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開かずの塔のダンジョンマスター  作者: てぃる
決闘とオークション
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シエンタもそこそこ可愛い

「マスター斎川。此度の戦いはお前の勝利だ」


「新参者には考えられぬ強力な配下、見事と言わざるを得ない」


「敗北したとはいえ、共に戦った者たちも見事であった。マスター達よ、彼らを誇るがよい」


 武神オオグラム様と戦女神ヒュッツァーベル様、天秤の神ラグラック様の順のセリフ。


「有難うございます」


 頭を下げるオレと他のマスター達。


 悔しげな表情を見せるものの、神々の御前のためか静かだ。


「連中の正確な位置はすでにお前のコアにマザーコアより転送されたはずだ。後程確認するといい。それとナラヴィー様から伝言だ『その従者については後程話そう』との事。お前の手腕に期待する」


「承りました」


 戦いも終わり、神々への挨拶も終え、今回の戦いで頑張ってくれた従者達に向き合う。


「チム、チュム、チェム、チャム。ジョージ、ミリア。ご苦労だった」


「「「 はっ! 」」」


「ジョージ、戦いのダメージはどうだ?」


「魔力を多く消費しましたが、それ以外は問題御座いません」


「チム達とミリアは?」


「問題御座いません」


「「「 余裕でありんす 」」」


 オレは頷き、続ける。


「お前たちは先に戻ること。今日はゆっくり休むと良い。コロもな」


「「「 はい 」」」


「わんっ!」


 オレは右手を振り、従者たちを魔法陣で覆う。そしてそのまま連中は浮島の拠点へ転送させられた。


「さて、正座中のお二人さん」


「「 はい…… 」


 頭を下げて項垂れる2人。シエルとシャインだ。


「神々の御前でみっともない理由でみっともない戦いをしたお二人さん、今のお気持ちは?」


「シエンタ様に合わせる顔がありません……」


「マスターに恥を……申し訳ございません」


「違うだろ! シエンタ様に関しては知りませんが、オレは別にいいんです! 二人が戦いの場において喧嘩をしていた事が問題なんです!」


 オレは両手を腰に当てふんと鼻から息を吐く。


「マスター斎川。他の神も楽しんでたから問題はないぞ」


「そういう問題ではないんです、ヒュッツァーベル様。下がっていて下さい」


「あ……すいません」


「神々の前で戦う事の意味が分かってるのか? って事なんだよ。仲間割れだなんて恥ずかしい」


「「 はい 」」


「しかも喧嘩の理由が『どっちのマスターが可愛いか』でしょ? くだらな過ぎるにも程がある」


「「 すいません…… 」」


 立派な(元)成人男性なんです。


「ま、マスター斎川……そろそろ会場に戻すが……いいか? よろしいですか?」


「ヒュッツァーベル様……はぁ。……分かりました。シエル、後でシエンタ様にも謝罪にいくからな」


「はい……」


「シャイン、うちのシエルが迷惑をお掛けした。申し訳ない」


「マスター! この者に謝る必要など!」


「シ~エ~ル~」


 まだ分かってない御様子のシエルの頭を掴む。


「ひゃいっ!」


「そもそも喧嘩になったのはお前がお茶会などをあんなところで開き始めた事だという事は理解できているかな?」


「ひゃい……」


「あそこは戦いの場だったんだよ? 実力的に見て、シヴィーが問題無いと言ったから呼んだのもわかるよね」


 こくこくと首を上下させるシエル。


「いいよ別に、オオグラム様もお止めにならなかったし? シヴィーも問題ないって言ってたから何も言わなかったけどね? オレが止めなかったのが悪かったのかな?」


「い、いえ! そんなことは!」


「マスター斎川!」


「あー、はい! やめます! やーめーまーすー!」


 ヒュッツァーベル様がお待ちだから説教は一旦ストップだ。


 武闘場が元の夜会の会場に早変わり。神様の力はすごい。


 速攻戻ったから説教再開。


「では謁見を再開する。案内に従うがいい」


 ヒュッツァーベル様が締めくくる。その言葉とともにオオグラム様とラグラック様は消えるように姿を消した。


「マスター斎川、謁見で会お……」


「大体二人とも、口喧嘩で済ませればオレはここまで言わなかったんだぞ? そもそもあんな喧嘩で魔法やら薬品やら殺す気満々の手段を扱う事自体がおかしいんだよ。わかる? シエルの氷がシャインに当たったらシャイン無事だった? シャインの薬をシエルがくらったらどうなっていたと思う? 今回の戦いに巻き込んだオレが言うのもあれだけどさ、そもそも怪我なく終われるのが一番だったわけじゃん。なんで二人が戦ってるのさ? しかもあの戦いの中で一番激しい戦いがお前たちっておかしくないか?」


「ま、ますたー斎川……」


「ヒュッツァーベル様、後にしてください」


「はうっ!」


「マ、マスター……いくらなんでも」


「あの、マスター歩。さすがに……」


「だまらっしゃい! 相手が死んでもおかしくない攻撃を仲間に向かって撃つようなマネをお前たちはしたんだぞ? そこを理解しろっつってるんだ」


「「 ごめんなさいっ! 」」


「オレに謝ってどうする!」


 うがー!


「ひいっ!」


 あ、魔力漏れた。


「アユム様、落ち着いて下さい」


 シヴィーが撫でてくる。撫でないで欲しい。


「はあ……、えっと。ヒュッツァーベル様? 何してるんです?」


「こ、腰が……」


 驚かせてしまったらしい。


「ごめんなさい……」


 その手を取り、ゆっくりと立たせてあげる。


「い、いえ……」


「む」


 なんかシヴィーから漏れた。


「あ、あの……」


「驚かせてしまい、申し訳ございませんでした」


「い、いえ! オ、あ、あたしも悪かった、です」


 オレは手を放し、改めてヒュッツァーベル様と対面。


「あ……」


「ん?」


 視線を落とすヒュッツァーベル様。


「あの?」


「い、いえ! なんでもありませんのことよ?」


「はぁ」


「そそそそれではししし、失礼しますですわ!」


 足早に離れていくヒュッツァーベル様。他のお二人みたいに消えないの?


「えっけんっ! たのしみにしてますですわ!」


 そう叫んで神々への謁見の扉を開けて消えていった。


 あっけに取られるオレ達。


「はあ、シエンタ様にお礼と謝罪にいかないとな……」


 端末腕時計を持ち上げて、シエンタ様に連絡を取った。

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― 新着の感想 ―
[一言] えっ、落ちた?
[良い点] うむ。段々神様たちの好感度が上がっていきますね。 前回のコメ返信はゴース様にやってもらったし皆好き。
[一言] 136話を読んだ時、人間同士ならニーロイップ様とフラグが立ってる気がしたヒュッツァーベル様。意外や意外主人公と!? 読んだあと今回の前書き見直しました。シエンタ様、ヒュッツァーベル様に喰われ…
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