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当たったら、ずきゅ~~ん! って言います。
「さて、神々への謁見が始まったな。あそこを見るがいい」
現在いる夜会の会場。オレ達がいるのはテーブルが多く並ぶ食事と飲み物のエリアだ。
入り口の右手にあるこのエリア、左手には4足歩行や足の無い魔物型マスターの為の絨毯の上に食べ物が並んでいるエリア。
中心にはダンスホール。そして一番奥、そこは重厚な白亜の扉が鎮座している。
トド男はそこに向かう3人の人影に目線を向けた。
「あの先で神々の謁見をするのか」
「ああ、扉が開いて中に入ると神々がお待ちだ。扉の上を見るがいい」
いくつもの紋章が扉の上には並んでおり、そこの紋章のいくつかが強く光を放っており、いくつかが淡い光を放っている。
重厚な白い扉が開くと、その中へと3つの人影が足を運んでいく。
3人が中に入ると、その扉は閉じた。
「あの光っている紋章が、神々がご覧になっているという証だ。強く光っている紋章は実際に足をお運びになっている神々を示している。しかし流石はシエンタ様だな。多くの神々が覗かれているし、足をお運びになられている神様も多い」
「シエンタ様、すごい……」
ミルフィの呟きにオレも頷く。
ナラヴィー様はもちろん、他にも神様が5柱程いらしている様子。
どんな言葉を授かるかは分からないが、その神々のご尊顔を覗く事自体が誉れである。
シエンタと呼ばれた魔女の扉の上の紋章は半分以上が光っている。
「シエンタ様って、すべての魔女の祖とも言われている方よね? それなのに軍神や闘神がご覧になっているわよ?」
「単純な話だ。シエンタ様は強い。彼女の従者の方々もな」
え? 魔女……だよね?
「勘違いしているようだが、魔女というのは強いぞ。あいつらを侮ると痛い目をみる、シエンタ様を怒らせて滅ぼされた街やダンジョンは過去にいくつもあるからな。時には大国をも相手にされる方だぞ? 首都を滅ぼす程度ですませるらしいがな」
魔女こわっ! てかうちの街にも怖い婆ちゃんいるよね。
「てか、これを34人分待つんか……」
「うんざりするわね」
「安心しろ、時間がかかるのは最初の数人だけだ。どんどん立ち会う神が減るからな。立ち会う神々が少なくなるほど時間はかからない、後半は一人3,4分で終わる」
「それでもかなり待つよなぁ」
それって、仮に一人3分で計算しても1時間以上待ち時間があるよね。
「何、飽きたら控室に戻ればいいさ。近い時間になればミニバッフォが教えてくれる」
「そう?」
壁沿いに並んでいる執事集団に視線を向けると、リグレブが頭を下げた。
聞こえてるんかい。
「……執事長がお前に付いているのか、珍しいな」
「ちょっとゴタゴタがあってね」
「ふむ、ここでは聞かないほうが良さそうだな」
オレは小さく頷く。いまだに聞き耳を立てているマスターがいるからだ。
「小声で話してても聴覚のするどい魔物のマスターだったりすると聞こえるから、発言は気を付けたほうがいいぞ」
「もうちょい早く言おうね」
「そーよそーよ」
別に聞かれて不味い話はしてないけど。
「それと他のマスターと話しをする時も気を付けるがいい。読心や魅了、それと畏怖などといった精神系の魔法を使って来る種族もいる。セレスティアーネ様がそうだ、分かってはいてもあの美しさには抗えないが……」
「魅了なんて振舞ってるんだ?」
全然魅了されないけど。
「まあ種族がかけ離れすぎていると魅了は効きにくい。人間の美醜は我らとはかけ離れておるから、それが原因だろうな」
そもそもトド男とオークって種族似ているの?
「初期の頃は魅了にも抗っていたのだが、精神的に疲労する。何より、魅了など無くとも彼女は十分に美しい。どの道惚れるのであれば魅了されても構わないと思ってな。何、大事な話をする時などはきちんと対抗するさ」
安心できねえ!
「ベタ惚れじゃん」
「うむ。彼女の魅了も今や心地よいものだ」
トド男と同じように、獣系でも重厚な印象を受ける魔物。獣人と呼べばいいのか、魔物でネズミ、犀、イノシシ、パンダが豚女帝に群がって談笑している。
こちらの視線に気づいたのか、ウィンクを飛ばしてきた!
「あぶなっ!?」
まさかの物理的にハートが飛んでくるとはっ!
「魅了を可視化した物だな。避けるとは勿体ない」
「いらねーよ!」
「ね、ねえ……あんたの従者怖いんだけど……」
「何がでございますか?」
シヴィー、殺気消しなさい。




