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コア便利すぎる。
「という流れになったので、どんな嫌がらせをすればいいか教えて下さい」
『従者を賭けるって事? それなら相手の従者を貰えばいいじゃない』
相談先はシエンタ様だ。だって徹底的にヤレって言ったのこの人だもん。
「あんな連中の従者いりませんよ。オレ自身、大した事の無い人間ではありますが、あの連中のレベルの低さは分かるつもりです。シエンタ様、連中の従者欲しいですか?」
『いらないわ』
即答。そうですよね。
それに連中の従者はシヴィーや銀ちゃんのような、ヤバい気配は感じられない。
せくしーぼいんぼいんさきゅばすたんもいないので、本当にいらない。
『下位のダンマスが嫌がる事……私が部下をけしかけたりすると、嫌がるわ』
「そりゃ貴女は最上位のダンジョンマスターだからじゃないですか」
それは嫌がらせではなく、侵略では?
『後は……貢物を出させるとか……』
「シヴィーに見合う貢物なんてありませんよ」
『DPとか』
「嫌がらせになるDPってどのくらいの量です?」
『…………1千万くらい?』
「神様をご招待すれば3日で稼げる量ですよね」
『ダンジョンコアをよこせ……とかは?』
「それは流石に了承しないのでは」
……。
………………。
………………………………………………。
短くない沈黙。
『面倒ね。自分で考えなさいよ』
「ええ!? 徹底的にやれって言ったのシエンタ様じゃないですか!?」
『徹底的に自分で考えなさい』
「ズルいっ!?」
『ずるくないわ。それを含めて貴方の課題よ』
「まさかの課題!?」
『というより、私に聞かないで貴方の従者に決めさせなさいよ。景品は従者なんだから、自分に見合う物をそいつが望めばいいのよ。相手に大打撃を与えられるような物じゃないとダメだけど』
おお、なるほど。
シヴィーを見ると、シヴィーは嬉しそうに頷いた。何か策があるかもしれない。
「お任せください。いい案が御座います」
『そう。じゃあ聞かせなさい』
「お断り致します」
「え?」
『へえ? なるほど、連中の言う通り愚かな従者なのね? 私が命じてるのよ?』
「アユム様の命令以外、受ける気は御座いません」
『ふふふ、いいわね貴女。従者というものを分かっているわ。あの連中には勿体無いわね』
「有難う御座います」
丁寧に答えるシヴィー。
 
『私の部下を一人貸してあげる。今からそっちに送るわ』
「来ました。シャインです」
「早っ!?」
通信終わりとかのタイミング無視して瞬間移動してきたよこの人。
全身をすっぽりと覆うローブを被っていて、声を聴かなければ性別もわからない。
「貴女がシヴィーね。宜しく」
「はい、シャイン。今回はよろしくお願いいたします」
『それで、貴女の考え教えて下さる?』
その言葉に、ちらりとこちらを見るシヴィー。
オレは頷いて了承する。
「私の考えは、連中のダンジョンの正確な位置を教えて貰う事です」
オレと、通信先のシエンタ様は頭の上に疑問符を作り、追従していたシエンタ様の従者が深い笑みを作った。
「アユム様。コア様に出して頂きたいアイテムがあるのですが、可能でしょうか?」
「珍しいな、どうだろ。転送出来るか?」
シヴィーに言われて腕時計越しにコアに質問する。
すぐさま、オレの手の中にそれが送られてきた。おお、便利。
その品をシヴィーに渡して、オレは壇上の神々の元へと足を運ぶ。




