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開かずの塔のダンジョンマスター  作者: てぃる
夜会に集うダンマス達
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便利だねぇ

「これは……」


「今回の実行犯です。捕らえたと報告は上がっておりませんでしたか?」


「聞き及んでおりましたが。正直驚きました」


「ケヒヒ、こほん。失礼。それで、執事長殿、ご自由に質問をどうぞ? 今なら従順に語ってくれますよ」


 魔法って便利だなー。


「では、まず……お名前をお聞きしても?」


『びっぐす……』


「貴方の主は誰ですか? また、その容姿は?」


『えりあんと……さま、ふし、しゃ。ほね』


 不死者で骨ってことはスケルトンやらリッチとか言われる魔物の系列って事かな。


 名前は【エリアント】か。


「なるほど。ミニバッフォとすり替わり、何をする気だったんですか?」


『はつさんかの……ますたーに、はじを……かかせる。あやつり、なりかわり……じゅうしゃ、うばう、か、ころす』


「初参加のマスターなら誰でも良かったのですか?」


『あおい、ガキ……さいゆうせん。ガキは、ころし、おんな、うばう。いぬ、つかまえる……だんじょんも』


「なるほど。ですが随分と穴のある計画ですね。プチバッフォが随行するのです、マスターが姿を眩ますのはすぐに発覚してしまうでしょう?」


『とがびと、の、ろうごく』


「随分と古い手をお考えになられる。こう言っては何ですが、貴方の主人はあまり賢い方では無い様で御座いますね」


 質問をするリグレブは、穏やかな声とは裏腹に拳を強く握りこんでいる。怒っているらしい。


『ますたー、あたま、どっか……みつから、ない。かんがえ、た。べつの、ますたー』


「それはどなたですか?」


『…………わから、ない』


「おかしなことをおっしゃいますね。誰とも分からぬ相手の指示を聞いておられたのですか?」


『ちが、う……ますたー、なに、あれば。ぎぶろ、しじ。ぎぶ、ろ。……いった』


「ギブロ?」


 知らないな。誰かの名前のようだが。


「ギブロとは?」


『……ぎぶろ。ぎぶろ、ますたー、の……ますたー、の……なに?』


「ギブロとはどんな存在ですか? 男ですか? 女ですか? 種族や特徴は?」


『…………ぎぶろ、ろーぶ。いきて、る。ふし、ちがう……おと……こ?』


「そうでしたか。大体分かりましたね。新人潰しや勧誘は毎年の事ですが、小生らを巻き込んでの規模となると、30年振りくらいですか」


 彫りの深い壮年の顔の皺が、更に深くなる。


「こやつの処分は少々お待ちいただけますか? 此度の一件、ナラヴィー様に裁定していただく必要がありますので」


 その言葉にオレは頷く。


 にこやかな表情でリグレブは、胸元の万年筆を取りだす。


「ありがとうございます。こちらは一種の通信装置でして、使用しても構わないでしょうか?」


「いいよ」


 執事の秘密道具! そういうの好きだよ!


「小生です。『ギブロ』という名前に心当たりのある者は反応を」


 万年筆の先が3度ほど光った。


「よろしい、すぐに来なさい」


 しばらくすると、控室のドアがノックされる。


 さっき呼んだリグレブの部下だろう。


「どうぞ」


 オレの言葉と共に、ジョージが扉のノブに手をかけた。

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