒ってはいないよ? シヴィーの事は信頼してる、これからも頼む」


「はいっ!」


 顔を上げて目を輝かせるシヴィー。


 うん、いい顔になった。


「それでは斎川様、謁見も終了いたしましたが……。夜会にはまだ他のマスター方も残っていらっしゃいますからそちらとお話されますか?」


「やー、疲れたから帰るよ」


「左様で御座いますか。こちらでお泊りになられる事も可能で御座いますよ?」


「いやいや。帰るよ、くつろげないし」


 サタンコックのご飯が食べたい。


 こういう日は味噌汁付きの和食が食べたい気分になる。

下から上へのほうれんそうが無いと怒られるのに、上から下へのほうれんそうが無くて文句を言うと

軽く流されるのにはイラつく。


イラつく。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
面白い! 続きが気になる! もっと書け! と思った方はブクマ&評価よろしく!
― 新着の感想 ―
>上から下のほうれんそう わかる。超わかる。あんたは俺かってくらい。
[一言] ポ○イ「ほうれん草は大事だ」
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ