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呼ばれると飛び出るよね。
「呼んだかね?」
「むおあう!?」
突如視界に現れたのは細身長身美形センス◎の神様だっ!
驚いて変な声でちゃったよ!
「やあすまん! 芸術に苦悩する者の魔力を感じたのでついな! 先ほど二人分のドレスを縫い上げたばかりだから敏感になっておった!」
「あー、完成したんですね。おめでとうございます」
「うむ、君との謁見の際には同席させるから楽しみにしたまえ!」
神様3柱ゲット! って違う違う。そうじゃない。
「あ、ニーロイップ様。ご紹介させて下さい。私共の衣装を作成致しましたチム・チュム・チェム・その他1名にございます」
「「「 お目にかかれて、光栄にありんす 」」」
ニーロイップ様はその瞳を大きく広げ、無言で飛び上がりチムの大きな足にしがみ付いた。
「に、ニーロイップ様?」
「はあ、幸せだ……」
深く深呼吸をして絞り出した一言がそれかい。
「……ニーロイップ、突然出てきて何をしている」
「ヒュッツァーベルか。またそんな鎧を着て。お前は美しいんだから装いも美しいものを着なさい」
「うつく……貴様! またそんな軟派な事を! それといつまで女の足にしがみ付いてる気だ!」
……? あ、チムの事か。
「ああ、すまないね。それよりもヒュッツァーベル。彼女達の装いを見なさい。美しいだろう? 体のラインを見せつつも、君よりも出ている肌面積が少ない。だが彼女たちの方が華やいで見えるだろう? これが美だ! 芸術だ! わかるか? 君も毎日体を鍛えてないで髪を結い上げ、美しいドレスで着飾らないかね?」
いそいそとチムから離れながら熱い事を語るニーロイップ様。
「これから互いの命と誇りを懸けた戦いをしようとする場で美だの芸術だなどとくだらないことを抜かすな!」
「くだらないだと!? 戦いなど何も生まないではないか! くだらない戦いが原因で一体いくつもの美術品や芸術品が! どれほどの芸術的建造物が失われたと思っているのかね!!」
「戦いは生きるのに必須なんだよ! 最も生物の根本に根付く価値は戦いにこそあるんだ! それを否定するなんて神を名乗るのも烏滸がましい!」
「美しさを理解できない低俗な生き物の信仰など必要ないからね! より純度の高い信仰を得る為に活動する事こそ神の本懐ではないか!?」
「何を!?」
「何だと!?」
「はあ、やめないか2人共。下々の者達が呆れている」
ラグラック様が仲裁に入ってくれる。助かります。
「とりあえず、今は戦いの場だ。退きたまえ、ニーロイップ」
「ふむ……だが私には芸術に苦悩する者を導かねばならない。これは神の活動の一環である。君たちの娯楽鑑賞とはまた別の案件であるぞ」
「ならばとっとと片付けろ。このままではオオグラムが爆発する」
「お? おお。いたのかオオグラム。貴様もたまにはタキシードでも着たらどうだ?」
「いいからとっとと終わらせろ……」
嫌そうな表情をするオオグラム様。仲悪いのかな?
「まあ良い、マスター歩。何を悩んでおったのだ? ネクタイの色かね? それともスーツの生地かね?」
唐突にこちらに顔を向けて話しかけてくるニーロイップ様。周りのマスター達の視線が痛い。
「ええと。チムの新しい仲間に名前を付けるのですが、芸術というものをどうイメージして魔力を練ればいいかと……」
「ふむ、芸術とは何か……その答えは絶えずに変化し、姿を変える。正解などないだろう。芸術家とは生涯それに悩み、苦しみ、喜び、追い求めるものだ。そしてそれらをやめた時、芸術家は芸術家ではなくなるであろう」
チェム達がうんうん頷いている。下半身のチムに至っては涙を流している程だ。
「いえ、私は芸術家というわけでは……」
「本来であればその絶えず変化する答えを追い求め、悩む君の美しさを私は愛でるのであるが……」
ちらりと2柱の武闘派神様に視線を送る。
「魔力に込めるだけであれば、力を貸そう。時間もないのだろう? あれの前に立ち、私に背中を預けなさい」
「はあ」
もちろん神様の指示に逆らえる訳も無く、言われるがままに行動を起こす。
「では魔力を練り上げなさい。特に何かの属性や加護は思い浮かべなくてよい。自分の中の魔力を単純に引き上げればよい」
「はい」
言われた通りに魔力を引き上げる。
「では貴様の魔力に私の神力を載せてチムに流すぞ」
言いながらも、既にチムへと魔力のパスが出来上がっていた。
「……お前に名前を授ける。【チャム】今後は、チャムと名乗るが良い」
「有難き幸せでありんす。我が生涯をかけて、マスターの為に芸術を追い求めることを誓いんす」
チム達の体をオレの魔力が包み込み、チャムの名前が定着していくのが分かる。
進化こそしていないが、確実に魔物としての『格』が上がったのが分かった。
「チム」
「……?」
「おしゃれは足元からだ」
「「「「「 !!! 」」」」」
せっかくなので、我が世界に伝わるおしゃれの格言を一つ披露。
「マスター歩……深いっ! 深すぎるぞっ! 」
あ、神様も釣れた。
戦闘系以外の神様の存在感が強すぎるっ!




