148
神様のミニコント
「------------」
灰色の雲に目玉が一つのお化けみたいな神様から視線を…………。
ああ、瘴気の神ブロッドビッシュ様か! 魔物達に一番崇められてるお方だ。
「!!」
なんか目玉が上下してるけど……。ナラヴィー様助けて!
あ、なんかそっぽ向いてる!
「アユム様、代弁をさせて頂いてもよろしいでしょうか?」
「ん……あ、えーっと 「「「 許す! 」」」 シヴィー、頼んだ」
答えに窮してると何人かの神々から声があがる。ああ、みんな分かんないんだ……。
「ご許可、有難うございます『君のところは、一度に魔物をたくさん産むけど、一度生むとなかなか次の魔物を呼ばないのがいただけない。もっと魔物を生み出しなさい、もっと魔物を配置しなさい』と、お言葉を頂いております」
「お言葉有難く頂戴致します。シヴィーも有難う」
「!!」
「あ、いえ……私は、その。光栄な事だとは重々承知しておりますが、アユム様に仕える身でありますから」
「!! !!」
「この身が裂けても、アユム様にお供いたしますので」
「…………………………………」
「いえ、比喩でございますので。おっしゃるとおり、裂けても戻りますが」
「!!」
「は? アユム様に……でございますか……? いえ、我が主はまだ幼い身でございますれば……」
「??」
「人の風習ではそうかも知れませんが……」
「!!」
「そうはおっしゃいますが……」
「!!」
雲だか靄だか分からないボディを赤くして、頭からなんか湯気を出して離れていくブロッドビッシュ様。
怒ってる?
どんな会話をしていたの?
「シヴィー?」
「い、いえ。大した事では」
「興味がある、教えろ」
ナラヴィー様が代表して言い、神々が同時に頷いた。
「その、求婚されておりました……私と、私がお断りしたところアユム様に」
「「「 ぶっ! 」」」
一部の神々が噴き出した。
「相手がなんでもよいのかお主は!」
「結局貴様はオスなのかメスなのか!?」
「!!」
「従者! 通訳っ!」
「は、はい! ええと『共に夜を過ごせる相手であれば種族や性別など些細な問題である』と『今日まで幾人ものダンジョンマスターに声をかけたが、どのマスターからも色よい返事がこずに残念である』と……」
「阿呆がっ! 貴様まさか、今日あったダンジョンマスターのすべてに求婚していたのか!?」
「------」
「『流石に不死者に声をかけるほど節操無しではない』と、仰っておりますが……もしやそれ以外は?」
「////」
赤くなって照れた!
「……渡さぬ…………」
「へ?」
「ダーリンは渡さぬぞ! いかにブロッドビッシュといえども!」
「貴様も阿呆なのかヒュッツァーベル様!?」
「剣を仕舞え! そのドレスのどこに隠していた!?」
「いつの間にダーリン呼びになった!?」
「ブロッド! 貴様も挑発するでない!」
「ほっほっほっほっ、若いのう」
ドレスのスカートの後ろ部分を切り裂いて、少しでも動きやすくなろうとするヒュッツァーベル様。対するブロッドビッシュ様は、雲というか靄という部分から銀色のトゲを何本もにょきにょき出して上下させている。
「!!」
「貴様ぁ! それは馬鹿にしているのがなんとなく伝わるぞ!」
「貴様こそ何をやっておる! そのドレスを作るのにどれだけの技が詰まっておるとおもっておる!」
「やめんかぁ! ニーロイップ! 貴様も参加するな! 収拾が付かなくなる!」
えーっと、オレはどうすればいいんですか?




