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開かずの塔のダンジョンマスター  作者: てぃる
決闘とオークション
150/235

150

150話目だね! 

「さて、我々からの挨拶はこんなところか」


 大分脱線したけど、今までは挨拶だったの?


「本来であれば、ここで謁見は終了といった事だが。お前が捕まえている従者のことを聞いておこうか。うちのミニバッフォに手を出したんだっけか」


「はい、詳細は執事長のリグレブと我が従者のシヴィーがつめております。彼らに説明をさせてもよろしいでしょうか」


「許可する」


「有難うございます」


「では、私からご説明を」


 リグレブがどこからともなく紙を取り出し、それを読み上げる。


 話に興味がない神様方が挨拶もそこそこに、ぞろぞろと帰っていった。


 自由だな。


 一部引きずられている神様がシュール。


「まず、被害状況からご説明させて頂きます。被害にあったのは入り口に詰めていたミニバッフォの執事見習い達3名です。3名とも昏倒させられておりました。魔力の残滓を感じたことから、魔法による攻撃を受けたものと推測されます」


 危ない魔法もあったものだ。


「その後に、一人が吸血行為を受けました。これは、吸血行為をすることにより相手に擬態する事が出来る能力を件の従者が持っていたために行われた事が発覚しております」


「吸血による擬態か。ヴァンパイア種かウルバット種、それとフェイクシフル種の特徴だな」


「ご推測の通り、デミヴァンパイアが犯人でございました」


 ナラヴィー様の言葉にリグレブが頷く。


「不死系の魔物か」


「犯人は、ダンジョンマスター『エリアント』様の従者でした」


「そこまで分かっているのなら、もう処罰を決めてしまおうか」


「このエリアント様の従者は、別のダンジョンマスターの従者の指示によって動いていた模様です」


「何? 従者が別の従者の指示で動いているという事か?」


「本人より、そう証言が取れております」


「そやつは今どこにいる?」


「斎川様の従者である、シヴィー殿が確保しております。シヴィー殿、今出せますかな?」


「はい」


「よし。出せ」


 ナラヴィー様の指示に従い、シヴィーが黒い靄を生み出して捕えていたビックスを出した。


「どれ」


 ナラヴィー様が指を弾くと、ビックスの周りに黒い魔法陣が生み出された。


 操り人形のようにビックスは起き上がり、目が開く。


 焦点が合っていないように見えるが……。


 起き上がった状態のまま、ビクビクと体を痙攣させる。


「要領を得ないな。こやつは自分のマスターの指示にしたがって、別の従者の指揮下に入っていただけのようだ。このギブロについては?」


「ダンジョンマスターのブロギヌス様の従者でございますね」


「既に調べていたか。流石だなリグレブ」


「斎川様のご助力あっての事に御座います」


「そうか。見事な采配だ、斎川」


「はっ! 従者に恵まれました」


 シヴィーを立てておく。


「して、どうするつもりであるか?」


「それについては、シヴィー殿の意見を採用しようかと」


「斎川、従者の発言を許可する」


「はい。シヴィー」


 シヴィーが顔を上げる。


「はい。今回の件に関わっている二つのダンジョン。これを攻めるべきであると考えております」


「え?」


「当然だな」


「それが確実でありますな」


 そんな感じ?


「彼らはそれぞれで同盟を組んでいるとの情報、ミニバッフォ達を経由して執事長よりお伺い致しました。ナラヴィー様の魔物に手を出した愚か者との同盟を破棄し、身の潔白を自身の手で証明させるのが最も効率的ではないかと」


「ほう? 彼ら同士で食い合わせると……面白い手だ。だが思う通りに動くかな?」


「神々に敵対した者は、すなわち我らの敵に御座います。それで動かぬのであれば彼らも神敵。彼らと同盟関係のマスターのダンジョンの位置を我らは把握しております。何人か叩けば彼らも動かざるを得ないでしょう」


 シヴィーの口角が僅かに上がる。


「くっ、ふははははははは! 中々の策士ではないか! ファロンが喜びそうだな!」


 軍神ファロン様の事だね。


 しかし、オレの意見も聞かずにサクサク決まるのはいい事か悪い事か。


「よし! バッフォを通じて各員に通達をしておこう。拒否したら『お前のダンジョンの場所を把握している者が大々的に動く』って感じでいいな?」


「有難うございます」


 シヴィーが頭を深く下げる。


「ダンマス同士で潰し合わせる案が特に良い。お前達は競い合ってこそだ! ここのところ大人しいマスターが多くて退屈してたんだ。楽しくなってきたな!」


「左様に御座いますな」


 ナラヴィー様に同調するリグレブ。


 リグレブも結構武闘派?


「斎川、その従者はお前のところで処理しておけ」


「畏まりました」


 処理、か。嫌だなぁ。


「明日はオークションだ、楽しみにしておいてくれ。オークションに俺は顔を出さないが、機会があったらまた会おう」


「本日はお時間を頂き、有難う御座いました」


「気にするな、神様ってのは驚くほど時間を余らせてるからな」


 今度こそ謁見は終了だ。


 リグレブに再び案内されて、オレ達は謁見の間から退出した。


 はぁ、緊張した。ケレンセリッシュ様に感謝だ。

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